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PROBANK

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

PROBANK(プロバンク、PROgressive BANKing solution:プログレッシブバンキングソリューション)は、富士通が開発した金融機関向けの勘定系システムである。「PROBANK」は富士通の登録商標である。後継である「FUJITSU Financial Services Solution」(FSPS)についてもこの項目で扱う。

概要

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富士通製メインフレームで稼働し、24時間365日連続運転機能の標準提供 、既存チャネル(営業店システム、ATM等)やサブシステムとの容易な接続、コスト削減などが特徴。同社は開発・運用を含めたアウトソーシングとして提案している。

富士通が1999年(平成11年)12月に発足させた「PROBANK研究会」における翌年2月時点での参加行は、地銀18行(東邦銀行青森銀行岩手銀行大分銀行群馬銀行佐賀銀行十八銀行筑邦銀行名古屋銀行北陸銀行など)であった。東邦銀行を第1号ユーザーとして、同行のシステムをベースに基本設計や運用を共通化したものを開発し、それを各行向けにアレンジするという形を目指したが、当初から開発が難航し、1号ユーザーの東邦向けの開発が大幅に遅延[1]。遅れを取り戻すために2号目以降のユーザーである全国の地銀にいたエンジニアを引き上げ、東邦に集結させて対応するという手段を取った[1]。この事態を受け、自行の開発までもが遅れたことから参加行の提携解除が相次いだ[1]。このうち北日本銀行は従前のシステムが危篤状態だったといわれ、2003年(平成15年)10月には「富士通が、十八銀行・筑邦銀行・佐賀銀行に対して“損失弁済金”を支払っていた」と報道された。

2011年(平成23年)9月の連休時にハードウェア更新を行い、第2世代のPROBANK(PROBANK-R2)が稼働。そのプライマリユーザーも東邦だった。2014年(平成26年)5月7日には、第1世代稼働行で唯一R2へ移行しなかった北都銀行がBeSTAcloudへ移行したため、第1世代のPROBANK稼働行はなくなった。

2017年(平成29年)1月、富士通はPROBANKの後継となる「FUJITSU Financial Services Solution」(FSPS)を稼働させ、同月には滋賀銀行、10月には東邦も移行した[2]

R2稼働行である清水銀行西京銀行は、2024年2月に清水がNTTデータSTELLA CUBE、西京も同年度中に日本ユニシス(現:BIPROGY)のBankVisionへ移行すると発表した[3]。2024年5月7日、清水銀行・西京銀行が共に新システムに移行し、富士通が社運をかけて開発に臨んだPROBANKの利用行はゼロになった[3][4]

2024年(令和6年)1月にFSPS利用行の滋賀は日立製作所のオープン勘定系システム「OpenStage」、東邦はTSUBASAアライアンスの共同化システムに移行することになっていた。その後滋賀銀行はOpenStageへの移行が難航し、複数回にわたり予定を延期した。その結果として少なくとも2027年まではFSPSの利用が継続されることとなった[5]

採用銀行

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  • 第1世代PROBANK稼働行
    • 東邦銀行(2003年9月 稼働開始[6])→2011年9月、第2世代PROBANKへ移行済。
    • 清水銀行(2005年5月 稼働開始[7])→2013年5月、PROBANKを更改(継続使用)し、第2世代PROBANKへ移行済。
    • 西京銀行(2006年1月 稼働開始)→2014年1月、第2世代PROBANKへ移行済。
    • 北都銀行(2006年5月 稼働開始)→2014年5月7日、BeSTAcloudへリプレースのため離脱[8]。これにより、事実上、第1次PROBANKは稼働終了した。
  • 第2世代PROBANK(PROBANK-R2)稼働行
  • FSPS稼働行
  • 第1次PROBANK採用撤回行

脚注

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  1. ^ a b c “富士通が地銀勘定系システムから実質撤退、共同利用システム加盟行がゼロに”. ダイヤモンドオンライン. (2021年10月8日). https://diamond.jp/articles/-/284260 2021年12月13日閲覧。 
  2. ^ 東邦銀行様が、勘定系システムアウトソーシングサービス「FSPS」を採用』(プレスリリース)富士通株式会社、2015年7月17日http://pr.fujitsu.com/jp/news/2015/07/17.html2016年2月6日閲覧 
  3. ^ a b “富士通の共同システム利用行はゼロに 清水銀行が離脱”. 日本経済新聞. (2021年9月28日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2816I0Y1A920C2000000/ 2021年12月13日閲覧。 
  4. ^ a b c “富士通「PROBANK」の顧客がゼロに、清水銀行と西京銀行の新システム移行で”. 日経XTech. (2024年5月7日). https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/00690/ 
  5. ^ “277億円超を支払った滋賀銀行の次期勘定系システム、継続か一度立ち止まるか”. 日経クロステック. (2024年7月30日). https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02478/072700055/ 2024年9月20日閲覧。 
  6. ^ 東邦銀行の新勘定系システムが稼働 株式会社東邦銀行 富士通株式会社 平成15年9月16日
  7. ^ 清水銀行と富士通がバンキングシステムのアウトソーシングで基本合意 株式会社清水銀行 富士通株式会社 平成12年2月29日
  8. ^ “金融機関向け基幹系サービス「BeSTAcloud®」 フィデアグループ(荘内銀行・北都銀行)への本格提供を開始”. 株式会社NTTデータ. (2014年5月7日). https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2014/050700/ 2014年10月27日閲覧。 
  9. ^ 東邦銀行様が次期勘定系システムに富士通「PROBANK」を継続採用 富士通株式会社 2010年3月4日
  10. ^ 清水銀行様が次期勘定系システムに富士通「PROBANK」を継続採用 富士通株式会社 2010年11月10日
  11. ^ 清水銀行がNTTデータ基幹系共同センター「STELLA CUBE®」への参加を決定』(プレスリリース)株式会社NTTデータ、2021年9月27日https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2021/092700/2021年9月29日閲覧 
  12. ^ 西京銀行様が次期勘定系システムに富士通「PROBANK」を継続採用 富士通株式会社 2011年5月11日
  13. ^ 西京銀行がオープン勘定系システム『BankVision』の採用を決定』(プレスリリース)日本ユニシス(現:BIPROGY)、2021年9月24日https://www.unisys.co.jp/news/nr_210924_bankvision.pdf2021年9月29日閲覧 
  14. ^ コストを抑えた二重化システムで、万一にも備えた安定環境を構築富士通株式会社 2017年2月1日
  15. ^ “滋賀銀行が日立のオープン勘定系を採用、富士通製からリプレース”. 日経クロステック. (2020年9月29日). https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/08840/ 2021年9月29日閲覧。 
  16. ^ 基幹系システム共同化に関する基本合意について』(プレスリリース)東邦銀行、2019年9月18日http://www.tohobank.co.jp/news/pdf/20190918_006301-sub.pdf2021年9月29日閲覧 
  17. ^ “北日本銀行が富士通の勘定系パッケージ導入を白紙撤回”. 日経コンピュータ. (2003年4月2日). https://xtech.nikkei.com/it/free/NC/NEWS/20030402/4/ 
  18. ^ “北日本銀行が日立の地銀向け共同システムの利用を開始”. 日経コンピュータ. (2008年1月7日). https://xtech.nikkei.com/it/article/NEWS/20080107/290484/ 
  19. ^ “島根銀行の次世代システム、既存ベンダーへのアウトソーシングで一件落着”. 日経コンピュータ. (2004年8月2日). https://xtech.nikkei.com/it/free/NC/NEWS/20040802/148037/ 
  20. ^ “経営の情識 第31回:繰り返されるシステム共同化の失敗”. ITpro (日経コンピュータ). (2006年11月14日). https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20070514/270884/ 

外部リンク

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