PowerBook 2400c
製造元 | Apple Computer |
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発売日 | 1997年5月31日 |
販売終了日 |
1998年3月14日(初代) 1998年10月(240MHzモデル) |
OS | Mac OS 7.6.1、Mac OS 8 |
CPU | PowerPC 603e @ 180MHz、240 MHz |
メモリ | 16 MB、最大80MB (60ns SO-DIMM) |
PowerBook 2400cとは、かつてApple Computerが販売していたPowerBookシリーズの一種である。
概要
[編集]PowerBook 2400cはPowerBook Duo 2300c/100の実質的後継のサブノート型ノートパソコンで、Apple初の日本向けモデルである[1]。初代モデルのPowerBook 2400c/180(開発コードネームは百武彗星にちなんだComet)は、1997年5月30日に438,000円で発売された[2]。また、翌1998年4月には、スペックのアップグレードや熱対策、ネジの脱落防止策が施されたPowerBook 2400c/240(開発コードネームはMighty Cat)が登場している[3]。
フロッピーディスクドライブは外付けの付属品であり、光学ドライブは付属していないが、再インストール用のMac OS(システムディスク)は、CD-ROMで同梱されていた。
評価
[編集]PowerBook 2400cは、当時のPowerBookシリーズの最上位機種であったPowerBook 3400cの性能を詰め込んだスペックであり[1]、携帯性とコストパフォーマンスに優れたマシンであると評価された[4]。
1997年度グッドデザイン賞を受賞している[5]。担当デザイナーは、Christopher Stringer。
携帯性を重視する日本市場をターゲットとしていただけに、日本においてはかなりの人気モデルとなった[6]が、アメリカでの売り上げは僅か5千台程度(PowerBook 2400c/180のみで、後継の2400c/240は販売されていない)に留まり、全シリーズの累計出荷台数は7万台程度となった。しかしながらクリックボタンの不良やCPUが熱で破損する等の不具合も多く発生したこともあり、PowerBook 2400cは失敗と見なされている[7]。この機種より後、ターゲットを地域限定としたモデルが開発されたことがない。
開発・設計
[編集]PowerBook 2400cのプロジェクトを進めたのは、1996年2月から翌年7月までAppleの最高経営責任者であったギル・アメリオ自身で[8]、アメリオが日本に派遣した技術者チームが東京の満員電車を体験して小型軽量マシンのきっかけを掴んだとされる[9]。
当時の日本IBM(日本IBM大和事業所)と共同で開発され、当時ThinkPad 535を製造していた日本IBM藤沢事業所でPowerBook 2400cも製造された[1][10]。IBMがOEM生産した PowerBookであることから開発コードネームでなくThinkMacと呼ばれることもあった[11]。小さな筐体にPowerBook 3400相当のスペックを詰め込むため、ThinkPad 535と同様にロジックボード(マザーボード)を3段構造としている[4]。また、液晶パネルをThinkPad 535と同じ東芝製にしたり、IBM製ハードディスクドライブを採用するなどして、ThinkPadとの共通化でコストダウンも図られた[1]。なお、ThinkPad 535はPowerBook 2400cとの比較対象とされることも多い[1][4]。
外観はApple本社のデザイナーChristopher Stringerによりデザインされている[5]が、当時のApple日本法人の意見が汲まれている[4]。
また当時PowerPC G3へのアップグレードカードが販売されていた[12][13]が、製造していたメーカーは2社ともに倒産し、新品でのアップグレードは極めて困難になっている。
スペック
[編集]PowerBook 2400c/180 | PowerBook 2400c/240 | |
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発売日 | 1997年5月 | 1998年4月 |
CPU | PowerPC 603e 180MHz | PowerPC 603e 240MHz |
2次キャッシュメモリ | 256KB | |
メモリ | EDOメモリ オンボード16MB 拡張スロット×1(公称で最大80MBまで増設可能。非公式には96MBを追加して最大112MB[14]) | |
内蔵ストレージ | 1.3GB 2.5インチIDE HDD | 2.0GB 2.5インチIDE HDD |
ディスクドライブ | 外付け3.5インチフロッピーディスクドライブ (Apple SuperDrive) 付属 外部フロッピーディスクドライブポート×1 | |
ディスプレイ | 10.4インチTFTノングレアクリーン液晶(最大解像度800×600ピクセル、最大表示色32,768色) | |
グラフィックコントローラ | チップス・アンド・テクノロジーズ CT65550(VRAM容量 1MB) | |
PCカードスロット | Type I・Type IIのPCカードなら2枚、Type III ×1のPCカードなら1枚を装着可 | |
入出力ポート | Apple Desktop Busポート×1、シリアルポート(LocalTalk/モデム、RS-422準拠)×1、SCSIポート (HDI-30) ×1 赤外線通信ポート×1(IRTalk 230KbpsおよびIrDA規格1Mbpsに準拠)、外部モニタポート | |
オーディオ | 16ビットステレオサウンド入出力用ポート×各1、内蔵スピーカー、マイクロフォン | |
ポインティングデバイス | トラックパッド | |
プリインストールOS | Mac OS 7.6.1, Mac OS 8(1997年8月より[10]) | Mac OS 8.1 |
付属ソフト | クラリスワークス 4.0 | |
本体サイズ | 高さ:4.7cm、幅:26.6cm、奥行き:21.3cm | |
本体重量 | 1.98kg | 2.00kg |
関連項目
[編集]- MacBook Air - 有線LAN端子及び光学ドライブを搭載しない軽量・小型(薄型)ノートパソコン
- PowerBook G4 12インチモデル - 2003年当時最小のPowerBook[15]、PowerBook 2400cと熱問題が言及される[6]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e アップル、IBM製のサブノート機「PowerBook 2400c/180」を発表 - PC Watch 1997年5月8日(インプレス)
- ^ PowerBook 2400c/180は30日販売開始。実売438,000円前後 - PC Watch 1997年5月23日(インプレス)
- ^ アップル、PowerBook 2400cに603e 240MHz搭載モデル - PC Watch 1998年4月7日(インプレス)
- ^ a b c d MACPOWER 1997年6月号(アスキー)
- ^ a b “パーソナルコンピュータ [Macintosh PowerBook 2400c/180]”. Good Design Award. 2023年3月5日閲覧。
- ^ a b 漢字Talk、PowerBook、ピピン――ジョブズ復帰前のAppleは混沌だった - 週アスPLUS 2013年01月25日(アスキー・メディアワークス)
- ^ 週刊アスキー. “祝 Macintosh 30周年!! 失敗?名機?評価が分かれるPowerBook 2400|Mac”. 週刊アスキー. 2018年5月23日閲覧。
- ^ ギルバート・アメリオ - ASCII.jpデジタル用語辞典
- ^ 今も日本のマックファンを虜にする『パワーブック2400c』 - WIRED 2002年3月27日
- ^ a b “Apple's Ultralight PowerBook 2400c to Ship with Mac OS 8”. web.archive.org (1998年12月3日). 2024年5月19日閲覧。
- ^ 中原晃司、梶浦正規著『マッキントッシュ礼賛』株式会社カットシステム、1997年6月1日、179頁。ISBN 4-906391-45-1。
- ^ インタウェア、Power Macintosh/PowerBook用G3アクセラレータ
- ^ Newer Technology: NUpowr G3 2400/240 Specs
- ^ PowerBook 2400のメモリーの秘密! - マックメム
- ^ “アップルのポータブル製品として最小のノートブックを発表”. Apple Newsroom (日本). 2023年3月5日閲覧。