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グリーゼ876

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Ross 780から転送)
グリーゼ876
Gliese 876
グリーゼ876系の想像図
グリーゼ876系の想像図
星座 みずがめ座
見かけの等級 (mv) 10.162[1]
変光星型 りゅう座BY型変光星[2]
分類 赤色矮星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  22h 53m 16.73352s[2]
赤緯 (Dec, δ) −14° 15′ 49.3186″[2]
赤方偏移 -0.000005[2]
視線速度 (Rv) -1.59 km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: 959.84 ミリ秒/[2]
赤緯: -675.33 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 213.28 ± 2.12ミリ秒[2]
(誤差1%)
距離 15.3 ± 0.2 光年[注 1]
(4.69 ± 0.05 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 11.8 ± 0.05[1]
軌道要素と性質
惑星の数 4 + 2?
物理的性質
半径 0.3761 ± 0.0059 R[3]
表面積 7.89 ×1011 km2
体積 6.58 ×1016 km3
質量 0.334 ± 0.03 M[1]
表面重力 4.89 (log g)[4]
自転速度 0.16 km/s[1]
自転周期 96.7 [1]
スペクトル分類 M3.5V[2]
M4V[1]
光度 0.013 L[1]
表面温度 3473 ± 17 K[5]
金属量[Fe/H] 0.05 ± 0.20[1]
年齢 0.1 - 5 Gyr[1]
他のカタログでの名称
みずがめ座IL星, Ross 780, Gl 156-057, GJ 876, BD-15°6290, GCTP 5546.00, LHS 530, Vys 337, HIP 113020, LCC 0460
Template (ノート 解説) ■Project

グリーゼ876 (Gliese 876)、別名ロス780 (Ross 780) は太陽系からみずがめ座の方向、約15光年の距離にある赤色矮星である。ドップラーシフト観測により、2016年時点で6つの太陽系外惑星が発見されている。

特徴

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大きさの比較
太陽 グリーゼ876
太陽 Exoplanet

グリーゼ876は太陽の0.334倍の質量、0.376倍の半径を持つ、小さな赤色矮星である。スペクトル型はM4Vだが、SIMBADではM3.5Vとなっている。表面温度は3473Kと太陽の6割である。明るさは太陽のわずか1.3%しかない。りゅう座BY型変光星であり、わずかに変光している。年齢は1億年から50億年と誤差が大きい。複数の太陽系外惑星が公転している恒星では2012年に11.8光年離れたくじら座τ星系が発見されるまでは最も太陽系に近かった。

惑星系

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現在、発見されているグリーゼ876bc2000年d2005年e2010年、そして未確認のfg2014年に発見された。そのうちの巨大ガス惑星とみられるグリーゼ876b、c、eは、公転周期がそれぞれ120日、60日、30日で4:2:1の軌道共鳴関係にある[6]。これは木星ガリレオ衛星イオエウロパガニメデと同じ共鳴周期である。

最も内側を公転しているグリーゼ876dはその質量の小ささから、主成分が岩石のスーパーアースではないかとみられている。しかし、主星から0.021AU(約300万キロメートル)という至近距離をわずか1.93日で公転しているため、表面温度は数百度に達すると見積もられ、生命体が存在する可能性はないと見られている。スピッツァー宇宙望遠鏡による観測から、グリーゼ876dは推定で地球の1.23倍から2.27倍の半径を持つとされている[3]

2014年には新たにグリーゼ876fとグリーゼ876gという2つの惑星が存在する可能性があると発表された[3]。グリーゼ876fはグリーゼ876dの外側を公転しており、gはfの外側を公転している。質量はグリーゼ876dと同程度であり、スーパーアースだとみられている。しかし、グリーゼ876fとgは現在、存在する可能性がある未確認の惑星として扱われていることが多く、太陽系外惑星エンサイクロペディアには登録されている[7][8]が、SIMBADNASA Exoplanet Archiveには登録されていない[9]

グリーゼ876の惑星は、赤色矮星の周りに発見された最初の惑星であった。系外惑星の探索の歴史の初期において赤色矮星はその暗さのために視線速度法によるサーベイの対象から除外されており、100個以上の系外惑星が発見された2003年の時点においてもなおグリーゼ876は惑星を持っていることが知られている唯一の赤色矮星であり続けていた[10]

グリーゼ876の惑星[1][7][8][11]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
d 6.83±0.4 M 0.02080665±0.00000015 1.937785±0.00002 0.124±0.0032 ~50° 1.23-2.27[3] R
f (未確認) 0.025 ± 0.001 MJ 10.01 ± 0.02 0.09 ± 0.046
g (未確認) 0.118 ± 0.002 MJ 15.04 ± 0.04 0.007 ± 0.004
c 0.7142±0.0039 MJ 0.12959±0.000024 30.259±0.01 0.265±0.002 45.67±1.81°
b 2.2756±0.0045 MJ 0.208317±0.000020 61.065±0.012 0.031±0.001 48.98±0.94°
e 14.6±1.7 M 0.3343±0.0013 124.26±0.70 0.055±0.012

画像

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脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j Correia, A. C. M. et al. (2010). “The HARPS search for southern extra-solar planets XIX. Characterization and dynamics of the GJ 876 planetary system”. Astronomy and Astrophysics 511. arXiv:1001.4774. doi:10.1051/0004-6361/200912700. http://ads.nao.ac.jp/abs/2010arXiv1001.4774C. 
  2. ^ a b c d e f g h i BD-15 6290 -- Variable of BY Dra type”. SIMBAD. 2016年3月24日閲覧。
  3. ^ a b c d J. A. Kammer; et al. (5 January 2014). "A SPITZER SEARCH FOR TRANSITS OF RADIAL VELOCITY DETECTED SUPER-EARTHS". arXiv:1310.7952v2 [astro-ph.EP]。
  4. ^ Bean, Jacob L.; Benedict, G. Fritz; Endl, Michael (December 2006). “Metallicities of M Dwarf Planet Hosts from Spectral Synthesis”. Astrophysical Journal Letters 653 (1): L65-L68. arXiv:astro-ph/0611060. Bibcode2006ApJ...653L..65B. doi:10.1086/510527. 
  5. ^ Rojas-Ayala, Bárbara (April 2012). “Metallicity and Temperature Indicators in M Dwarf K-band Spectra: Testing New and Updated Calibrations with Observations of 133 Solar Neighborhood M Dwarfs”. The Astrophysical Journal 748 (2): 93. arXiv:1112.4567. Bibcode2012ApJ...748...93R. doi:10.1088/0004-637X/748/2/93. 
  6. ^ Rivera, Eugenio J. (July 2010). “The Lick-Carnegie Exoplanet Survey: A Uranus-mass Fourth Planet for GJ 876 in an Extrasolar Laplace Configuration”. The Astrophysical Journal 719 (1): 890-899. arXiv:1006.4244. Bibcode2010ApJ...719..890R. doi:10.1088/0004-637X/719/1/890. 
  7. ^ a b Planet GJ 876 f The Extrasolar Planet Encyclopaedia
  8. ^ a b Planet GJ 876 g The Extrasolar Planet Encyclopaedia
  9. ^ PLANET HOST OVERVIEW PAGE - GJ 876”. NASA Exoplanet Archive. 2016年3月25日閲覧。
  10. ^ Endl et al. (2003). “A Dedicated M Dwarf Planet Search Using The Hobby-Eberly Telescope”. アストロノミカルジャーナル 126: 3099. Bibcode2003AJ....126.3099E. 
  11. ^ Rivera, Eugenio J. et al. (July 2010). “The Lick-Carnegie Exoplanet Survey: A Uranus-mass Fourth Planet for GJ 876 in an Extrasolar Laplace Configuration”. The Astrophysical Journal 719 (1): 890-899. arXiv:1006.4244. Bibcode2010ApJ...719..890R. doi:10.1088/0004-637X/719/1/890. 

関連項目

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外部リンク

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