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システムロックプリインストール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

システムロックプリインストール[1]またはシステムロックプレインストール[2] (SLP, System Locked Pre-installation[3], System Locked Preinstallation[4]) または OEMアクティベーション (OA, OEM Activation) とは、Microsoft Windows XP(実際はWindows Me)以降のWindowsシリーズにおけるプリインストール形態の一種である。ユーザーにはライセンス認証方式の一種として認知されている。OEM版Windowsに組み込まれた認証情報と、コンピュータメーカーによってBasic Input/Output System (BIOS)にあらかじめ組み込まれた認証情報を突き合わせ、認証の可否を判定する。

2017年1月現在、SLPには以下のバージョンが有る。SLP 3.0は以前のバージョンとの違いが大きいので、別名「DM(Digital Marker)」とも言う。また、SLP2.0~2.4もSLP1.0との区別のために「SLIC」と呼ぶことがある。

  1. SLP 1.0 / OA 1.0 または単に 「SLP」 (Windows XP, Windows XP x64 Edition, Windows Server 2003, Windows Server 2003 R2)
  2. SLP 2.0 / OA 2.0 / SLIC 2.0 (Windows Vista , Windows Server 2008)
  3. SLP 2.1 / OA 2.1 / SLIC 2.1 (Windows 7 , Windows Server 2008 R2)
  4. SLP 2.2 / OA 2.2 / SLIC 2.2 (Windows Server 2012)
  5. SLP 2.3 / OA 2.3 / SLIC 2.3 (Windows Server 2012 R2)
  6. SLP 2.4 / OA 2.4 / SLIC 2.4 (Windows Server 2016)
  7. SLP 2.5 / OA 2.5 / SLIC 2.5 (Windows Server 2019)
  8. SLP 3.0 / OA 3.0 / DM (Digital MarkerまたはData Managementの略) (Windows 8 ,Windows 8.1 , Windows 10)


マイクロソフトとコンピュータメーカーのライセンス協議によって、BIOSに組み込まれる認証情報が決定され、その組み込み方法の詳細がマイクロソフトからコンピュータメーカーへ指示される。コンピュータメーカーはこのSLP対応BIOSを搭載したパーソナルコンピュータを量産する。一方、マイクロソフトからそのメーカー用の認証情報を内包したOEM版Windowsがメーカーへ供給され、メーカーは量産したコンピュータにプリインストールするとともにメディア光ディスクやハードディスク内のリカバリー領域)に収録して出荷する。不正インストール防止の観点から、マイクロソフトからメーカーへはOEM版Windows側の認証情報組み込み詳細は明かされない[5]

ユーザーにはライセンス認証手順において以下の利便性が有る。これらはコンピュータ購入直後の初回起動時のみならず、Windows再インストール時にも享受できる。

  • SLP 2.xにおいては、リカバリーディスクやリカバリー領域を破損・紛失しない限り、リカバリー後の認証処理がコンピュータ筐体内部で完結するため、ライセンス認証のためにインターネットへ接続する必要がない。SLP 3.0では、インターネットへの接続は必要だが(電話でのライセンス認証も可能)、BIOSに各PC固有のライセンスキーが組み込まれていて、リカバリーメディア以外の同じバージョンのWindowsインストールディスクを使った場合も(一部例外を除き)自動的にエディションが判別されたのち、コンピューターの所有者がライセンスキーを調べなくても自動的にオンラインでライセンス認証され、ライセンスキーの手入力は不要である。
  • 認証作業に際し、コンピュータ筐体に貼られたプロダクトキーを入力する必要がない
  • パソコン本体のパーツを交換または追加した場合でも、BIOS情報に合致する限り再認証は不要[6]

出典・脚注

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  1. ^ Microsoft Corporation. “Windows XP プロダクト アクティベーション”. 2010年6月19日閲覧。
  2. ^ Microsoft Corporation. “ライセンスの管理”. 2010年6月19日閲覧。
  3. ^ Microsoft Corporation. “Technical Details on Microsoft Product Activation for Windows XP”. 2010年6月19日閲覧。
  4. ^ Microsoft Corporation. “License Management”. 2010年6月19日閲覧。
  5. ^ ただし、実際にはハッカー達による分析の結果、SLP1.0~2.3についてはそのメカニズムに関して多くの事実が露呈・流出し、それを利用したPCユーザーによる「自己責任」でのSLPの偽装や、SLPを偽装するソフトウェア上の仕掛けの組み込まれた海賊版インストールディスクの不正販売、またメーカーや機種ごとに少しずつ異なるSLP情報の莫大なリストの作成なども多発している。
  6. ^ 通常のパッケージ版の場合、一定以上ハードウェア構成を変更した場合、ハッシュ値が変わってしまうため、初回認証時とは別のパソコンと認識され、認証に失敗することになる。また、SLP3.0による認証に関しては詳細は不明であるが、通常のパッケージ版に類似した制約があると推定されている。