TA28 (水雷艇)
「TA28」はドイツ海軍の水雷艇。ジェノバで建造中であったイタリアのアリエテ級水雷艇「リゲル (Rigel)」をイタリアの降伏により1943年9月にドイツが捕獲したものである[1]。
ジェノバのアンサルド社で建造[1]。1942年7月15日起工[1]。1943年5月22日進水[1]。1944年1月23日就役[1]。第10水雷群に編入された[1]。
「TA28」は機雷敷設任務に12回、偵察任務に8回、陸上砲撃任務に3回従事した[2]。
1944年2月1日から26日の間に、第10水雷群は4度の機雷作戦に従事し、MTBとの交戦も発生した(「TA28」の参加状況は不明)[3]。2月16日から17日の夜、「TA28」と「TA23」「TA26」はチヴィタヴェッキアの南からラ・スペツィアの間に機雷100個とexplosive float125個を投下した[4]。2月18から19日の夜、「TA28」、「TA24」、「TA27」でテヴェレ川河口の南への機雷敷設に向かい、途中イギリス駆逐艦と思われるものやMTBの攻撃を受けるも作戦は成功した[5]。「TA28」はイギリス駆逐艦と思われるものからの攻撃で1発被弾したが不発であった[4]。また、同月にはコルシカ島のバスティア砲撃作戦[6]も実施され、「TA28」は3度参加した[7]。3月2日未明、「TA28」と「TA24」はバスティア港を攻撃[8][6]。砲撃と共に魚雷4本を発射した[8]。
4月2日から26日にかけて「TA23」、「TA26」、「TA27」、「TA28」、「TA29」のうちの2隻による機雷敷設作戦が合計10回行われた[9]。
7月6日から26日にかけて「TA24」、「TA28」、「TA29」は5回の機雷敷設や1回の沿岸砲撃などに従事した[10]。7月25から26日と7月26日[11]、「TA28」、「TA24」、「TA29」はマリーナ・ディ・ピサ・アルノ川河口間に対する砲撃作戦に従事[12]。
9月4日、アメリカ軍によるジェノバ空襲により、ドック内で「TA28」は爆弾3発が命中して転覆[13]。焼失全損となった[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g 『第二次大戦駆逐艦総覧』79ページ
- ^ German TA Torpedo Boats at War, p. 146
- ^ Chronology of the War at Sea 1939–1945, p. 304 具体的な参加艦艇名は書かれていないため、「TA28」の参加状況は不明。また、記述されている4回の中に後述の2月18日から19日夜の作戦はないが、2月18-19日にMTBとの交戦があったとの記述はある。
- ^ a b German TA Torpedo Boat at War, p. 133
- ^ German TA Torpedo Boat at War, pp. 133, 135
- ^ a b 2月のものと3月1-2日のはどちらも同じ作戦名となっている。また、German TA Torpedo Boat at War, p. 135では3月1-2日の作戦が沿岸砲撃で最初のものと書かれている。
- ^ Chronology of the War at Sea 1939–1945, pp. 304-305
- ^ a b German TA Torpedo Boat at War, p. 135
- ^ Chronology of the War at Sea 1939–1945, p. 312
- ^ Chronology of the War at Sea 1939–1945, p. 337
- ^ 7月25日23時54分出撃で4時30分帰投、次いで7月26日0時45分出撃となっており、明らかにどちらかの日付は間違っている。
- ^ German TA Torpedo Boat at War, pp. 137-138
- ^ German TA Torpedo Boat at War, p. 138
参考文献
[編集]- M.J.ホイットレー、岩重多四郎(訳)『第二次大戦駆逐艦総覧』大日本絵画、2000年、ISBN 4-499-22710-0
- Jurgen Rohwer, Chronology of the War at Sea 1939-1945, Naval Institute press, 2005, ISBN 1-59114-119-2
- Pierre Hervieux, German TA Torpedo Boat at War, Warship 1997-1998, Conway Maritime Press, 1997, ISBN 0-85177-722-8