TAA-1 (航空機)
TAA-1は、トヨタ自動車が試作した小型飛行機・実験機。機体名の「TAA」はToyota Advanced Aircraftの略[1]。
概要
[編集]トヨタ自動車は期待を満たさなかったLima IIに続く形で[2]、1998年(平成10年)頃よりTAA-1の開発に着手した[2][3]。開発は米国トヨタ自動車販売と共同で行われ[2][4]、ボーイングやレイセオンから雇用された技術者[2][3]約40名が[3]、従来のトヨタ生産方式に近い形で設計に従事した[2]。設計に加えて胴体と主翼の製造がトヨタ側で行われ、尾翼やシステム周りの製造[5]および全体の組み立てはスケールド・コンポジッツに委託された[2][3][5]。
TAA-1は小型飛行機技術の検証を目的とした実験機であり、トヨタが自動車製造で蓄積した[2][4]空気力学と低コストでの生産に関する技術が、小型飛行機にも応用できるかを検証の対象としていた[2]。胴体はカーボンファイバーと樹脂の複合材による一体成形を[4]製造法のデモンストレーションを兼ねて採用しており[5]、4名が搭乗できた[2][3]。エンジンはライカミング IO-360(180 hp)を1基備える[2][5]。アビオニクスは日本製のものを使用している[2]。市販された場合の価格は50,000ドル強と見積もられていた[3]。
飛行試験もスケールド・コンポジッツに委託されており[1][2][3][4][5]、機体記号「N72TA」を取得し[2][5]、2002年(平成14年)5月31日にモハーヴェ空港で初飛行した[2][3][4]。この際の飛行時間は1時間だった[4]。その後の飛行試験の中で[4]TAA-1は良好な操縦性を見せたが[1]、重量過多が性能の低下を招いており[2]、計画は試作段階以降に進展しないまま終わった[1][2]。TAA-1は断続的に2008年(平成20年)まで飛行を行った後、2011年(平成23年)3月に連邦航空局(FAA)の登録を抹消された[2]。なお、この間トヨタはTAA-1の詳細を公表しない方針を維持していた[2][3]。
また、派生型として降着装置を引込脚に改めたTAA-2も計画されていたが、実現せずに終わった[2][5]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- Stephen Bridgewater (2022年12月16日). “Sky-Changer - 50 years of Rutan's Greatest Hits” (英語). 王立航空協会. 2024年7月7日閲覧。
- Ricardo Meier (2020年8月23日). “TAA-1, the Toyota's misterious airplane” (英語). Air Date News. 2024年7月7日閲覧。
- Peter Pae (2002年6月12日). “Toyota Taking to the Air” (英語). ロサンゼルス・タイムズ. 2024年7月7日閲覧。
- “Toyota Successfully Completes 1st Test Flight of Small Aircraft” (英語). トヨタ自動車 (2002年6月21日). 2024年7月7日閲覧。
- “Scaled and Rutan Aircraft Factory Manned Research Aircraft Project And Other Un-manned Projects” (PDF) (英語). BurtRutan.com. pp. 45. 2024年7月7日閲覧。
関連項目
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