コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

トリノ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Turinから転送)
トリノ
Torino
トリノの風景
トリノの旗 トリノの紋章
紋章
行政
イタリアの旗 イタリア
ピエモンテ州の旗 ピエモンテ
県/大都市 トリノ
CAP(郵便番号) 10100
市外局番 011
ISTATコード 001272
識別コード L219
分離集落
隣接コムーネ #隣接コムーネ参照
地震分類 zona 4 (sismicità molto bassa)
気候分類 zona E, 2617 GG
公式サイト リンク
人口
人口 857,910 [1](2020-01-01)
人口密度 6,590.7 人/km2
文化
住民の呼称 torinesi
守護聖人 洗礼者聖ジョヴァンニ
(San Giovanni Battista)
祝祭日 6月24日
地理
座標 北緯45度04分 東経07度42分 / 北緯45.067度 東経7.700度 / 45.067; 7.700座標: 北緯45度04分 東経07度42分 / 北緯45.067度 東経7.700度 / 45.067; 7.700
標高 239 (204 - 715) [2] m
面積 130.17 [3] km2
トリノの位置(イタリア内)
トリノ
トリノの位置
トリノ県におけるコムーネの領域 Wikimedia maps を表示 トリノ (トリノ) トリノ地図を表示
トリノ県におけるコムーネの領域
地図
トリノの位置(トリノ内)
トリノ
トリノ (トリノ)
イタリアの旗 ポータル イタリア
テンプレートを表示

トリノ: Torino ( 音声ファイル))は、イタリアピエモンテ州にある都市。人口約86万人の基礎自治体コムーネ)。かつては100万都市だったが、昨今は都心部の人口減少により80万人台で推移している。

ピエモンテ州の州都であり、トリノ県の県都。都市圏の人口は約170万人にもなり、イタリア第4の都市である。

トリノは、ミラノに次ぐイタリア第2の工業都市であり、フィアットなどを中心とする自動車工業の拠点である。

近代にはサヴォイア家の王国であるサルデーニャ王国の首都が置かれた[4]サヴォイア王家の王宮群世界遺産に登録されている。

概要

[編集]

名称について

[編集]

日本では「ト」に強勢を置いて「リノ」と発音されることが多いが、標準イタリア語では [toˈrino] [5]、「リ」(ri)に強勢を置いて「トリーノ」という発音になる。そのため、原音に沿って「トリーノ」と表記されることも少なくない。紀元前にポー河上流にいたケルト系部族名に由来する。 標準イタリア語以外の言語では以下の名称を持つ。

日本語文献では、古い文献などで時に、英語名に基づいた「チューリン」の名称を用いているものもある。

地理

[編集]
市内を流れるポー河
トリノ県概略図

位置

[編集]

トリノ県南東部に位置するコムーネである。トリノはジェノヴァの西北約124km、ミラノの西南西約126km、ニースの北北東約156km、ジュネーヴの南東約174km、首都ローマの西北約522kmに位置する。

地形

[編集]

すぐ西方にはアルプス山脈を控えていて、その東斜面に市街地が位置し、西方への道路はモンチェニージオ峠によってフランスと連絡している。また水利面ではポー河上流河畔に位置し、ミラノ付近ともカヴール運河で結ばれ、の集散地として知られる。

トリノからキヴァッソ付近までのポー川沿岸の丘陵地であるコリーナ・トリネーゼイタリア語版は2016年にユネスコ生物圏保護区に指定された[6]

気候

[編集]

ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候(Cfa)に属する。

トリノ (トリノ空港, 1961–1990)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 5.8
(42.4)
8.4
(47.1)
12.7
(54.9)
16.6
(61.9)
20.7
(69.3)
24.7
(76.5)
27.6
(81.7)
26.5
(79.7)
23.1
(73.6)
17.3
(63.1)
10.8
(51.4)
6.9
(44.4)
16.8
(62.2)
平均最低気温 °C°F −3.3
(26.1)
−1.1
(30)
2.1
(35.8)
5.6
(42.1)
9.9
(49.8)
13.8
(56.8)
16.3
(61.3)
15.7
(60.3)
12.6
(54.7)
7.2
(45)
1.8
(35.2)
−2.3
(27.9)
6.5
(43.7)
降水量 mm (inch) 40.5
(1.594)
52.5
(2.067)
76.9
(3.028)
104.1
(4.098)
120.3
(4.736)
97.6
(3.843)
66.6
(2.622)
79.8
(3.142)
70.1
(2.76)
88.9
(3.5)
75.5
(2.972)
41.6
(1.638)
914.4
(36)
平均降水日数 4.4 5.2 7.0 8.4 10.4 8.7 5.9 7.2 6.0 5.8 6.8 4.1 79.9
湿度 75 75 67 72 75 74 72 73 75 79 80 80 74.8
平均月間日照時間 111.6 118.7 158.1 180.0 195.3 219.0 260.4 223.2 168.0 142.6 105.0 108.5 1,990.4
出典:Italian Air Force Meteorological Service [7]

隣接コムーネ

[編集]

隣接するコムーネは以下の通り。

歴史

[編集]
サヴォイア家王宮

古代

[編集]

古代ローマ時代以前にはタウリニー人(Taurini)が居住した。

後にローマ共和国領となり、紀元前1世紀にローマ人によってカストラ・タウリノールム(Castra Taurinorum)と命名された。後にアウグストゥスにちなんでアウグスタ・タウリノールム(Augusta Taurinorum)と改名された。

トリノの名はタウリノールムに由来する。

中世

[編集]

サヴォイア家

[編集]

近世

[編集]

スペイン継承戦争では1706年にフランスに包囲されたがサヴォイアが勝利したトリノの戦いがあった。

近代

[編集]

リソルジメント(イタリア統一)

[編集]

現代

[編集]

対外関係

[編集]

姉妹都市・提携都市

[編集]

経済

[編集]

第二次産業

[編集]

工業

[編集]
自動車

自動車を中核とする国内最大の民間企業グループ、フィアット企業城下町として発展した。そのフィアット・オート社の本社及び主要工場がある。そのうちのひとつに著名な世界最大の工場といわれたリンゴット工場があり、近年ショッピングモール、コンベンションセンター、コンサートホール、ホテル、オフィスなどを含む都市型コンプレックスに生まれ変わった。なおフィアットは近年[いつ?]、経営不振に陥り、従業員が最盛期の8分の1程度に減っている。

また、自転車メーカージオス(GIOS)の本拠地としても知られている。
航空宇宙産業

イタリアにおける航空産業の中心地。「アリアン」ロケットもトリノにて「フィンメカニカ」社の子会社「アレニア」社にて一部生産された。

上記のように工業が盛んで、ミラノに次ぐイタリア第2の工業都市である。

第三次産業

[編集]
映画産業

イタリアにおけるメディア産業が始まった都市でもある。イタリア放送協会(RAI)はトリノで設立された。またマカロニ・ウェスタンで知られるイタリアの映画産業もトリノが中心であった。国立映画博物館がある。

観光業

世界遺産の王宮(サヴォイア王家の王宮群)もあり、2006年トリノオリンピックを機会に、観光産業にも力を入れつつある。

情報・生活

[編集]

マスメディア

[編集]

新聞社

[編集]

イタリアで3番目に発行部数の多い日刊紙『ラ・スタンパ』(「新聞」)の拠点。2005年時点の発行部数は50万部。ピエモンテ州とリグリア州で読まれている。ラ・スタンパは1867年にトリノでGazzetta Piemontese(「ピエモンテ新聞」)として創刊された。2005年現在、紙面の政治的な傾向は自由主義的である。

教育

[編集]

大学

[編集]

交通

[編集]
トリノ空港
トリノメトロ

空路

[編集]

空港

[編集]

トリノ北西15kmの郊外にトリノ空港 (Aeroporto di Torino) があり、パリフランス)、フランクフルト・アム・マインドイツ)などヨーロッパ主要都市と直接結んでいる。

鉄道

[編集]

国鉄

[編集]

トレニタリア(旧イタリア国鉄)の主要な駅として、ポルタ・ヌオーヴァ (Porta nuova) 駅イタリア語版ポルタ・スーザ (Porta Susa) 駅がある。ミラノからの列車はポルタ・ヌオーヴァ駅に終着するが、多くの国際列車はトリノ・ポルタ・スーザ駅にしか止まらない。

トラム

[編集]

市内交通はトラム(トリノ市電英語版)が発達している。

地下鉄

[編集]

トリノ地下鉄1号線(リネア1)がオリンピックを契機とした都市開発で建設される。2006年2月4日に開通。イタリア初の自動運転の車両を導入し、ポルタ・スーザとコレーニョ間(7.5km, 10区間11駅)を結ぶ。

道路

[編集]

高速道路

[編集]

高速道路(アウトストラーダ)ではミラノジェノヴァアオスタ渓谷州バルドネッキア方面など各方面から郊外の環状高速へつながっている。

観光

[編集]
トリノ大聖堂
スフィンクス像(エジプト博物館蔵)
ヴァレンチノ公園
モーレ・アントネリアーナ
スペルガ聖堂

従来から工業都市とのイメージの強いトリノだが、2006年の冬季オリンピック招致を契機に観光都市としてのプロモーションを強化している。

主な観光地は下記の通り。

王宮 (Palazzo Reale)
リソルジメント(イタリア統一)時のサヴォイア家の王宮。
マダマ宮殿 (Palazzo Madama)
ローマ遺跡の上に立つ王妃用の宮殿。
王宮図書館 (Biblioteca Reale)
1837年に建てられた。レオナルド・ダ・ヴィンチの自画像や自筆の原稿などがある他、様々な美術品も所蔵し、公開している。
カリニャーノ宮殿 (Palazzo Carignano)
イタリア最初の国会議事堂として使用された。国立博物館がある。
聖骸布教会 (Cattedrale di San Giovanni Battista)
かつて聖骸布を収めていたルネサンス様式の教会。
リヴォリ城 (Castello di Rivoli)
トリノ西郊外の丘の上にあるサヴォイア家の城。現在、美術館がある。
スペルガ聖堂 (Basilica di Superga)
1731年に完成された郊外の大聖堂。
モーレ・アントネリアーナ (Mole Antonelliana)
国立映画博物館 (Museo Nazionale del Cinema) の入ったトリノのシンボル。1889年に建造されたタワーが街の象徴となっている。
レージョ劇場
トリノ市街中心部にある歌劇場。
自動車博物館 (Museo dell'automobile)
様々な新旧の自動車が展示された博物館。フィアット社のお膝元だけあって、そのコレクションは世界でも有数である。
エジプト博物館 (Museo Egizio)
1824年に設立され、収蔵品は3万点を超えるエジプト国外有数の古代エジプト博物館。
サバウダ美術館 (Galleria Sabauda)
サヴォイア家のコレクションを展示。
リンゴット (Lingotto)
1923年に完成した元フィアット工場。その前衛的な建築を生かし、現在はショッピングモールやホテル、コンベンションセンターなどのコンプレックスとなっている。
アトリウム・トリノ (Atrium Torino)
トリノ市とトリノオリンピックに関する博物館。
カフェ・トリノ (Caffe' Torino)
イタリア・カフェ文化の発祥の地。
トリノのポルチコ
トリノのポルチコも「ボローニャのポルチコ」と並んで有名。[9][10]
ポルタ・パラッツォ
ヨーロッパ最大級の青空市場。

文化・名物

[編集]

食文化

[編集]
トリノ名物の飲物「ビチェリン

公用語

[編集]

公用語は標準イタリア語だが、フランスに近接しているためフランス語も使用されることがある。

スポーツ

[編集]

国際大会

[編集]

トリノでは1959年に記念すべき第1回夏季ユニバーシアードが開催された[11]2006年には冬季オリンピックパラリンピックであるトリノオリンピックパラリンピックが開催され、2007年には冬季ユニバーシアードも開催された。。2021年には男子プロテニスの最終戦であるATPファイナルズがトリノで開催された。2025年にも冬季ワールドユニバーシティーゲームズが開催される。

サッカー

[編集]

イタリア・サッカーリーグのセリエAに所属している、ユヴェントスFCおよびトリノFCの2チームは、トリノをホームタウンとしている。特にユヴェントスはヨーロッパ屈指の名門クラブであり、スクデット獲得(優勝)回数はリーグ最多の36回を数える。コッパ・イタリアでも大会最多の14回の優勝を成し遂げている。スーペルコッパ・イタリアーナにおいても、大会最多となる9回の優勝を誇る。UEFAチャンピオンズリーグでも2度制覇しており、そのクラブの功績はイタリア国内ではACミランインテルと並ぶ。

バスケットボール

[編集]

出身関連著名人

[編集]
カミッロ・カヴール

出身著名人

[編集]

ゆかりの人物

[編集]

ギャラリー

[編集]

脚注

[編集]
イタリア語版からの翻訳記事を含みます(履歴参照)。
  1. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Total Resident Population on 1st January 2020 by sex and marital status” (英語). 2020年12月15日閲覧。
  2. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Popolazione residente - Torino (dettaglio loc. abitate) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2013年4月28日閲覧。
  3. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Superficie territoriale (Kmq) - Torino (dettaglio comunale) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2013年4月28日閲覧。
  4. ^ サルデーニャ王国ヒストリスト2020年2月13日
  5. ^ DiPI Online - Dizionario di Pronuncia Italiana”. 2013年4月28日閲覧。
  6. ^ Collina Po Biosphere Reserve, Italy” (英語). UNESCO (2019年4月4日). 2023年3月30日閲覧。
  7. ^ Visualizzazione tabella CLINO della stazione / CLINO Averages Listed for the station Milano Linate” (Italian). Italian Air Force Meteorological Service. 2010年5月26日閲覧。
  8. ^ トリノ 名古屋姉妹友好都市協会 2020年2月13日閲覧
  9. ^ Turin porticoes (Turin Epicurian Capital, 2017)
  10. ^ トリノのポルティコ(屋根付き回廊)
  11. ^ JOCユニバーシアードの歴史 2020年2月13日閲覧

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
公式
観光