UDPヘルパーアドレス
UDPヘルパーアドレスとは、クライアントとサーバが異なるサブネットに属する場合にブロードキャストパケットを中継する際に設定する、ルータの特別な設定。主にエンタープライズ環境で各サブネットにサーバを設置するコストを節約する用途に用いられる。
使用例
[編集]ネットワークでは各ホストがユニークなIPアドレスを持っている。隣り合ったアドレスのグループは同一サブネットと呼ばれる。各クライアントにIPアドレスを割り振る方法にはDHCPがあり、通常はサブネット毎にDHCPサーバが設置される。
しかしながら、サブネットの異なるネットワークに対してもDHCPにてアドレスを割り振りたい場合も存在するが、大抵のルータはブロードキャストパケットをサブネットを跨いで中継しない。これはDHCPのような重要なネットワークサービスの運用にあたって問題となる。
この解決のため、UDPヘルパーアドレスをルータに設定し、PCからのブロードキャストパケットをDHCPサーバに転送する方法が用いられる。するとDHCPサーバは設定された範囲からIPアドレスを1つ選び、そのアドレスで応答する。この際にDHCPサーバはそのIPアドレスを記憶しておき、再びクライアントがブロードキャストで応答した際、IPアドレスのリースを実行する。
また、ヘルパーアドレスも異なるサブネットを跨いでUDPパケットが転送されるため、UDPヘルパーアドレスはサブネットの異なる2台のサーバマシン間で通信を行うために作成されることがある。
実装例
[編集]シスコ製品では、この機能はルーティングソフトウエア Version.10から実装された。[1] この機能を利用するためのコマンドは ip helper-address
と ip forward-protocol
になる。
Syntax Description:
ip helper-address [vrf name | global] address [redundancy vrg-name] no ip helper-address [vrf name | global] address [redundancy vrg-name]
vrf name
(Optional) Enables VPN routing and forwarding (VRF) instance and VRF name.
global
(Optional) Configures a global routing table.
address
Destination broadcast or host address to be used when forwarding UDP broadcasts. There can be more than one helper address per interface.
redundancy vrg-name
(Optional) Defines the VRG group name.
特記事項
[編集]UDPヘルパーアドレスの使用はWindowsのネットワーク設定に影響を及ぼすことがある。 Microsoft's knowledge base を参照のこと。[2]
マイクロソフトによると、この問題はシスコルータのデフォルト設定がPort137,138を利用するために生じている。これらのポートはNetBIOSがネットワーク設定のために利用しているので、ブロードキャストにおいて混信を招く場合があるためである。