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Wikipedia‐ノート:ニュースサイト

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過去ログ:


過去ログ2の最後のほうで結論が出ないままになっていた不法行為の問題と、ニュースサイトをめぐる訴訟の高裁判決について考えてみました。

記事見出し訴訟・高裁判決について

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上記の訴訟について、控訴審判決が2ヶ月ほど前に出ました。結論としては、(1)著作権侵害は退けられ、(2)新しく主張された不正競争防止法違反もなかったとされ、(3) 不法行為はあったと認められました。この不法行為を理由として損害賠償が命じられました。今後の参考になることもあるかと思い、改めて判決文に目を通してみたので、以下に報告しておきます。IT Media、Internet Watchなどで報じられたところによると、上告はなく、確定判決だということです。

リンクをはることが著作権侵害になるかどうか、あるいは不法行為になるかどうか、ということは争点ではないので、このページでの議論への関連性も限られていますが、地裁判決と比べてかなり厄介に感じる部分もあったので、まとめたり考えたりしました。

判決の主旨

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高裁判決に示された主な考え方は、僕が理解した限りでは次のような点です。

  • 見出しは、十分に創作性があれば、著作権保護の対象になることもありうる。
    • 「一般に,ニュース報道における記事見出しは,報道対象となる出来事等の内容を簡潔な表現で正確に読者に伝えるという性質から導かれる制約があるほか,使用し得る字数にもおのずと限界があることなどにも起因して,表現の選択の幅は広いとはいい難く,創作性を発揮する余地が比較的少ないことは否定し難いところであり,著作物性が肯定されることは必ずしも容易ではないものと考えられる。」
    • 「しかし,ニュース報道における記事見出しであるからといって,直ちにすべてが著作権法10条2項に該当して著作物性が否定されるものと即断すべきものではなく,その表現いかんでは,創作性を肯定し得る余地もないではないのであって,結局は,各記事見出しの表現を個別具体的に検討して,創作的表現であるといえるか否かを判断すべきものである。」
    • ただし、具体的に個々の見出しを検討した上で、いずれについても創作性は認められないと言うふうに裁判所は判断しています。
  • 不正競争防止法は、そもそも見出しの利用だけからは起こらない。これは、商品の形状が似ていないため。
    • 「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感であると解するのが相当である(平成17年6月22日成立の平成17年法律第75号「不正競争防止法等の一部を改正する法律」は,上記と同旨の定義規定を設けた。本件に同改正法が適用されるものではないが,上記改正は,従来の判例などにより一般に受け入れられた解釈に基づいて規定を明確化したものと解されるので(産業構造審議会知的財産政策部会不正競争防止小委員会「不正競争防止法の見直しの方向性について」平成17年1月),改正前の法律の解釈としても相当なものである。)。」
    • 「そうすると,仮に,YOL見出しを模倣したとしても,不正競争防止法2条1項3号における「商品の形態」を模倣したことには該当しないものというべきであって,その余の点について判断するまでもなく,控訴人の不正競争防止法違反を理由とする本訴請求は,理由がない。」
  • 不法行為は、いくつかの条件をみたしていることから成立する。結果、著作権で保護されないようなものであっても、他人の作成した見出しは勝手に使ってはいけないということになる。
    • 「本訴で問題にされたYOL見出しにおける表現の創作性は,著作物として保護され得るものとまでは認められないのであるが,YOL見出しは,限られた文字数の中で端的かつ正確に情報を伝達するために,相応の苦労・工夫がされた結果,生み出されたものと推認し得るものであり,簡潔な表現により,YOL見出しを読んだだけでも,報道される事件等のニュースの概要について,一応の理解ができるようになっている。」
    • 「YOL記事と離れて独自に取引されるようになっている。」
    • 「大半のユーザは,記事見出しを閲覧するだけに終わっている実情がうかがえる。」
    • 「不法行為(民法709条)が成立するためには,必ずしも著作権など法律に定められた厳密な意味での権利が侵害された場合に限らず,法的保護に値する利益が違法に侵害がされた場合であれば不法行為が成立するものと解すべきである。」
    • 「インターネットにおいては,大量の情報が高速度で伝達され,これにアクセスする者に対して多大の恩恵を与えていることは周知の事実である。しかし,価値のある情報は,何らの労力を要することなく当然のようにインターネット上に存在するものでないことはいうまでもないところであって,情報を収集・処理し,これをインターネット上に開示する者がいるからこそ,インターネット上に大量の情報が存在し得るのである。そして,ニュース報道における情報は,控訴人ら報道機関による多大の労力,費用をかけた取材,原稿作成,編集,見出し作成などの一連の日々の活動があるからこそ,インターネット上の有用な情報となり得るものである。」
    • 「そこで,検討するに,前認定の事実,とりわけ,本件YOL見出しは,控訴人の多大の労力,費用をかけた報道機関としての一連の活動が結実したものといえること,著作権法による保護の下にあるとまでは認められないものの,相応の苦労・工夫により作成されたものであって,簡潔な表現により,それ自体から報道される事件等のニュースの概要について一応の理解ができるようになっていること,YOL見出しのみでも有料での取引対象とされるなど独立した価値を有するものとして扱われている実情があることなどに照らせば,YOL見出しは,法的保護に値する利益となり得るものというべきである。一方,前認定の事実によれば,被控訴人は,控訴人に無断で,営利の目的をもって,かつ,反復継続して,しかも,YOL見出しが作成されて間もないいわば情報の鮮度が高い時期に,YOL見出し及びYOL記事に依拠して,特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピーないし実質的にデッドコピーしてLTリンク見出しを作成し,これらを自らのホームページ上のLT表示部分のみならず,2万サイト程度にも及ぶ設置登録ユーザのホームページ上のLT表示部分に表示させるなど,実質的にLTリンク見出しを配信しているものであって,このようなライントピックスサービスが控訴人のYOL見出しに関する業務と競合する面があることも否定できないものである。」
    • 「そうすると,被控訴人のライントピックスサービスとしての一連の行為は,社会的に許容される限度を越えたものであって,控訴人の法的保護に値する利益を違法に侵害したものとして不法行為を構成するものというべきである。」

不法行為責任についての地裁判決と高裁判決の違い

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ちなみに、同じ不法行為責任について、地裁判決がどのような判断を下したかを見ると、この判決の意味が見えてくる面があるように思います。地裁判決では次のように述べられていました。

  • 「YOL見出しは,原告自身がインターネット上で無償で公開した情報であり,前記のとおり,著作権法等によって,原告に排他的な権利が認められない以上,第三者がこれらを利用することは,本来自由であるといえる。不正に自らの利益を図る目的により利用した場合あるいは原告に損害を加える目的により利用した場合など特段の事情のない限り,インターネット上に公開された情報を利用することが違法となることはない。」

ただ、両判決がどの程度矛盾するのかについては、僕はしっかりした判断をするだけの知識を持ち合わせていないようにも思います。無償で公開された情報であること、著作権法による保護を受けられるほどに創作性が認められないこと、は一致しているようです。地裁判決では、その上で、「不正に利益を図る目的」や「損害を加える目的」があるわけでもないから自由に利用して構わないものであるとしているようですが、高裁判決では、「不正に利益を図る」という条件が満たされたと認められているようにも読めます。とすると、原理原則となる考え方は同じだけれども、それをこの件に適用した時に出る結論だけが違った、ということなのかな、という気もしないでもありません。

その一方で、地裁では特に問題のある「目的」で利用しなければ自由に利用していいのだ、と述べているのに対して、高裁は目的ではなくて行為の様態を見て、結果として競合してしまっているから不正利用である、という風に判断しているように思えます。つまり、意図ではなくて行為の種類なり、その結果を問題にしているような印象を受けます。加えて、高裁判決では、見出しは読者に対しては無償で提供されていても、他の業者に売ることがあるなどの事情があったので、見出しには独立した価値があると判断したようです。地裁が単に無償で読者に提供されている点のみに注目していることと比べると、やはり異なる考え方を適用しているのかなと思うもうひとつの理由です。

賠償責任が発生した理由

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もう少し具体的に、上の高裁判決中に出てきた判定基準を挙げてみます。 どのような情報を無断で利用することが問題か、という点については4つの条件が挙げられているように思います。

  • 多大の労力,費用をかけた活動の結実である
  • 著作権法による保護の下にあるとまでは認められないものであっても、相応の苦労・工夫により作成されたものである
  • 簡潔な表現により,それ自体の利用で簡潔してしまってリンク先を訪れることが少ないようなものである。
  • 有料での取引対象とされるなど独立した価値を有するものとして扱われている実情があるものである。

今回の判例では、「見出し」はこの4つを満たしているから、保護に値するとされましたが、では1つだけあるいは2つか3つだけしか満たさなかった場合については特に明言はありませんでした。

次に、そうした条件を満たす情報であっても、「社会的に許容される限度」を越さなければ利用してもよいということを述べつつ、今回の件は、そのような限度を超えた利用があったとしています。具体的にどういう風に「限度」を判断しているかと言えば、7つの点に触れているように思います。

  • 無断で利用している
  • 営利の目的をもって利用している
  • 反復継続して利用している
  • 情報の鮮度が高い時期に利用している。
  • 特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピーないし実質的にデッドコピーして利用している
  • 実質的に見出しを配信している
  • 業務と競合する面があることも否定できないものがある

ここで、一番最後の条件は、つまるところそれ以外の6つの条件が満たされたことから来る帰結であると言っていいように思います。(文章の構造から)

資料

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  • 高裁判決についてのデジタルアライアンス側の見解
  • 地裁判決(上に挙げたリンクと同じく、判例データベースのリンクですが、上記のURLは無効になってしまったので。)
  • 高裁判決(これも現段階では「速報」扱いでデータベースに収録されているので、いずれ別のURLに移動するかと思います。)

ウィキペディアへの示唆

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以上のような理解にたって、ウィキペディアの運営方針上、何か気にするべき点があるのかを考えてみました。

まず、高裁判決がディープリンクの是非についての判断に与える示唆を改めて考えてみました。

1件だけリンクをはったところで、不法行為として問題になるということはかなり考えにくいように思いました。

ウィキペディア全体として特定のサイトへの無断リンクが多く張られてしまっていて、かつ、その結果、リンク先のサイトの業務と競合してしまった場合にはどうなのか、ということを考えてみると、そもそもそういうケースが考えづらいので、あまりありそうにないと思いました。例えば、他のサイトがリンク集サイトであり、ウィキペディアでそのリンク集を無断利用したことから、その外部サイトの訪問者数が減ってしまう、というようなケースであれば、あるいは問題が発生することもあるかも知れません。ディープリンクの是非とは異なる問題のように思いますが。また、そのようにリンク集を無断で利用する場合には、デッドコピーのような形で利用した場合には著作権上の問題を避けられるかどうかも判断が難しいところなのではないかと思いました。

ひとつ、リンクに関連して考えられるのは、新聞社などのサイトで提供されている記事について、サイト内の案内ページよりもわかりやすい案内とリンク集を作成してしまった場合ではないかと思いました。その場合には確かに案内ページと競合することになるかも知れません。これはディープリンクを張ることの問題とは少し違う気がしますが、ディープリンクを禁止する意見の根拠の中には、自サイトの案内ページなどを利用させたいというものもあるようなのが若干気になります。ただ競合の仕方はリンク先のサイトにある案内ページをデッドコピーしてしまうということではなく、それよりも優れた案内ページを作成することなので、問題ない(社会的に許容できる限度を超えない)のかも知れません。また、このようなページがそもそもウィキペディア内で成立するか、というと、他サイトと競合するような形・規模ででは作成されることはないような気がします。

そこで、リンクに関しては、その量が多くても、リンク先のサイトなどと競合する可能性は考えにくく、その点では見出し配信サービスと違ってかなり安全なのではないかというのが、ひとまずの感想です。

次に、見出しとリンクをセットで考えてみます。この裁判では見出しとリンクをセットにしたものが配信されていたわけですが、ウィキペディアでもそのようにリンク先の他社の記事などの見出しをそのまま利用することは慣習的に行われるように思います。それが社会的に許容される限度を超えることがあるでしょうか?

上で抽出した、不法行為が成立する条件にあてはめて考えると、ウィキペディアで他サイトの見出しが利用される場合には、次のように言えるのではないかと思いました。

  • 無断で利用している -あてはまる
  • 営利の目的をもって利用している -あてはまらない
  • 反復継続して利用している -あてはまる場合は少ないが、想定可能
  • 情報の鮮度が高い時期に利用している。 -あてはまる場合もある。
  • 特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピーないし実質的にデッドコピーして利用している -見出しについてのみとりあげれば、あてはまる
  • 実質的に見出しを配信している -あてはまる場合もある
  • 業務と競合する面があることも否定できないものがある -あてはまる場合もある

基本的に、ウィキペディア上で他のニュースサイトの見出しが利用される場合は、無断であり、時には鮮度が高い時期に利用しているものだと思います。また、個々の項目内でリンクと共に提供される見出し情報について言えば、デッドコピーに近い形で利用している場合があるとも言えるように思います。ですが、非営利であり、反復継続性はかなり乏しいように思います。

ひとつ、「見出し配信」に似た何かがウィキペディアに関連して考えられるとしたら、最近の出来事ページが非常に充実する場合だと思います。ですが、通常は、最近の出来事ページでは見出しのデッドコピーをする理由は少なく、ウィキペディアにあった記述のスタイルで情報を提供していると言っていいように思います。そこで、特定のサイトから見出しを不当に利用したと言われる理由はなさそうに思いました。このようなスタイルが継承されている限りは、問題はなさそうです。

もうひとつ考えられるのは、特定の事件などについて、報道機関と争うようなペースで次々更新が起こり、かつ、それが長期間にわたって持続する場合です。今回の裁判で問題となったのは、一日平均6個程度、計365個の見出しが利用され、2万ほどのサイトで表示されたというもので、およそ25万円の賠償責任が認められたようです。見出しの数だけをとりあげれば、これに近い規模の利用はウィキペディア日本語版で、複数の大きな事件についての記事を併せて考えた場合には到達することも十分ありそうに思いました。また、表示される回数は、例えばYahoo!からのリンクがいくつか張られるといった事情があれば2万のサイトに表示されたのと同じぐらいの人の目に触れることもあるかも知れません。この場合、もっとも重要な焦点のようにも見える「競合性」はより高くなると思います。言い換えると、日々のニュースを追いかけるためにニュースサイトを訪れる代わりにウィキペディアの記事の更新をチェックしよう、という人が大勢出てきてしまうほどに迅速な更新が行われる記事が多くなるのは、不法行為の観点から考えるとどの程度危ないことなのか、ということが気になりました。

上の条件にあてはめれば、次のようになります。

  • 無断で利用している -あてはまる
  • 営利の目的をもって利用している -あてはまらない
  • 反復継続して利用している -あてはまる
  • 情報の鮮度が高い時期に利用している。 -あてはまる
  • 特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピーないし実質的にデッドコピーして利用している -見出しについてのみとりあげれば、あてはまる
  • 実質的に見出しを配信している -あてはまる
  • 業務と競合する面があることも否定できないものがある -あてはまる

これだけを見るとほとんどの条件にあてはまることになります。そこで、デジタルアライアンス社が行った事業とウィキペディアの一部の項目がそのように頻繁な更新をした場合との違いは何か、ウィキペディアを弁護する材料、論拠があるかということを考えてみました。

  • まず、営利目的ではない、ということが挙げられます。地裁判決では、不当に利益をあげる目的で利用することは問題だ、という見解が示され、デジタルアライアンス社の行為はそうした行為にあたらない、とされました。その考え方で行くと、ウィキペディア上で起こる利用にも問題はないような気がするのですが、高裁ではこの「目的」が正面からとりあげられたわけではなく、むしろ目的が何であったにせよ結果として配信事業のようになっていて、競合する面が出てきてしまっているとしているようにとれる部分があります。そこで、営利目的でないとしても、その他の条件にあてはまってしまうとそれほど弁護の余地がないものなのかも知れません。(よくわかりませんでした。)
  • 「特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピーないし実質的にデッドコピーして利用している」、というのは、見出しだけをとりあげた場合は、確かにそのようにいえます。
    • ただ、リンク先の記事をデッドコピーするようなことは基本的にウィキペディアでは許容されていませんから、記事内容についてはこの条件を満たさないと言えそうに思います。
    • また、ウィキペディアの記事では、単に個々の報道記事の情報を羅列するわけではなく、それらを関連づけてまとめたり、特徴・パターンなどを指摘したりしますから、その観点からも、デッドコピーではないと言えそうですし、「特段の労力を要することもなく」とも言えないように思いました。
    • また、これは推測ですが、ウィキペディアの項目を読む人で、「見出し」を見ることで満足し、項目の記載内容にはあまり注意を払わない、リンク先を訪れることもない、というような人は少ないため、「見出し配信事業」にはあたらないし、ウィキペディアの項目の価値は、「見出し」の価値によって成り立っているわけではない、という風に言えるように思います。そこで、見出しを多くの人に配信しているとしても、それでリンク先の見出し配信事業に支障が出ることが仮にあるとしても、その原因はウィキペディアが見出しを利用していることにあるのではなくて、むしろリンク先のページの記載内容も利用しているから、ということになるような気がします。そして、その部分について見ると、「デッドコピー」や「特段の労力を要することもなく」利用しているということはあてはまりませんから、社会的に許容される限度も高くなるのではないかと思います。
    • 少し奇妙な例ですが、次のような事態を想定することでも、同じような考え方にたどり着くように思います。もしも、ウィキペディアの項目内で、リンクは張るけれども見出しはそのままコピーせず、リンク先にどのような内容が記載されているのかを手短に解説する形での利用をした場合、見出しのコピーがないにも関わらず、やはりリンク先への訪問者が減り、また、ウィキペディアの項目と外部サイトとがある種の競合状態になるということがあると思います。そういう風に考えても、やはり、見出しがデッドコピーされているかどうかは、ウィキペディアの項目の価値には関係がないのではないか、と思います。言い換えれば、ウィキペディアが得る利益(とは少し違いますが、訪問者数、読者数)や、リンク先サイトがこうむる損害(訪問者数の減少や、見出し配信事業の提携先の減少など)があるとして、そのような利益や損害は、ウィキペディアにおける見出しの利用と因果関係がないのではないか、ということを思いました。むしろ、何か原因になることがあるとしたら、リンク先のコンテンツを利用することではないかと思います。
  • そして、そのように考えてみると「実質的に見出しを配信している」という条件にもあてはまらないかも知れないと思いました。

では、ウィキペディアで他の報道系サイトと競合するようなコンテンツをタイムリーに提供した場合、不法行為責任を問われる可能性があるでしょうか? これは今回の裁判から更に遠ざかった話題になってしまうのでよくわかりませんが、次のような感想を持ちました。

  • ひとつには、競合する事業自体を否定しているわけではなく、他人の労働の成果を、社会的な許容度を超えて利用して、その他人の利益を奪ってしまった場合に賠償責任が発生するということのようですから、許容度を超えない程度に多くの他社・他者の成果を少しづつ利用するのであれば問題はないということが言えるのだろうと思います。社会的に許容される限度がどこにあると裁判所が判断することになるのかは、僕のような素人にはちょっと想像がつきにくいのですが。。
  • 何か特別な事情でもない限りは、ウィキペディアの記事の更新は特定のニュースサイトには依存せず、複数の報道サイト、その他のソースからの情報を利用することになると思いますし、見出しやリンク先も複数のサイトについて提供することになるのが普通だと思います。そこで、全体として見るとずいぶんと他人の労働の成果に依存しているが、特定のどの一人や一社の労働の成果にも社会的許容限度を超えては依存していない、というような状態であれば、あるいはいいのではないかとも思いました。(それが間違った考え方ではないという保証はどこにもありませんが。。)
  • 競合性だけであれば、昔の事件などについて詳細な記事を提供しているために、新聞社などが提供している有料の過去記事検索・提供サービスが損害を蒙っている、という主張があったらどうなのか、ということも思いつきます。これはデッドコピーなどではなく、単なる情報の利用ですから、デッドコピーと同じ基準で判断されることはないと思うのですが。例えば週刊・月刊などのニュース雑誌のようなニュースメディアは既に存在しており、他社の報道内容に立脚しつつ独自の情報を加味して事業を営んでいると考えることができますから、そのような利用が「社会的に許容される限度」を超えているということはないのではないかな、というのが今のところの予想です。ですが、こうした事業に比べるとウィキペディアの方が他社の報道内容を利用している度合いが高く、また取材などの労力を費やしている度合いは少ない、という点は気になるところではあります。

以上のように考えてみて、当然ながらいろいろ分からない部分が残るので、分からないながらもどういう対策をすると安全なのか、ということも考えてみました。

  • リンクを明らかに許可しているサイトを優先的に利用する
  • 特に登録なども要求せず、RSS配信などで、広告を入れることもなく見出しを提供している場合は、そうでない場合よりも利用してもリスクが少ないかも知れない
  • 複数のソース積極的に使う。
  • 一次資料などを積極的に使う。(但し、ウィキペディアでは独自の研究の発表を受け付けないという方針があるので、それに抵触しないようにすることが難しい場合もありそうですが。)
  • 他のサイトの速報の内容を扱う場合など、特に競合性が高くなる場合には、リンク先にある内容をリンク先を訪れる可能性が高くなるようにする。
  • 特定の新聞記事や外部のウェブページの内容を咀嚼・要約するなどの行為を避ける。(もっとも、要約は多くの場合、著作権侵害になってしまうか、そうでないと言い切れないようなグレーなものになってしまうので、いずれにせよそのような行為は避けるべき、と言えるように思いますが。)

とりあえず考えられるだけは考えてみた、というだけでもう少し時間をおいて改めて考え直したり、他の方のこの件についての論評などを読んでみるとまた意見が違ってくるかも知れません。後半は素人考えで済ませてしまっている部分も多く、あからさまな間違いなどもあるのではないかとも思います。というわけで、本当にとりあえずのものでしかありませんが、他の方が考えるきっかけにでもなればと思い投稿することにしました。

Tomos 2005年12月28日 (水) 18:32 (UTC)[返信]

Template:Historical を貼付

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2005年6月21日 (火) 08:20の版において、本文書が過去の文書である旨が明記されています。その後、この種の文書に対してはTemplate:Historicalを貼付するというルールとなっていますので、本文書に対しても当該テンプレートを貼付しました。--Cave cattum 2007年5月18日 (金) 13:33 (UTC)[返信]