Wikipedia:査読依頼/性科学 20060622

性科学 - ノート[編集]

性科学は、日本語で色々な意味を持って使われており、現在の記事では、「基本的な意味+展開」で概説を記し、「広義の性科学(総合科学としての展望可能性)」、「通俗性科学=セクソロジー」というように説明を行っています。英語版 en:Sexology やフランス語版 fr:Sexologie では、しかしもっと踏み込んだ主張が記述されています。その他方、ドイツ語版では、これに対応するのは「性の研究(de:Sexualforschung)」で、極めて簡潔な、ドイツ内部の事情しか書かれていません。率直に言って、英米、フランス、ドイツ、そして日本でも、「性科学」または「性の研究」は明瞭な輪郭を持っていないように思えます(研究の実体は色々あるのは間違いありませんが)。批評・感想、専門的なアドヴァイスなど戴ければ幸いです。--Maris stella 2006年6月21日 (水) 19:48 (UTC)[返信]

(感想)2006年6月18日 (日) 14:05 (JST)の版を拝見しました。僕は性科学の現状についてほとんど何も知らないので英語版や仏語版の記事と読み比べての感想になりますが、
  • 日本語版の書き出し〜概説部分の記述には非概念的・規範的な面が目につきます。つまり、「通俗的な手練手管の集積ではない」という断り書きにも関わらず、性科学が経験的な「技術」の集積であるとか、性の「適切な」楽しみ方を追求する試みであるかのような印象を受けるということです。
  • 英語版や仏語版の記事をざっと見てみた感じでは、(実情はどうあれ)セクソロジーは規範的なものではないこと、性的少数者の性同一性などの問題を扱うことなどが強調されているようです。セクソロジーの主な興味は人々が今まさにどんな性生活を送り、どのような規範に縛られているかということで、何が望ましいか、というような判断は否定されるように思います。この観点からすると「身体的・心理的な充足やクオリティ(質性)の実現を学の目標としている」という記述は少しずれているのではないでしょうか。
  • 最後に記述のスタイルについてですが、少しスピーチ原稿を読んでいるような気分になりました。目次前の部分の最後の文が「性は...応用科学である」だったり、読点が多めに使われているからだと思います。
見当違いなところなどありましたらおゆるしください。--Makotoy 2006年6月23日 (金) 14:16 (UTC)[返信]
こんにちは。感想をありがとうございます。なるほどと思うと共に、たいへん参考になりました。ところで、更にお手数をおかけすることになることかも知れませんが、「規範的」とか「規範に縛られている」というのは、どういうことなのか、理解力に乏しいため、些か分かりません。できましたら、もう少し具体的に説明願えればとも希望します。たいへん重要なポイントのようにも思えますので、宜しくお願い致します。なお、「スピーチ原稿のような」というのは、そういう書き方を実は、敢えてしているという面もあります。--Maris stella 2006年6月23日 (金) 16:13 (UTC)[返信]
ぼくは「規範」という言葉で「人々がどんな行動をとるかを決めている社会的な価値観/ガイドライン」というようなことを考えています。たとえば「結婚/セックスは男と女の間のものだ」、「女性は14歳から40歳までセックスしてよく、男性は16歳から70歳までセックスしてよい」(本当にこんな考えが受け入れらているかどうかは知りませんが)とか「何人とでも同時に性的関係を維持していてよい/いけない」というような価値観のことです。これらの規範は婚姻制度とかの社会設計にも関わる部分だし、その文脈では望ましい性のありようが何かということは当然問題になるでしょう。法律としてこういうルールを明文化して違反した人に罰を与えるのは一つの縛り方ですし、そうなっていなくても規範を破ることによって周りの人からそしられる(ことが予想される)という形でルールが存在していることもあるとおもいます。
現実問題として、「性の解放」といったような特定の種類の考え方と現在の性科学が結びついているのかもしれないし、そうだとすれば性科学の記事の中にその指摘があってもいいとは思います。ただ、あくまで科学の体系としての性科学の目標は、人々の性に関係した行動がどんな基準にもとづいて決められているのかを明らかにすることであって、どんな考え方や行動が望ましいかを提案することではないということを英語版(目次直前の段落)や仏語版(Objectifs, champs... 説のRemarque) は強調しているようです。--Makotoy 2006年6月24日 (土) 05:20 (UTC)[返信]
ありがとうございます。ご返信が遅れまして、たいへん申し訳ありません。ご指摘の点なのですが、日本語版の記事では、「規範的」に何を研究すべきか、とか、何が正常・異常かを規範的に定めているような表現はないと思うのですが。日本語版では、「生活・人生のクオリティ(QOL)」を唯一の判断基準に置いています。無論、科学としての性科学という要請は、「科学である」と述べていることから自明であると思います。英語版、フランス語版などの「規範的であってはならない」というのは、「性の研究」に対し、規範的な圧力が過去にかかっていたことに起因すると考えています。日本語版では、日本独自の「性の科学的研究」は皆無ではないのですが、現在の「性科学」とは幾らかの距離があります。無論、日本の研究者の先達の方々の成果を継承しているのも事実ですが、日本での性科学は、欧米での研究に追随しているというような現状もあります。言葉たらずかも知れませんが。(日本語の「性科学」は、フランス語の Sexologie とは内容が違っているということも実はあります。日本語では、「性科学とは、性の科学的な研究である」とは書けないのです。Sexologie と性科学は、インターラングで結ぶ程度に対応はしますが、内容が違っているというのが実情です。例えば、「日本性科学会」の性科学は、Sexual science となっていて、Sexology になっていません)。--Maris stella 2006年8月11日 (金) 17:20 (UTC)[返信]

お疲れ様です。この分野は素人ですが、気になった点を指摘させていただきます。

  1. 概説の節、「しかし国民の平均寿命が伸び少子化により...」と急に日本の状況の話になってしまいます。この文は「日本におけるの性科学」の節にうつし、より一般的な課題について述べたほうが良いと思います。
  2. 歴史の節はもう少し内容が欲しいと思います。具体的な研究例をもう2・3点挙げて、どのように展開していったのかが分かるようにしたほうが良いと思います。また、歴史の末尾が第二次大戦後すぐの時期なので、(より現代に近い)20世紀後半にどのような展開があったのかについても追記してあるとうれしいと思います。
  3. 「広義の性科学の構想」の節ですが、「しかしこのような「広義の性科学」は、...」以下の文章は言い過ぎの感が否めません。このような強い主張には、誰による主張であるのかなど、少なくとも出典を示すべきだと思います。また、このような主張に対する反論が「性科学」分野において存在しないとは思えないのですが。。。NPOVとして、両論併記をとった方が良いと思います。

以上です。僭越ながら、参考になりましたら幸いです。Masao 2006年7月31日 (月) 18:11 (UTC)[返信]

ありがとうございます。ご返信が遅れましたこと、お詫びいたします。1) の点は、文章をもう一度考慮させて戴きたく思います。2) の点ですが、仰られます通り、「歴史」についてもう少し現代までつながるような記述を試みたく考えます。3) についてですが、これは「広義の性科学」が「存在しない」以上、両論併記にはなりえません。つまり、「性科学概論」のような非常に広い範囲、学際的な範囲を扱うような本が、日本にはありませんし、欧米諸国にもそういう文献はないようです。もっとも系統的に「セクソロジー」を述べているのは、フランス語版のウィキペディアですが、参考文献が、「性に関する事典」の「Sexologie の項目」となっています。総合科学としての性科学が、本当にあるなら、どこかに痕跡があるはずですが、どこにも見つかりません。様々な専門分野で、性に関する研究が行われているというのは事実ですが、それらを体系的にまとめるとか、あるいは体系はなくとも、学際的な学問として、一つの展望を築こうというような試みが見あたりません。「ない」ことの出典を出すことは困難です(総合科学としての試みの概説書でもあれば、非常に分かりやすいのですが、村瀬氏の「セクソロジー・ノート」を見ましても、そういう総合科学の示唆はありません。現在、記事に述べているような、ともかくも、身近な性の問題について、QOLを高めようという話です)。浅学故に間違っているのかも知れませんが、そういう概説書があるなら、是非入手したいと思います。なお、何故「強く、ないと述べているか」は、そういうものが「ある」と根拠や典拠を示さず主張するものが存在し、通俗本でも、そういう類の示唆を行っているので、敢えて「ないことを強調」しています。(「ある」と主張して、その後の根拠付けが何もない例が現実に存在しています。なお疑問でしたら、更にこの件については、より慎重に考えてみたく思いますので宜しくお願い致します)。再度、ありがとうございます。--Maris stella 2006年8月11日 (金) 17:20 (UTC)[返信]
お返事ありがとうございます。3)についてですが、まず一般論として、「見当たらない」のであれば、そのまま「見当たらない」と書くのが、少なくとも学術論文における文章作法です。ここは百科事典なので、言い切ってしまってもかまわないと思いますが、科学についての記事であるからには、やはり慎重に記述していただくのがよろしいように思います。いかがでしょうか?
また、「ある」と言っている文献資料があるのであれば、中立性のために示すべきです。また、オリジナルリサーチの恐れがありますので、できれば「無い」ということの出典も示すべきです。現在の文章に強引に組み込むのであれば、以下のような形(文章内容はただの例です)で両論併記をいったんは作るべきと考えます。
○○[1]は△△という観点から性科学の総合科学としての展望が開けると述べている。しかしながら、この主張には明確な論拠が見当たらないとして、××[2]はこの主張を否定し、いまだ具体的な展望が開けたことは無いとしている。
また、ここからが本質的な論点かと思いますが、そもそも「体系的」「総合科学」なるものが具体的に何を指しているのかが不明です。一般に現代の科学分野というものは重層的な個別領域研究の上に成り立っているため、分野全体における体系性などは厳密にいえばそもそも存在しないのが普通だと思います。これはおそらくMaris stella様と私の科学観・学問観の違いから来るものだと思いますが、この体系性なるものが何を指しているのか、少し説明していただけると、ありがたいです。 Masao 2006年8月14日 (月) 09:21 (UTC)[返信]
あ、今、少し探してみたところ、この分野ではSociety for the Scientific Study of Sexualityなる国際学会があるのですね。1957年設立で学際領域を扱う、会誌・論文誌・AnnualReview誌を出版しているようですので、こちらの出版物を見れば研究動向の全体像が分かるものかと思います。ご参考まで。Masao 2006年8月14日 (月) 09:28 (UTC)[返信]
こんにちは、ご返答ありがとうございます。「総合科学」については、元々なかったのですが、次の編集で入れたものです。「総合科学追加」。何故、総合科学という文言を入れたかというと、たまたま総合科学の記事を見ると、性科学が総合科学に入れられていたので、これを削除すると共に、「総合科学ではない」と明らかにするために附記したものです。それまでは「メタ科学」という言葉を使っていました。なお、「石濱淳美 『新編セクソロジー辞典』」の「性科学」の項目に、性科学は、多数の分野を横断するビッグサイエンスであるというような説明があり、石濱氏は、かなりお年を召されているとはいえ、専門の学者であり、この文言を元に、性科学がビッグサイエンスだとか学際科学であるとか、主張するものがいたので、それを否定する目的もあります(なお、石濱氏の言葉は、「ビッグサイエンス」云々の後がありません。実際に、ビッグサイエンスとしての性科学は実在していないことを、知っていたからでしょうし、これは石濱氏の「かくありたい」という思いです)。また「体系性」に関しては、英語版ウィキペディアの性科学に相応する記事冒頭に、「Sexology is the systematic study of human sexuality.」とあります。英語版は「セクソロジーは、体系的な研究である」と述べているのですが、それはおかしいと云うことです。フランス語版では、冒頭に、「La sexologie est l'étude de la sexualité humaine et de ses troubles.」とあります。「体系的」という言葉はありません。なお、参考書籍には入れていませんが、『現代セクソロジー辞典』という本があり、Amazon.co.jp にある、本の紹介の「出版社からの内容紹介」で、次のようなことが記されています:「今や<性>は、……。本書は、解剖学・生理学・遺伝学・心理学・社会学・法学・文学・民俗学・媚薬学・性技術など多方面から総合的にとらえた……」(現代セクソロジー辞典)。この本は元々、「性に関する用語集」であって、しかも、インターネット上での本または訳者に対する批判として、原文にない「俗語」の類までも、日本語版では勝手に追加して入れているというものがあり(英語の元の本と、この本を比較していないので確認していませんが)、「通俗性科学」というのは、このように存在しています。Amazon.co.jp で「セクソロジー」とか「性科学」のキーワードで検索すると、夥しい本が出てきますが、どれも、科学的な学術書とはほど遠く、専門の精神科医が書いた『性科学』という本も出ていますが(内容未見)、これもアマゾンのレビューで見ると(性科学・Amazon)、「変態性慾ノ心理学」と大差ない内容のようで、学術書とは言い難い面があります。「通俗性科学」の項を誰か削除していますが、現実に、単なる用語集に対し、上で引用したような過大な宣伝文句が付いているなど、世のなかの誤解あるいは、意図したミスリードが多いため、性科学は、総合科学ではなく、通俗性科学ではない、という記述を入れる必要があると考えています。これは「独自の研究」ではないと考えます。(なお、性に関して、学際的に、色々な分野で研究されているのでは事実です。ただし、それを「性科学とは呼ばない」というか、呼ぶと、性科学の概念が発散して来ます)。--Maris stella 2006年8月14日 (月) 14:41 (UTC)[返信]
お返事ありがとうございます。正直申しまして、先の質問の「体系性が何を指すのか」について、まだよく分かりません。具体的にお示しいただければ幸いです。また「なお、性に関して、学際的に、色々な分野で研究されているのでは事実です。ただし、それを『性科学とは呼ばない』というか、呼ぶと、性科学の概念が発散して来ます」とされていますが、その根拠がよく分かりません。これについて説明いただければ幸いです。たびたびで済みませんが、よろしくお願いいたします。Masao 2006年8月16日 (水) 03:15 (UTC)[返信]