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Xabre

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Xabre 400

Xabre(セイバー)は、SiS社が開発したビデオチップ(グラフィックアクセラレータ、GPU)、およびそれらの製品シリーズ名である。

Xabreという名称は、eXtraordinary, Advanced, Brilliant, Rapture, Enrichmentの5語より1字ずつとり[1]を意味する Saber の音に当てはめたものである。性能・価格的には、ローエンドからメインストリームクラスの製品である[1]

概要

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ECS AG400T8-D64
(Xabre 400採用)

Xabreは、SiSによるビデオチップ「SiS 315」の後継製品で、コードネーム SiS 330 シリーズとして開発された[1]。256ビット3Dエンジン128ビットの2Dエンジンで構成されるグラフィックスコアを持つ。

4P/2Tで構成されるピクセルピクセルシェーダー Pixelizerを搭載し、バーテックスシェーダーはソフトウェア処理とすることでDirectX 8.1に対応している[1]。Xabre 600では Vertexilzer と呼ぶバーテックスシェーダーのソフトウェア処理を支援する仕組みが搭載された[2][3]

また、AGP 8Xバスを他社に先駆けて採用[1]。SiSはAGP 8XならびにDirectX 8へ対応したXabreのデザインを 8X8 と呼んだ[1]。Xabreの発表時はまだAGP 8Xの規格自体が正式に策定されておらずプロポーザル規格に準じた対応であった[1]が、AGP 8xをサポートするSiS 648チップセットと合わせ、同シリーズのアドバンテージとして積極的にアピールされた。この他、2x/4xのFSAAに対応する Jitter-Free Anti-Aliasing およびディスプレイ出力の色調補正を行う Coloredeemer などの機能を搭載する[1]

さらにコンパニオンチップのSiS 301を併用すると、デュアルディスプレイ機能の Double Scene Technology を利用可能となる。これによりセカンダリの出力はVGAだけでなく、DVIまたはS-Video/NTSC/PALの出力も可能となる。実際にXabre 400/600を搭載したビデオカードの多くがSiS 301を搭載している。

動画再生支援機能としては最大20 Mビット/秒のビットレートMPEG-1/2のハードウェアデコードが可能な他、スケーリングおよびインターレース補完、ダウンスケーリングにもハードウェアで対応する[1]

歴史

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採用製品

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Xabreを採用したビデオカードは大手ボードベンダー各社よりリリースされた。特に、Triplex社より販売されたビデオカードは銀色の基板や、三角柱の独特なパッケージングデザインが話題になった[5]

2003年にはECS社からXabre200をオンボード実装したマザーボード L4VXAG が発売された。

派生品

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Mirage2を搭載するSiS 760GX

SiSは2002年、Intelプラットフォーム向けの統合チップセット SiS 660 および、AMDプラットフォーム向けの統合チップセット SiS 760 を発表した。これらに統合される Mirage2 (旧称Ultra256) グラフィックスコアはXabre80がベースとなっている。

SiS 760はメインメモリの一部をVRAMとして使用するUMA以外にビデオメモリ専用に外部メモリを接続する Local Frame Buffer (LFB) をサポートする。LFBはメモリバス幅64ビットで接続され、UMAとの併用も可能である。LFBとUMAとの併用時にはメモリバス幅は128ビットとなる。

後にLFBサポートを省略した"SiS 760GX"も発表された。

製品仕様

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製品名 製造プロセス コアクロック メモリクロック メモリバス幅 最大容量 インターフェース
Xabre 600 130 nm 300 MHz 600 (300×2) MHz 128ビット 128 MB AGP 8x
Xabre 400 150 nm 250 MHz 500 (250×2) MHz 128ビット 128 MB AGP 8x
Xabre 200 150 nm 200 MHz 400 (200×2) MHz 128ビット 128 MB AGP 8x
Xabre 80 150 nm 200 MHz 333 (166×2) MHzまたは166 MHz (SDR) 64ビット 64 MB AGP 4x
Mirage 2 N/A 133 MHz N/A 128ビットまたは64ビット 128 MB AGP 8x相当


評価とその後

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XabreシリーズはGPU市場ではマイナープレイヤーに属するSiSの製品でありながら、多くのビデオカードOEMメーカーに採用された。またNVIDIAが供給する競合製品であるGeForce4 MXシリーズへの値下げ圧力となる[6]など一定の成功を収め、SiSは前モデルであるSiS 315に続き、GPUベンダーとして一定の存在感を示した。

これはXabreシリーズが安価であることに加え、普及価格帯のビデオカード製品としては初めてピクセルシェーダ1.3を搭載し、DirectX 8.1に対応した点が大きい。(当時の競合となるGeForce4 MX、RADEON 7x00ともにDirectX 7世代であった)

その後、Xabreシリーズの後継製品として、Xabre II がたびたびアナウンスされた。これは8P/8Tで構成されピクセルシェーダ2.0およびバーテックスシェーダ2.0を搭載することでDierctX 9.0に完全対応し、0.13 μmプロセスルールで製造されるGPUであるとされていた。しかしXabre IIが正式発表されないまま、SiSはグラフィック部門を分社化する形でXGI社を設立。Xabreシリーズに関する諸権利はSiSに残されたが、以後SiSではディスクリート向けGPUの開発は行われず、Xabreシリーズも終了した。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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  • SiS(英語)