YOSHIKI: UNDER THE SKY
YOSHIKI: UNDER THE SKY | |
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監督 | YOSHIKI |
製作 |
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製作総指揮 |
YOSHIKI マーク・リッチー |
出演者 | |
音楽 | YOSHIKI |
撮影 |
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編集 | スペンサー・リー |
製作会社 | A LIST MEDIA ENTERTAINMENT, INC. |
配給 |
Abramorama (日本国外) 東宝 (日本) |
公開 |
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上映時間 | 91分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語、日本語 |
『YOSHIKI: UNDER THE SKY』(ヨシキ: アンダーザスカイ)は、2023年に公開されたYOSHIKI監督による音楽ドキュメンタリー映画。YOSHIKI初の監督作品となる。『We Are X』の監督スティーブン・キジャックがコンサルティングプロデューサーを務めた[1]。
解説
[編集]2020年、人類は新型コロナウイルスの世界的流行に遭遇していた。人から人へ強力に感染するウイルスにより、音楽家のステージは奪われた。大勢の観客がコンサート会場に来場して音楽家が演奏するということができない異常事態が続いた。いつも音楽活動の支えとなるファンのためにできることとしてYOSHIKIは世界各国のアーティストとのコラボレーションを企画した[2]。「どんな困難も乗り越えていけるというメッセージを全世界に届けよう」とYOSHIKIは呼びかけた[3]。このドキュメンタリー映画は、YOSHIKIに賛同した10組のアーティストとのコラボレーションの軌跡を追った[4]。YOSHIKIによると、「僕の日常の一部を切り取ったような作品になったと思います」[5]。それはコンサート映画ということではなく、この映画を観た後で人生観が変わるほど「凄く深い、ジェットコースターみたいなストーリーが待っています。」ということである[6]。この映画は「みんなで助け合う」チャリティ精神がテーマの1つである[5]。YOSHIKIは、何台も自動車を所有するような物欲の実現で心が満たされることはなく、人を救うことが心を満たし、自分の救いにもなるのであるという[5]。彼は映画を通じてチャリティ精神が広まることを願っている[5]。
新型コロナウイルスの流行が収束しない中で、プロジェクトは難航した。2022年2月、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まった。それでもYOSHIKIは、どんな困難も乗り越えていこう、音楽の力で前に向かって生きていこうという思いでプロジェクトを続行して2023年の公開に踏み切った[7]。
映画のタイトル『YOSHIKI: UNDER THE SKY』とは地上で生きている自分たちのことである[8]。1998年に死去したX JAPANのギタリストhideや2011年に死去したX JAPANのベーシストTAIJIの、天に召された彼らの遺志を全世界に届けることが使命であるとYOSHIKIは映画で語っている[1]。
演奏曲
[編集]世界中誰であってもつながっている空の下、YOSHIKIと各国アーティストのコラボレーションが演奏された。
- ザ・チェインスモーカーズ/「Closer」
- セイント・ヴィンセント/「New York」
- 作詞・作曲: アニー・クラーク、ジャック・アントノフ
- サラ・ブライトマン/「Miracle」
- 作詞・作曲: YOSHIKI
- スコーピオンズ/「Wind Of Change」 (Ukraine version)
- 作詞・作曲: クラウス・マイネ
- HYDE/「Red Swan」 (feat. SUGIZO on guitar)
- 作詞・作曲: YOSHIKI
- SUGIZO (on violin)/「La Venus」
- 作詞・作曲: YOSHIKI
- SixTONES/「Imitation Rain」
- 作詞・作曲: YOSHIKI
- ジェーン・チャン/「Hero」
- 作詞・作曲: YOSHIKI
- リンジー・スターリング (on violin)/「Forever Love」
- 作詞・作曲: YOSHIKI
- ニコール・シャージンガー/「I'll Be Your Love」
- 作詞・作曲: YOSHIKI
- YOSHIKI/「ENDLESS RAIN」 (世界中の人々による合唱)
- 作詞・作曲: YOSHIKI
ザ・チェインスモーカーズの「Closer」は、新型コロナ流行の数年前に華々しい記録を樹立した全世界的ヒットの恋愛ソング。曲の後半でYOSHIKIはピアノからドラムに切り替え、アレックス・ポールはキーボードから電子ドラムに切り替え、マット・マグワイアのドラム演奏にYOSHIKIとアレックス・ポールが加わり3人のドラム演奏となる。
スコーピオンズの「Wind Of Change」は、東西冷戦終結の讃歌であり、史上最大級のセールスを記録したシングル盤として知られている。シングル盤リリース当時の1991年、ソ連で発生した軍事的クーデターに対する民衆らによる抵抗の勝利後に世界中でヒットした。スコーピオンズはロシアのウクライナ軍事侵攻により、歌詞を侵略への抵抗のメッセージに差し替えて演奏し始めた。YOSHIKIとのコラボレーションは初めてとなる差し替え版による演奏である[9]。
クライマックスの「ENDLESS RAIN」について、YOSHIKIは「この楽曲は僕が最初に作ったバラード曲です。悲しみや憎しみを全部洗い流してくれという歌詞の通り、いまの世の中の状況に当てはまるのではないかと選びました。曲の中で“心の傷に”と言っていますが、それを皆さんの愛の連鎖、愛の雨で満たしてほしい。そう思ってファンの皆様にSNSで募り、集まった数千の歌声を編集させていただきました。」と語っている[1]。
栄誉・受賞
[編集]- YOSHIKIの影響力や功績が讃えられ[10]、2023年9月14日にハリウッドのTCL・チャイニーズ・シアターでYOSHIKIの手型・足型を刻むセレモニーが行われた[注釈 1]。これはアジア人アーティストとして初、日本人として初の栄誉である[11]。東京六本木ヒルズ(9月5日)、ニューヨーク(9月7日)、ロンドン(9月11日)におけるプレミア上映に続き、同日9月14日の夜、チャイニーズ・シアターでロサンゼルスにおけるプレミア上映が行われた。2024年1月9日、チャイニーズ・シアターで手型・足型を披露するセレモニーが行われた。存命の本人が出席して行われることは100年の歴史の中で異例であった[12]。
- YOSHIKIはミュージシャンとして、またウクライナ難民支援や災害救援等のフィランソロピストとして[13]、ジャパン・ソサエティーの最も権威ある「Award of Honor」を受賞した[14]。2023年10月29日にX JAPANのベーシストHEATHが死去したことによりYOSHIKIは日本へ緊急帰国し、2023年11月1日にサンフランシスコで予定していた授賞式は不参加[15]。
- 2023年11月14日にロサンゼルスで開催された第1回「StarS Asian International Film Festival」にアーティスト・映画監督として招待されたYOSHIKIは「icon award」を受賞し、アンソニー・マッカーテンからトロフィーを授かった[16]。YOSHIKIは「Forever Love」とクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」をピアノで演奏し、ドラムの即興演奏も披露した[16]。
- この映画は2024年第96回アカデミー賞ドキュメンタリー長編映画部門の選考対象作品となった[17]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 久保田和馬 (2023年9月16日). ““映画監督"YOSHIKIが語る、「UNDER THE SKY」に込めた意味と亡きメンバーたちの遺志「やはり僕の原点はX JAPAN」”. MOVIE WALKER PRESS
- ^ “「YOSHIKI:UNDER THE SKY」ジャパンプレミア”. 東宝. (2023年9月5日)
- ^ “YOSHIKIが監督を務める全世界プロジェクト『YOSHIKI:UNDER THE SKY』世界に先駆け日本で公開決定 一部映像も解禁”. クランクイン!. (2023年8月1日)
- ^ “YOSHIKI:UNDER THE SKY”. ぴあ
- ^ a b c d 松村果奈 (2023年9月12日). “YOSHIKI:UNDER THE SKY : インタビュー 「人生って挑戦」YOSHIKI、初の映画監督作品を語る”. 映画.com
- ^ 林瑞絵 (2023年12月14日). “YOSHIKIインタビュー「不可能はない」ということ。”. OVNI
- ^ “YOSHIKI監督映画が制作から3年で公開迎える、正直なHYDE「よく3年で済みましたね」”. 音楽ナタリー. (2023年9月5日) . "コロナ禍の中で撮影が始まって、そのあとには戦争も始まってしまって。でもどんな困難も乗り越えていこう。音楽の力で前に向かって生きていこうという思いを込めた作品です。だからこのタイミングで公開すると決めた自分の思いが勝って、今日を迎えました。 (ジャパンプレミアの舞台挨拶におけるYOSHIKIの発言)"
- ^ 藤坂美樹 (2023年9月14日). “YOSHIKIがコロナ禍、そして映画『YOSHIKI:UNDER THE SKY』の制作を通して得た“生きることへの答え”「人を救うことによって自分も救われる」”. ぴあ
- ^ “YOSHIKI ‘S UNDER THE SKY PROJECT”. Scorpions – Official Site (2023年12月21日). 2023年12月22日閲覧。
- ^ 中島由紀子 (2023年9月20日). “日本人初、ハリウッドに手形足形を刻んだYOSHIKI「明日何が起こるか分からないのが人生」…渡米25年の知られざる苦労とアメリカでの本当の評価とは”. 集英社オンライン
- ^ a b 山崎伸子 (2023年9月24日). “YOSHIKIが日本人初の快挙!米チャイニーズ・シアターに名を刻み、喜びを英語でスピーチ”. MOVIE WALKER PRESS
- ^ “YOSHIKIの手形・足形がハリウッドでお披露目 トム・ハンクス、ジョニー・デップらと同じエリア”. 映画.com. (2024年1月11日)
- ^ “37th "Award of Honor" Gala”. (archive). Japan Society of Northern California
- ^ Steve Pollock (2023年12月22日). “PRESIDENT’S NOTE FOR DECEMBER 2023”. Japan Society of Northern California
- ^ “X JAPAN BASSIST HIROSHI "HEATH" MORIE PASSES AT AGE 55 DUE TO CANCER”. BraveWords. (2023年11月8日)
- ^ a b “YOSHIKI、米国際映画祭でアイコン・アワード受賞”. BARKS. (2023年11月17日)
- ^ Paul Grein (2023年12月7日). “Music Docs About Jon Batiste, Joan Baez, Little Richard & More Eligible for 2024 Best Documentary Feature Film Oscar: A total of 167 films are vying for 15 slots on the shortlist, which will be revealed Dec. 21.”. Billboard
外部リンク
[編集]- 日本語公式サイト
- 映画『YOSHIKI:UNDER THE SKY』 (予告編ほか) - YouTube (東宝MOVIEチャンネル)
- YOSHIKI: UNDER THE SKY - IMDb