Z-19 (航空機)
Z-19
Z-19(拼音: , 簡: 直升-19、繁: 直昇-19)、別称 WZ-19(拼音: , 簡: 武直-19)は、ハルビン飛機工業集団有限責任公司(英: Harbin Aircraft Industry (Group) Co., Ltd. (HAIG))が生産する[1]、偵察/軽攻撃ヘリコプター[2]。愛称はブラック・ホワールウィンド又はブラック・サイクロン(英: Black Whirlwind 又は Black Cyclone、簡: 黑旋风)[1][2]。
開発経緯
[編集]Z-19は戦闘用にZ-9をベースに改造したものである。初飛行は2010年5月と言われている。初飛行を行った機体とは別の試作機が、2010年9月18に墜落で失われたと報じられている[1]。2011年6月には初めて目撃される[2]。少なくとも1機のテールフィンは、T型配置に改造された[1]。珠海エアショー2012で飛行展示され、これがZ-19の初の公開の場となった。2013年後半にはメインローターのマスト上にレーダーを搭載している機体が初めて目撃された。このレーダーを装備したバージョンは非公式にZ-19Aと呼称され、2017年9月に天津国際ヘリ博覧会で再び展示された[1]。
特徴
[編集]機体
[編集]ベースとなったZ-9と比べ胴体の幅は狭く細身となっている。座席は前方にパイロット、後方に射撃手が座る、タンデム配置となっており[1]、衝撃耐性を保持している[2]。コックピットは防弾装甲板で防護されている[2]。キャノピーは透明平板からなる[1]。
メインローターとテールローターを含む尾部は外見上はZ-9と同じに見える。Z-9は中国がAS365ドーファンをライセンス生産したものであり、そのメインローターシステムは複合材製のスターフレックス・ヘッド(エラストメリックベアリングの一種)に複合材製の4枚ブレードを取り付けている。テール部には11枚ブレードを持つフェネストロンがある。フェネストロンの上方には大きな垂直安定板が付いている。フェネストロンの前方には水平安定板が付き、その両端には垂直安定板が付いている[3]。
エンジン
[編集]チュルボメカ アリエルのライセンス生産版であるWZ-8の改良型のWZ-8Gターボシャフトエンジンを2発搭載する。出力は単発で626キロワット、燃料搭載量は1,020リットル(269USガロン)とされている[1]。
アビオニクス
[編集]機首先端にはレーダー警報受信機(RWR)、電子光学/赤外線/レーザー目標指示ターレットを搭載する。メインローターマスト上部にミリ波レーダーを搭載するタイプ(Z-19Aと呼ばれている)が存在する[1]。
武装
[編集]両翼合わせて4箇所の機外搭載品ステーションを有するスタブウイングには以下の兵装を搭載できる[1]。
- 対戦車ミサイル:HJ-9/KD-9、又はHJ-10/KD-10又はBA-21[4]×最大8発
- 空対空ミサイル:TY-90/PL-90
- ガンポッド:12.5ミリ又は23ミリ機関砲
- ロケット弾ポッド:直径70ミリ×18発
運用
[編集]Z-19は2012年に軍への配備が開始される。Z-19Aは2017年前半に限定的に軍への配備が始まった。2018年9月以来、かなりの数のZ-19は機首両サイドにミサイル警報装置(MAWS)、機首とコックピット前方に装甲板を追加する改修が行われている[2]。
派生型
[編集]- Z-19
- 基本型
- Z-19A
- メインローターマスト上部にミリ波レーダーを装備する型
- Z-19E
- 輸出型
運用者
[編集]性能諸元
[編集]輸出型Z-19Eのスペックが公開されている[1]。
- 乗員:2名
- 全長:12.33 m (40.5 ft)
- 全高:3.72 m (12.2 ft)
- 胴体幅:1.05 m (3.4 ft)
- 小翼幅:3.96 m (13.0 ft)
- メインローター直径:12.00 m (39.37 ft)
- メインローター回転円盤面積:113.1 m2 (1,217 sq ft)
- 空虚重量:2,510 kg (5,530 lb)
- 最大離陸重量:3,650 kg (8,050 lb)(通常ミッション)
- 最大離陸重量:4,250 kg (9,370 lb)
- 最大燃料重量:820 kg (1,810 lb)
- エンジン:SAIC WZ-8G(626 kW (839 shp)×2)
- 最大巡航速度:132 kt (244 km/h)
- 上昇率:498 m/min(海面レベル)
- ホバリング高度:3,600 m (11,800 ft)(地面効果内)
- ホバリング高度:2,900 m (9,500 ft)(地面効果外)
- 航続距離:349 nm (646 km)
登場作品
[編集]小説
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k Paul Jackson FRAeS, ed (2019). Jane's All the World's Aircraft: Development & Production 2019-2020. Jane's Information Group. pp. 152-153. ISBN 978-0710633118
- ^ a b c d e f Rupprecht, Andreas. MODERN CHINESE WARPLANES:Chinese Army Aviation - Aircraft and Units. HARPIA PUBLISHING. pp. 29-30, 49-52. ISBN 978-0-9973092-8-7
- ^ 西尾太郎, ed (2015). 世界航空機年鑑2014-2015. 酣燈社. p. 315. NCID BN06405929
- ^ Rupprecht, Andreas (7 august 2020). “More details emerge about new Chinese helicopter-launched ATGM”. janes.com. 5 February 2020閲覧。