コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

東武亀戸線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
亀戸線
シンボルマーク
東あずま - 亀戸水神間を走行する電車 (2011年12月23日)
東あずま - 亀戸水神間を走行する電車
(2011年12月23日)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 東京都墨田区江東区地図
起点 曳舟駅
終点 亀戸駅
駅数 5駅
路線記号 TS
開業 1904年4月5日
所有者 東武鉄道
運営者 東武鉄道
使用車両 使用車両の節を参照
路線諸元
路線距離 3.4 km
軌間 1,067 mm
線路数 複線(曳舟駅構内は単線)
電化方式 直流1,500 V 架空電車線方式
閉塞方式 自動閉塞式
保安装置 東武形ATS
最高速度 65 km/h[1]
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線

廃駅の数字は書類上の廃止年

STR
伊勢崎線
STR STR+l
京成押上線
KRW+l KRWgr HST
京成曳舟駅
STR
0.0 TS-04 曳舟駅
STRr KRWg+l KRWgr STR
伊勢崎線押上・半蔵門線方面
STRq STRr STR STR
伊勢崎線とうきょうスカイツリー・浅草方面
STRq STRq KRZu STRr
eBHF
0.6 虎橋通駅 -1945
eBHF
0.9 十間橋通駅 -1958
eBHF
1.3 天神駅 -1957
BHF
1.4 TS-41 小村井駅
BHF
2.0 TS-42 東あずま駅 1956-
STR
平井街道駅 -1945
hKRZWae
北十間川
eBHF
2.5 北十間駅 -1946
BHF
2.7 TS-43 亀戸水神駅 (II) 1946-
eBHF
2.9 亀戸水神駅 (I) -1946
STRr
3.4 TS-44 亀戸駅
STRq
STRq
JR東総武線
uexSTRq
uexSTRq
都電25, 29, 38系統
亀戸駅から二つ目の踏切を通過する曳舟行の列車。奥の高架橋はJR越中島支線(2009年7月11日撮影)
住宅街の中を通る(亀戸水神駅
明治通りと平面交差する(小村井駅

亀戸線(かめいどせん)は、東京都墨田区曳舟駅江東区亀戸駅を結ぶ東武鉄道鉄道路線である。ラインカラーは青色駅ナンバリングの路線記号はTS

創業間もない明治期、東武鉄道は総武鉄道(総武本線の前身)両国橋駅(現・両国駅)を都心部ターミナルとしており、曳舟駅から当線区間を経て両国橋駅まで乗り入れていた。総武鉄道が国有化されたことで両国橋駅から撤退し、以後は亀戸駅までの路線が残され、曳舟駅 - 亀戸駅間を往復する列車のみが運行されている(詳細は後節参照)。

路線データ

[編集]

運行形態

[編集]

2両編成電車が、曳舟駅 - 亀戸駅間を往復する。平日朝ラッシュ時は3編成を使用し、約7 - 8分間隔で運行。それ以降、及び土休日は、深夜・早朝帯を除いて2編成を使用し、約10分間隔で運行されている。全列車が各駅停車であり、通過駅を伴う列車、途中駅始発・終着の区間運転や他路線への直通運転はない。全線でワンマン運転を実施している[2]。駅のプラットホームにホームセンサーが設置されていて[3]、このセンサーを用いて安全確認をしている。

ワンマン化されてからは先にワンマン化された大師線と車両運用が共通化されたため、朝ラッシュ時のみ運行される編成が9時台に亀戸駅2番線に留置され、昼過ぎに西新井駅まで回送運行されて13時14分発大師前行きとして大師線の運用に入る。

通常、曳舟駅では5番線での発着となるが、曳舟駅6時23分発亀戸行きのみ、南栗橋車両管区春日部支所から回送で送り込まれるために4番線からの発車となる。

使用車両

[編集]
  • 8000系(南栗橋車両管区春日部支所所属・ワンマン運転対応車・2両編成) - 大師線と共通運用。通常色のほか、昭和30年代の標準塗装と試験塗装を再現したリバイバルカラーとして、朱色、緑色、黄色に塗られた3編成が存在する[4][5][6]。かつては伊勢崎線とも共通運用だった。東上本線池袋駅 - 小川町駅間での定期運用が終了してからは、東京都内の東武線で8000系が運用されている路線は当路線と大師線のみとなった。

過去の使用車両

[編集]

歴史

[編集]

東京と埼玉県群馬県栃木県を結ぶため1897年(明治30年)に設立された東武鉄道は、当初本所(業平橋)としていた起点を東京湾に近い越中島へ延長する計画を立てたが、越中島 - 本所 - 千住間は審査に慎重を要するとして、すぐには免許が下りなかった。そのため日本鉄道海岸線(現・JR常磐線)の北千住駅を起点に久喜駅までが1899年(明治32年)8月に東武鉄道最初の区間として開業した。

東武鉄道は、再び北千住 - 越中島間の敷設願を、途中下大畑(曳舟付近)から分岐して小梅瓦町(吾妻橋駅として開業、後の浅草駅、現・とうきょうスカイツリー駅)まで、亀戸から分岐して本所までの支線を加えて提出した[7]。免許は1900年(明治33年)6月に下り、その一部として、1902年(明治35年)には北千住 - 吾妻橋間が、1904年(明治37年)4月5日に亀戸 - 曳舟間が開業した[7]。開業当初、中間駅は天神駅(現・小村井 - 曳舟間)のみであり、非電化蒸気運転であった。亀戸 - 曳舟開業と同時に、総武鉄道(現・JR東日本総武本線)亀戸 - 両国橋(現・両国)間への直通運転を開始し、同日開業した両国橋駅に乗り入れた[7]。これにより、東武鉄道の吾妻橋 - 曳舟間は廃止され、亀戸 - 曳舟間が本線格の扱いとなった。亀戸 - 本所間の免許は総武鉄道に乗り入れたことで不要となり同年9月に廃止した[7]

その後、乗り入れていた総武鉄道の国有化を機に、ターミナルを吾妻橋駅に戻すことになり、1908年(明治41年)3月に吾妻橋 - 曳舟間が貨物線として再開。1910年(明治43年)3月に吾妻橋駅を浅草駅と改称して、同区間の旅客営業を再開すると、亀戸 - 曳舟間は支線となった。しかし、国鉄常磐線から北千住駅で連絡運輸を行う両国橋行きの貨物列車は引き続き亀戸線を経由した(詳細は「新金貨物線#歴史」を参照)。一方で、亀戸から越中島までの延伸計画も、敷設予定地の市街化が進み、用地取得が困難になってきたことなどから着手出来ず、1910年(明治43年)8月に免許が失効した。1911年(明治44年)には西平井(東陽町駅付近)までの延伸に計画を変更したが、免許取得までは至らなかった。更に新橋駅までの延伸構想もあった[8]

1926年(大正15年)7月1日、国鉄が総武本線の新小岩駅と常磐線の金町駅を結ぶ貨物専用の短絡線新金線を開通させたことで、国鉄からの貨物列車の直通は全てなくなりローカル線となった。1928年(昭和3年)に全線が電化されると駅が多数開業、最大7つの中間駅を抱える路線となったが、第二次世界大戦による空襲で甚大な被害を受け、半数以上の駅が廃止・休止となった。

なお、亀戸 - 越中島間は、後に国鉄が総武本線の貨物支線として亀戸 - 小名木川間を1929年(昭和4年)に、小名木川 - 越中島間を1958年(昭和33年)に開通させた。

戦後は、伊勢崎線沿線の開発に伴い、輸送客が伸びていた。その後1962年(昭和37年)5月31日北越谷駅 - 人形町駅間での伊勢崎線・営団地下鉄(現・東京メトロ日比谷線相互乗り入れ開始により、都心への通勤ルートが大きく変化し、本路線の乗客は減少した。

それ以来、特に大きな変化はなかったが、2003年(平成15年)3月19日地下鉄半蔵門線が押上まで延伸開業して伊勢崎線・日光線との相互直通を始めると同時に、平日朝間帯の本数削減を中心としたダイヤ改正が行われた。

年表

[編集]
東武鉄道株式会社 1906年の路線図。両国駅がターミナルであった。

駅一覧

[編集]
  • 全駅東京都内に所在。
  • 全区間が海抜ゼロメートル地帯を通過しており、駅も標高マイナス1〜2メートルの深さに位置している。
駅番号 駅名 駅間キロ 累計キロ 接続路線 所在地
TS-04 曳舟駅 - 0.0 東武鉄道:TS 伊勢崎線(東武スカイツリーライン) 墨田区
TS-41 小村井駅 1.4 1.4  
TS-42 東あずま駅 0.6 2.0  
TS-43 亀戸水神駅 0.7 2.7   江東区
TS-44 亀戸駅 0.7 3.4 東日本旅客鉄道JB 中央・総武緩行線(JB 23)

廃駅

[編集]
  • 北十間駅(亀戸水神 - 東あずま間、1945年3月10日休止、1946年12月5日廃止)[10]
  • 天神駅(小村井 - 十間橋通間、1956年10月31日休止、1957年5月20日廃止)[10]
  • 十間橋通駅(天神 - 虎橋通間、1945年3月10日休止、1958年10月22日廃止)[10]
  • 虎橋通駅(十間橋通 - 曳舟間、1943年12月26日休止、1945年3月10日廃止)[10]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 寺田裕一『データブック日本の私鉄 : 全国私鉄165社局掲載』(改訂新版)ネコ・パブリッシング〈NEKO MOOK ; 1836〉、2013年。ISBN 9784777013364全国書誌番号:22207422 
  2. ^ a b 亀戸線全線でワンマン運転を開始』(PDF)(プレスリリース)東武鉄道、2004年9月15日。オリジナルの2005年3月20日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20050320182714/http://www.tobu.co.jp/news/2004/09/040915-1.pdf2024年7月8日閲覧 
  3. ^ 2022 安全報告書』(PDF)(レポート)東武鉄道、2022年9月、6(PDF 7/32頁)頁https://www.tobu.co.jp/pdf/corporation/2022_anzenhoukokusyo.pdf2023年9月27日閲覧 
  4. ^ 亀戸線で、下町の魅力を再発見! 3月23日(水)より 亀戸線で昭和30年代の「標準色」リバイバルカラー車両を運行します! ~運行開始にあわせて、亀戸線・下町エリアをめぐるスタンプラリーも実施します~』(PDF)(プレスリリース)東武鉄道、2016年3月9日https://www.tobu.co.jp/pdf/wrapping_train/wrapping_train03.pdf2023年9月27日閲覧 
  5. ^ 昭和の一時期、4両のみ走っていた珍しいカラーをイメージ! 2月16日(木)より 亀戸線で昭和30年代の試験塗装車両をイメージしたリバイバルカラー車両を運行します! ~同日、運行開始にあわせて、出発式も実施します~” (PDF). 東武鉄道 (2017年2月9日). 2023年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月27日閲覧。
  6. ^ 東武鉄道8000系、亀戸線に緑のリバイバルカラー車両が登場 - 2/16運行開始”. マイナビニュース (2017年2月9日). 2024年7月8日閲覧。
  7. ^ a b c d 鉄道省 編「支線開通、廃止、免許失効」『日本鉄道史』 中編、鉄道省、1921年、629頁。doi:10.11501/2127166https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2127166/362 国立国会図書館デジタルコレクション
  8. ^ 東武鉄道(株)社史編纂室「東武鉄道百年--路線延伸の夢を訪ねて」『鉄道ピクトリアル』1997年12月臨時増刊号(通巻647号)、1997年12月、102頁、ISSN 0040-4047 
  9. ^ a b c 東武鉄道年史編纂事務局 1964, p. 161.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 東武鉄道年史編纂事務局 1964, p. 206.
  11. ^ 「鉄道記録帳」『RAIL FAN』第52巻第1号、鉄道友の会、2005年1月、23頁。 

参考文献

[編集]
  • 寺田裕一「大手私鉄の小さな径12 東武鉄道亀戸線・大師線」『鉄道ジャーナル』2003年12月号、鉄道ジャーナル社、2003年12月、103-106頁、ISSN 0288-2337 
  • 東武鉄道年史編纂事務局 編『東武鉄道六十五年史』東武鉄道、1964年。全国書誌番号:64010839 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]