大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
『大乱闘スマッシュブラザーズ』(だいらんとうスマッシュブラザーズ、英題:Super Smash Bros.)は、HAL研究所が開発、任天堂が発売した対戦型アクションゲームのシリーズ名である。略称「スマブラ」。ディレクターは『星のカービィ』を作った事で有名な桜井政博。
概要
大乱闘スマッシュブラザーズは、『スーパーマリオブラザーズ』のマリオや『ゼルダの伝説』のリンクなど、任天堂によって過去に発売されたテレビゲームシリーズの代表的なキャラクターがステージ上で格闘するアクションゲームである。コンピュータによる自動操作も含め、2~4人がゲームに参加できる。
対戦型格闘ゲーム的な性格を持つこのシリーズをひときわ特徴づけているのは、ゲームの勝利条件である。それぞれのプレイヤーは各キャラクターに割り当てられた体力を奪い合うのではなく、いわばベーゴマのように、ゲームの舞台から場外へ落下した(させられた)者が敗れ、最後まで舞台に残っていた者が勝者となる。格闘ゲームに熟練したプレイヤーにとっても研究の価値があるほど格闘部分の質は高く、ステージの特性やランダムで出現するアイテムなど運の要素の強さや、コマンド入力など複雑な部分をできるだけ排除した操作で初心者には親しみやすく上級者には奥の深いゲームであると評されている。
任天堂のゲームから人気キャラクターが登場することにより、それらのゲームのファンの心も掴んだ。本シリーズにおける世界観の統一をはかるため、またそれぞれのオリジナルのゲームの世界観を守るため、登場キャラクターは本人による出演ではなく、彼らに模した人形であるという設定になっている。また、ゲーム終了時に敗者が勝者を拍手で称えるなど、闘いや争いではなくルールにのっとったスポーツであるといった意味合いを強くしてある。
シリーズ
- ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ(NINTENDO64、1999年1月21日発売)
- 通称「スマブラ」。出荷本数約197万本。N64ソフト売り上げ第2位(ちなみに1位は『マリオカート64』の224万本)。
- 大乱闘スマッシュブラザーズDX(ニンテンドーゲームキューブ、2001年11月21日発売)
- 通称「スマブラDX」「スマデラ」。出荷本数約135万本。GCソフト売り上げ第1位。また、発売はおろか公式ホームページに開発の公表すらされていないタイトルの主人公が参加するというゲーム業界では前代未聞のことが発生した。
- このシリーズからタイトル名に「ニンテンドウオールスター!」が無くなった。
- 大乱闘スマッシュブラザーズX(Wii、2007年発売予定)
- 現在製作中、スマブラシリーズとしては初の他社(コナミ)のキャラクター、「ソリッド・スネーク(メタルギア)」の登場が実現している。通称は、「スマブラX」「エクスマ」「スマックス」などがある。
制作の背景
第1作であるNINTENDO64版開発時のプロトタイプは『格闘ゲーム竜王』(竜王とはHAL研が開発センターを構える山梨県甲斐市(当時竜王町)竜王新町から)と呼ばれていた。キャラクターは性能分けも、テクスチャマッピングもされていない素体のみだが、2段ジャンプやスマッシュ攻撃など、後に大乱闘スマッシュブラザーズの基本要素となるものは、その時点で既に出来上がっていた。
元々は64DDで開発が進められていた『MOTHER3』が開発中止になったことから、急遽沈んでいた企画を復活させたものであり、当時はあまり期待されていないソフトだった為に初期出荷本数は少なかった。しかし小学生を中心に対戦の面白さが口コミで広がり、発売後しばらくしてから大ヒットを記録、在庫が切れる店も発生した。このゲームのためにNINTENDO64を購入した消費者も多く、発売時のCM以外にさらなる販売促進目的用のCMも放映された。
ゲームシステム
ふっとばし
各プレイヤーは自分の選択したキャラクターの持つ肉弾戦などの能力によって相手を攻撃し、足場の無い画面下端へ相手を落とすか、左右または上端の更に外へと放り出せば勝利となる。これが本作品の根幹を成すルールとなっており、正式には「ふっとび」や「ふっとばし」と称される。
「ステージから落ちる」とは、足場を踏み外したことが即落ちた判定となるわけではなく、ステージの上下左右に設定された限界ラインへの到達によって判定される。たとえ足場よりも遠くへと吹き飛ばされても、限界ライン(画面外)に到達する前に空中ジャンプや必殺技を使い足場まで復帰することができれば失点にはならない。熟練者同士の戦いでは、この復帰を阻止したり、さらに復帰阻止への抵抗といった駆け引きが生まれる。
キャラクターは攻撃を受けることによってダメージ値(%で表現される)が蓄積してゆく。このダメージ値はキャラクターの吹っ飛び易さに連動しており、多くの攻撃を受ければ、それだけリングアウト(=失点・敗北)に近づくことになる。
操作方法
キャラクターは3Dスティックで左右の移動、しゃがみ、ジャンプができる。これに組み合わせてAボタンで通常技、Bボタンで必殺技を使った攻撃ができる。また、Zボタンでガード、ガード中にAボタンを押すことで相手を掴んで投げることもでき、Rボタンではガードを省略して投げ動作を行う(DXではL/Rボタンでガード、Zが投げ代用ボタンとなっている)。近くにアイテムがあった場合はAボタンで拾い、使用することができる。
ジャンプとダッシュには3Dスティックをすばやく傾ける、すなわちはじく(弾く)操作を採用しており、直感的な操作体系を実現している。ゲームタイトルの由来となっているスマッシュ攻撃とは、この弾く動作と同時にAボタンを押すことで発動する強力なふっとばし攻撃である。
また、Lボタン(DXでは十字キー上)で、キャラクターがポーズをとるアピール行動をとることが出来、主に勝利の誇示や相手への挑発に使われる。戦いに影響をもたらさない行動であるが、例外としてカービィはコピー能力の放棄にアピール動作を必要とする。また、ルイージのアピールには非常に小さな攻撃判定が存在する。
ルール
対戦モードでは、2種2類(GC版『DX』では2種4類)のルールを組み合わせて勝敗を競うことになる。
- 編成条件
-
- バトルロイヤル
- 各個人が独立し、入り乱れて戦う。
- チームバトル
- 個人または複数人で組まれたチーム同士で戦う。2対2は勿論のこと、3対1、2対1、2対1対1など変則マッチも可能。
- 勝利条件
-
- タイム制バトル
- 任意に決めた対戦時間(分単位)が過ぎるまで戦うルール。
- 「相手を撃墜した回数 - 自分が落ちたまたは自滅した回数」で点数が計算され、最もポイントの高かった者が勝利する。
- チームバトルの場合は、そのチームに所属しているプレイヤーの得点の合計点で競う。よって得点でトップの物が所属するチームが必ずしも勝つとは限らない。
- 自滅時は落下点だけでなく、ペナルティとして別途自滅点を減算するよう設定できる。
- トップが2人以上いる場合は当該者同士のサドンデスに突入。ダメージ300%・ストック数1でスタートし最後まで残った者(チーム)が勝利。
- ストック制バトル
- 各者に一律のストック数(落ちると一つ減る)を設定して戦うルール。
- ストックが無くなった者から退場となり、最後に残った者(チーム)が勝利する。
- 誰かとチームを組んでいる場合は、自分のストックが無くなった時にスタートボタンを押すと仲間のストックを一つ分けてもらえる。
- コインバトル(DX)
- 任意に決めた対戦時間(分単位)が過ぎるまで戦うルール。
- 相手に攻撃をヒットさせた時や撃墜したときに出現するコインを多く集めた者(チーム)が勝利する。
- ダメージが大きいほど多くのコインが出現し、それぞれ金は10枚、銀は5枚、銅は1枚分となる。
- ミスをしても退場することはないが、手持ちのコインが半分へと減ってしまう。
- 評価制バトル(DX)
- 任意に決めた対戦時間(分単位)が過ぎるまで戦うルール。
- 「1分間攻撃を受けない」「同じアイテム3連続」「空中攻撃全種類」「まっさきにヒット」「ミュウ(ポケモン)を出現させた」「(タイム制でやったとしての順位が)ビリだった」「ワンパターン戦法」など、対戦内容に応じて生じるスペシャルボーナスの加減点で総点数が計算され、最もポイントの高かった者(チーム)が勝利する。
用語
- スマッシュ攻撃
- Aボタン+スティックはじきでの攻撃のこと。ふつう、弱攻撃や強攻撃に比べ隙は大きいがふっとばし力が強い。アイテムのホームランバットにより横スマッシュのふっとばし力は格段に上昇する。
- 必殺技
- Bボタン+スティックでの攻撃のこと。各キャラ64版では3種類(上・下・通常)、DXでは4種類(上・横・下・通常)、それぞれ特有の技を出す。「必殺」と銘打ってはあるが威力重視の攻撃技だけでなく、攻撃力をもたない移動・防御技などもある。
- つかみ
- その名の通り相手をつかむ事。64版ではRトリガー、GC版ではZボタン、両バージョン共通でシールドキー+Aボタンのいずれかで発動する。つかんでいる間は相手の行動を封じられるうえ、各種投げ技(64版は前後、DXでは上下左右)やつかみ攻撃(DXのみ)に繋ぐ事ができる。通常は手でつかむが、リンク、サムス、ヨッシーはそれぞれフックショット、グラップリングビーム、舌を使って遠くの敵をつかむことができる。シールドで防げない。
- シールドブレイク
- 展開しているシールドの耐久力がなくなったときに起こる現象。シールドが破壊され、ふらふら状態(一定時間操作不能)になる。自身の蓄積ダメージに反比例して短くなり、レバガチャやボタン連打で時間を短縮できる。
- アピール
- 64版ではLボタン、DXでは十字キー上を押すことで発動する、その名の通りのアピール。特にやっても意味は無いが、ルイージのみ攻撃可能であり、カービィのコピー能力を捨てるコマンドでもある。DXではこれに関するボーナスがある他、フォックス、ファルコにはスマッシュアピールというものがある。
登場キャラクター
以下が本シリーズに登場するキャラクターの一覧である。
担当声優に関しては、原作シリーズ(アニメ版などの派生作品を含む)にて既に声が吹き込まれていた場合、スマッシュブラザーズでも同じ声優を採用する場合が多い。逆に、スマッシュブラザーズでのキャスティングが原作に採用される場合もある。
初代から登場しているキャラクター
- マリオ(スーパーマリオブラザーズ)声:チャールズ・マーティネー
- リンク(ゼルダの伝説)声:檜山修之
- ヨッシー(ヨッシーアイランド)声:戸高一生
- ドンキーコング(スーパードンキーコング)
- フォックス(スターフォックス)声:里内信夫
- カービィ(星のカービィ)声:大本眞基子
- サムス(メトロイド)声:未確定(DXまではSE)
- ピカチュウ(ポケットモンスター)声:大谷育江
- ルイージ(スーパーマリオブラザーズ)声:チャールズ・マーティネー
- キャプテン・ファルコン(F-ZERO)声:堀川りょう
- ネス(MOTHER2 ギーグの逆襲)声:大本眞基子
- プリン(ポケットモンスター)声:かないみか
DXから参戦したキャラクター
- ピーチ(スーパーマリオブラザーズ)声:ジェン・テイラー
- クッパ(スーパーマリオブラザーズ)
- アイスクライマー(ポポ&ナナ)(アイスクライマー)声:小林沙苗
- ゼルダ/シーク(ゼルダの伝説 時のオカリナ)声:水沢潤
- ドクターマリオ(ドクターマリオ)声:チャールズ・マーティネー
- ガノンドロフ(ゼルダの伝説)声:長嶝高士
- ファルコ(スターフォックス)声:江川央生
- こどもリンク(ゼルダの伝説)声:瀧本富士子
- ピチュー(ポケットモンスター 金・銀)声:こおろぎさとみ
- ミュウツー(ポケットモンスター):市村正親
- Mr.ゲーム&ウォッチ(ゲーム&ウォッチ)
- マルス(ファイアーエムブレム 紋章の謎)声:緑川光
- ロイ(ファイアーエムブレム 封印の剣)声:福山潤
Xから参戦するキャラクター
- メタナイト(星のカービィ 夢の泉の物語)声:私市淳
- ピット(光神話 パルテナの鏡)声:高山みなみ
- ゼロスーツサムス※(メトロイド ゼロミッション)
- ワリオ(メイド イン ワリオ)声:チャールズ・マーティネー
- スネーク(メタルギアソリッド)声:大塚明夫
※ゼロスーツサムスは正確には新規キャラクターではなく、ある条件を満たすことでサムスのパワードスーツを解除できるという追加要素である。 (分かりやすく言うと、DXのゼルダ・シークのようなもの)
オリジナルキャラクター
1Pモードで登場する。マイキャラとしての使用は不可。(PARやバグなどを使えば別。)
- 謎のザコ敵軍団
- マスターハンド(シリーズのボスキャラ。後に『星のカービィ 鏡の大迷宮』に登場。)
- クレイジーハンド(DXに登場。特定の条件で現れるボスキャラ。後に『星のカービィ 鏡の大迷宮』に登場。)
- ギガクッパ(DXに登場。特定の条件で現れるボスキャラ。)
- サンドバッグくん(DXに登場。ホームランコンテストでのふっとばされ役。)