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レンタカー

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レンタカーrent-a-car と表記されるが和製英語)は、自動車を有料で貸し出す事業、または貸し出された自動車のことである。

概要

日本に於けるレンタカー事業は、道路運送法第80条、同法施行規則第52条の規定、及び運輸支局長の定める「自家用自動車の有償貸渡しの許可基準」に基づく許可を受け、営業を行っている。

条文では、自家用自動車有償貸渡業といい、これを営む場合には国土交通省の運輸支局へ事業許可を受けるための申請を行なう。レンタカーは顧客の事故に備え、一定基準以上の任意保険に加入しなければならず、その加入計画がなければ事業許可を受けられない。

かつては自動車リース会社も同様の手続きを踏む必要があったが、2004年(平成16年)の制度改正によりオートリース事業者の許認可は不要となった。

カーシェアリングも法令上はレンタカーと同じ扱いである。日本におけるレンタカーのナンバープレートの詳細は下のレンタカーのナンバープレートを参照。

レンタカー事業の許可そのものは貨物運送業やタクシー事業と同様個人でも取得することが可能で、前述の許可基準に定める整備管理者をおかない場合は、マイクロバスと二輪車を除いて最大9台まで管理することができる。

時間制、あるいは日(X日)という単位で貸し出される。貸し出す車種としては、乗用車なら軽自動車コンパクトカーや小型セダンから高級車、貨物車なら軽トラックから4トン積みクラスのトラックまであり、引越などの大型荷物搬送用途にトラックライトバン、休日・行楽シーズン時はRV車や多人数乗車が可能な1ボックスカーマイクロバスを借りる利用者が多い。

日本では1949年にドライブクラブこと貸自動車行業が始まるが交通事故やトラブルが多く、さびれていく。1964年のホンダレンタカー(S600のみで5年後撤退)参入をきっかけにトヨタレンタカー、日産観光サービスと参入が相次いでいった。現在では全国各地に営業店舗を展開する大手レンタカー会社と、離島や観光地・都市部など特定の地域内で事業を営む中小のレンタカー会社・業者がある(宿泊施設などが貸渡業をしているのも多い)。島嶼で独占状態の業者を除けば、同じような車種・時間でも料金やサービス・車両の年式や状態に差があるため、近年は品質や値頃感で競争する傾向がある。

日本では運輸局長令によって、レンタカー会社による運転手の紹介・斡旋は禁止されているが、海外においては、運転手つきレンタカーサービスを行うところが多い(ただしこの場合も、利用は外国人に限定されているなど、制限がある場合が多い)。

個人による借受の他に、代車や会社による借り入れ契約というものもある。損害保険会社の自動車保険に、代車特約というものがあるが、車両保険を使って自身の車を修理入庫する間、同クラスの車のレンタカー代金を損保会社が支払うものである。また、車対車の事故の被害者宛に、代車を修理工場が保有するものではなく、レンタカーで手配するというシステムもある。

「Car Rental」若しくは「Rental Car」が正しい英語表現だが、Rent-A-Carと表現する業者も存在する。最近は英語圏の市中でも「Rent-A-Car」の表示を見ることがある。

レンタカー業者

日本に於いては、自動車メーカーやそれに附随する自動車ディーラーが母体となって設立したメーカー系、他業種(事業会社)が母体となって設立した非メーカー系・独立系に大きく分けられる。さらに2000年代に入り、ガソリンスタンドや自動車関連事業者が運営する「格安レンタカー」も出店している。

メーカー系

自動車メーカーやそれに附随する自動車ディーラーが出資母体として設立された形態で、取扱車両は基本的に出資母体の自動車メーカーの車種にほぼ特化されている。系列ディーラーによる新車販売および自動車保険契約の得意先でもあるため、新車をレンタカーとして用いる期間(サイクル)が短い・店舗網が広域に整備されているいう特徴を持つ。また、出資母体とは連結経営である業者が多く、車両の仕入れに当たっては、レンタカー事業統括会社や系列の自動車金融(リースクレジット)会社が所有して、店舗経営会社はリース形態で借り受けて運用する形態も多い。なお、トヨタレンタリースのように事業統括会社(トヨタ自動車)と店舗運営会社(地場系列のディーラー出資)に分離されている形態もある。

独立系

  • 全国規模で営業店を擁して大手とされるニッポンレンタカーサービス運輸企業機関投資家全日本空輸富士火災等)の共同出資で設立された(但し、富士火災の筆頭株主はライバルの親会社たるオリックスである)。
  • オリックスレンタカーは、親会社であるオリックスが既存のレンタカー会社(ジャパレン・エックスレンタカー等)をM&Aで吸収合併させ、業容を拡大させたものである。
  • Jネットレンタカーやホンダレンタリース札幌のように、地場系の自動車ディーラーによって創業し、メーカー系とは異なる位置づけで地域に特化して事業を行う業態もある。これらもレンタカー車両(新車)の導入にあたっては、事業統括会社や専門のリース会社から店舗運営会社へ車両がリースされて配備される形態が多い。
  • 名古屋に本社を置く、ジャパンレンタカー、通称「ジャパレン」(オリックス系の「ジャパレン」とは無関係。)は、業種の異なるカラオケネットカフェなども経営してサービス業の充実を図り、レンタカー以外で訪れた人も楽しめるようになっている。(レンタカーもカラオケも一つの店舗で受付できるスタイルである。)

駅レンタカー

駅レンタカーは、旧国鉄時代の1970年から存在しており、当初は(株)日本交通公社(現:ジェイティービー)と日本旅行の出資で鉄道管理局のエリア毎に運営会社が設立され、ニッポンレンタカーや日産レンタカーなどから車両を実質的にサブリース(又貸し)する形態でレンタカー事業を行っていた。国鉄民営化後は各沿線地域ごとに各JRの子会社として改組・新設され現在に至る。

格安レンタカー

2000年代より出店が始まった新業態。既存業者の料金と比べて廉価で事業を行っている業態が、格安レンタカーと言われている。 既に自動車関連の事業を行っているガソリンスタンドや自動車整備工場などによるサイドビジネス・新規事業や、中古車販売業などによるベンチャービジネスとして出店している。

ガソリンスタンド運営会社や、中古車販売・流通業者、板金・自動車整備業者などが、中古車オークションから直接中古車を仕入れることで車両導入コストを削減。既存のガソリンスタンドなどの店舗をレンタカーの営業店として兼営することで、店舗運営コストを削減し、廉価で提供している。株式会社レンタスが運営するニコニコレンタカーなど、ガソリンスタンド運営会社とフランチャイズ契約を行い、統一的な運営がされている業者もある。

会員制レンタカー(違法)

一部で「わナンバーではないレンタカー」と謳って、会員に限って自動車の貸し出しを行うとする者が存在する。 同じ会員制でも、カーシェアリング車両は「わ(れ)」ナンバーで登録される上、確かに「わナンバーではないレンタカーは存在する(した)」が、 法律上は「許可を得ずに自家用自動車を対価を得て貸し渡す行為」そのものが禁止されており(カーリースを除く)、貸渡自動車としての車両登録を行うと漏れなく「わ(れ・ろ)」ナンバーとなる現状に於いては違法行為である。 但し、同じ車両の貸し渡しでも建設機械のレンタルは、特殊自動車の貸し渡しが制度として存在しない為に「わ(れ)」ナンバーではないが適法である。

海外レンタカー店舗の予約取り次ぎ

  • アメリカ合衆国やヨーロッパ各国を中心とした海外のレンタカー会社は、日本語での対応窓口や日本語ウェブサイトを開設して外国でのレンタカーを予約できるように便宜を図っている。
  • 現地レンタカー会社でも、日本人観光客の多いハワイグアムなどでは日本語による対応が可能な店舗・カウンターもある。
  • 日本のレンタカー会社も、日本人観光客が多い場所に現地営業所を展開したり、海外の有力レンタカー会社と提携して予約を取り次いでいる。
  • これとは別に、旅行代理店フリープランオプショナルツアー手配旅行扱いでツアーオペレーター経由で取り次ぐ形態も存在する。

レンタルする条件

  • 国内
    • 借受人が日本国内で有効な自動車運転免許を所持していることが絶対的な最低条件である。
      • 外国人が国際運転免許証、又は現地の運転免許証と日本語訳文を持って借り受ける事も可能である。意思疎通が困難であるとして貸渡を行わない会社もある一方、英語表記のパンフレットを作成したり、レンタカー業務に必要な程度の英語を話せるスタッフを置く会社もある。
      • 近年増加している中国人観光客へは貸し出せない(中国がジュネーブ条約非加盟国であり、日中間に於ける取り決めもなく、日本の免許制度と同等水準と見なされていない)。但し、マカオ香港の運転免許については、返還前のポルトガルイギリスが条約加盟国であった事から国際免許で借り受け・運転できる。
    • 一部のレンタカー会社は取得後すぐ(初心運転者)のレンタルも受け付けるが、運営会社や店舗によっては取得後の経過月数・年数で貸渡を拒否されたり、熟練運転者の同乗を義務付けたり、所定の自動車保険補償額の増額(有料)か、逆に車両補償制度の適用ができないこと(運転ミス等で車両に損害・損傷が生じた際は自身の加入する車両保険または全額自己負担となる)を条件に貸し出す場合もある。
      • 免許取得後1年未満の初心運転者が運転する場合は、レンタカーであっても初心運転者標識を掲示しなければならない。店舗で用意がある場合でも在庫に限りがあることを念頭に、予め私物を用意することが望ましい。
    • スポーツタイプ輸入車の車種を借り受ける場合、取得後5年以上経過が条件という会社もある。

データベースなどで調査のうえ、過去に大きな事故や借逃げ歴がある場合には貸渡しを拒否される場合もある。さらに、レンタカーを強盗窃盗誘拐などの犯罪の手段として使用したり、2006年からは貸渡中のレンタカーが駐車違反となり、借受人が警察署に出頭して反則金を納付しなかった(レンタカー会社に放置違反金が請求されたり継続車検が不可能であるなど、所有者であるレンタカー会社の損害となった)場合、一般社団法人全国レンタカー協会のデータベースに登録され、情報交流によって以後は加盟各社(全国大半のレンタカー業者)で貸渡が拒絶される。

  • 海外
    • 海外でレンタカーを借りる場合、日本の免許証のほかに国際運転免許証を提示する必要がある。ハワイなど、日本の免許証のみでレンタルが可能な地域も存在するが、事故等トラブルが発生した際に備え、国際運転免許証も持参したほうが良い。
    • レンタカー会社や借りる車種クラスにより、免許取得後の経過年数を問われることもあるが、国際運転免許証にはその記載はされておらず、日本の免許証にも元号で取得年のみ表記されているため、貸渡時に口頭で説明が必要となることもある。
    • アメリカ国内では、レンタカー会社が国際運転免許証の代わりに利用可能な、免許証の翻訳フォームを発行するサービスもある。
    • 台湾ドイツなど国際運転免許証が有効でない地域(ジュネーブ条約非加盟国)でレンタルする場合、二国間取り決めにより指定機関・団体が発行する外国語訳とともに携帯する形での運転が認められている。

予約・貸渡契約

レンタカーの利用には、所定の貸渡約款に同意の上、貸渡契約書に個人情報などを記入し、料金の決済受渡や確認の署名をすることで正式に締結する。日本での予約・利用手段として、個人の場合は

  • 直接レンタカー会社へ電話・インターネットの手段で予約するか、予約をせずに店舗に出向き空車をレンタルするケース。
  • 旅行会社募集型企画旅行として販売されている「レンタカープラン」という旅行商品や、パッケージツアーフリープランパッケージツアー)の旅行行程に予め組み込まれているもの(北海道・沖縄方面の国内旅行や北米方面の海外旅行に設定が多い)、そのオプショナルツアー扱いでの申込利用。企画・手配する旅行会社が予約をした上、旅行客からレンタカー代金相当を領収し、レンタカー会社は旅行会社に請求する形態となるが、実際の貸渡契約は直接予約の場合と同じく、借受人とレンタカー会社の2者間で締結されるケースが殆どである。
  • 国内線航空券を航空会社で直接予約した場合、オプショナルプラン(募集型手配旅行)として利用するケース。JAL・ANAは傘下の旅行会社の商品として取扱い、公式サイト上や専用電話で申し込む。(ジャルツアーズ「JAL エアプラス」、ANAセールス「ANAの@レンタカー」)
  • 生協・職域組合・勤務先が組合員や社員の福利厚生の一環として、法人契約の割安料金で提供するケース。直接予約の上、法人契約元から利用券(バウチャーやクーポン)を購入し利用する(直接利用と旅行会社経由の中間に位置する仕組み)。社員証などを利用時に店頭で提示することで割引される制度を設けている場合もある。

直接レンタカー会社へ予約する場合で、特に大手や海外のレンタカー会社ではクレジットカードによる支払いを推奨する傾向があり(カード払いで割引する場合もある)、現金払いでは別途住民票パスポートなどの身分証・公共料金の領収書など現住所が判る書面やクレジットカードの提示がたいてい必要となる。RVや高級車のレンタルでは各社の約款によってクレジットカード決済に限定している場合が殆どである。これは所持によってある程度信用性や身元が判断できる点と、借り逃げや損害発生時に実費をクレジットカードを通じて追加請求することが可能であるからである。海外でレンタカーを借りる場合は原則クレジットカード払いであり、事前支払い式のクーポンを利用する場合でも、前述の理由によりクレジットカードの提示を求められる場合が多い。

レンタカーの利用金額に対して付与されるポイントサービスを実施したり、大手では航空会社と提携してマイレージが付与されるサービスも行っている。

用途

貸渡申込書(契約書)に使用目的や行先の欄がある場合は、引越しやレジャー、ビジネスなどから選択し、主な目的地を記載する。記入欄がない場合は同様のことを店員から参考程度に口頭で聞かれる。

マイクロバス

2006年4月には国土交通省の公示によってマイクロバスのレンタルに対する要件が厳格化された。 白ナンバーによる旅客運送(白バス行為)が利用者である一部業界によって公然と行われていたためで、レンタカー会社がマイクロバスを保有することに対して求められる基準も強化された。

それにより、レンタカー会社はマイクロバスの貸渡しを行う7日前までに「車両の管理を行う事務所を管轄する地域の運輸支局長」宛にそれを届出る必要がある。また、「運行区間又は行先」「利用者の人数」「使用目的」もマイクロバスのレンタルに限り同様に届け出る必要があるため、予約の段階で確定させる必要がある。よって、マイクロバスのレンタルの場合は、最低でも1週間以上前に予約をすることが必要であり、1週間の間がない場合は法令に触れるために予約を拒否される。

運転免許制度の改正により、旧普通自動車免許(新中型自動車免許8トン限定)での運転ができる、と勘違いして予約をしたものの、実際は運転が不可能であるので貸し出し出来ない事態も起きうる。

レンタカー会社は、約款に「貸渡契約の拒否」をできる理由に挙げているため、顧客都合のキャンセルという扱いで処理する。レンタル代金ではなく、キャンセル料金を支払わなければいけない場合もある。

店舗の立地

レンタカーの店舗(営業所など)は、主に、空港、新幹線や特急などの停車する主要鉄道駅、その他都市の中心部などに存在することが多い。

政令指定都市特別区、都道府県庁所在地の繁華街にある店舗は、その立地上の制限から大きな駐車場を管理することができず、トラックなどの大きめの商用車やマイクロバスなどを管理できない場合が多い。同様の理由により、出発地や乗り捨て先に指定できないこともある。また、駅や空港から離れた場所(幹線道路沿いなど)に店舗が立地する場合や、市街地のホテルやオフィスビルなどから、専用車やレンタカー車両で店員が運転して送迎するサービスを実施している場合もある。

逆に、郊外に大きな駐車場をもつ店舗は4トン積載クラスのトラックやマイクロバスなどを複数台管理していることがある。

レンタカー車両の特徴

  • レンタカーの寿命は新車として導入されてから1~3年程度と短命であることが多い。フルモデルチェンジなどにより旧式化した車両や、走行距離が極端に伸びた車(10万キロ以上など)は客側が敬遠するためである。
  • レンタカーとして役割を終えた車両は、メーカー系列の中古車販売店で販売されたり、事故歴のあるものは海外へ輸出されることもある。販売に当たってはレンタカーで使用されたことを明記し購入者に伝えることが義務づけられている。非メーカー系の大手レンタカー会社は、レンタアップ(リースアップ)車販売のための店舗、オートオークション会場を擁している。
  • 格安レンタカーの場合はあえて経年式の中古車を導入する事で、利用料金を引き下げている。
  • 最近では、長期の格安レンタカーが商品化されており、スマイルレンタカーなどが打ち出している1ヵ月間以上レンタルが可能なマンスリーレンタカー・1週間以上でのレンタルが可能なウィークリーレンタカーなどがある。

損害保険会社が約款等で定める「借り受けた自動車」の定義は、借受期間が1年を越えるものをカーリース、1年未満のものをレンタカーとしている場合が殆どである。

かつて、レンタカー車両には「車齢制限」があり、一定(税法上の耐用年数)以上の経年車はレンタカーとして登録・使用できなかったが、1986年に廃止された。また、レンタカー車両をカーリースで調達する事は出来なかったが、1989年の規制緩和によって可能となった。

カーナビ・ETCの装備

  • 近年の乗用車の大半はカーナビゲーションシステム(ビルトイン型・インダッシュ型かポータブル型)が標準装備されている。装備されていない場合でも、取扱があればオプション扱いでポータブル型を取り付けて貰える。カーオーディオに関しては、カーナビの付随機能でCD/DVDやテレビが視聴できるもの、CD+ラジオ、テープ+ラジオ、ラジオのみのもの、とあるが、ラジオのみのものは多くは商用車にしかなく、乗用車を借りる場合最低でもCDはついている、と考えてよい。なおiPodやポータブルMDプレーヤーなどの携帯音楽プレーヤーに対してはFMトランスミッターを貸し出す(音声はカーオーディオのFMラジオで聴く)、カーオーディオを外部入力付きの機種に換装するといった事例が見られる。但し車種や装備品、レンタカー業者によって対応が異なるので、借りる際に問い合わせておきたい。
  • ハイウェイカードの廃止に伴い、ETC車載器も設置される例が増えている。利用には運転者または借受人のETCカードが必要であるため、予めクレジットカード会社へ申込みする必要がある。ETCマイレージも貯まるが、登録時に車載機・車両情報が必要になるため、注意が必要。

スポーツカー・外国車

バブル景気の1990年代初頭まではスポーツカータイプの車両もラインナップに加えてあるレンタカー会社があった。メーカー系で自社車両の宣伝のためにレンタカー登録したものや、話題性があった車種(R32型スカイラインGT-RNSXなど)を登録したものである。しかし乗り逃げや事故が多発し、一部会社を除いてラインナップからはほぼ消滅した。
2000年代以降、差別化を図るレンタカー会社によってBMWミニS2000シビックタイプRといった特殊な車種やGT-Rロールス・ロイス・ファントムなどといった高額車両のレンタカーも出現しており、それらには乗り逃げや盗難抑止のため、ココセコムなどの位置発信装置やイモビライザーが装備されている場合が多い。

首都圏ではフォルクスワーゲン・ゴルフBMW・3シリーズ等の「街で見かける一般的な外車」のレンタカーも少なからず存在し、中には左ハンドル車も存在するが、地方部では「外車のレンタカー登録そのものがない」という場合すらある。

北海道沖縄県では、ヒュンダイTBi30など)が多く使われているが、国産車より安い価格で大量に導入した事、ウインカーレバーが他の輸入車と異なって右側についており違和感なく運転できる事などによる。年数を経たずに過酷な使用状況で走行距離を稼ぐレンタカーは市場テストに適している為、ある種の実験も兼ねて安価で販売(リース)される事も少なくない。 店舗の承認を受けて、メーカーが「客として」レンタカーを借り、経年変化や各部の磨耗状況の調査に用いたり、カーオーディオ等、アフターマーケット市場での開発車両として用いられることもある。

かつて、日本撤退直前のサターンは在庫処分の為にレンタカー会社向けにフリート販売を行った事から大量に導入された。

車種のグレード

全車に共通して言えることは、「レンタカー仕様」という車両は通常存在せず、「一般の車両に「わナンバー」が付いている」ということである。

乗用車のグレードは、車両価格の面から殆どが下位(廉価)か中級(所謂“売れ筋”)のグレードである。特にコンパクトカーでは、中級以上のグレードではないと、変速機が低燃費を売りにしているCVTではなくATであったり、フィットのようにドアミラーの電動格納機能やシートリフターすら装備されていないなど、車内装備の有無で運転に気をつけなければいけない場合がある。

ただし軽自動車(乗用車)に限っては、車両価格が高めの軽トールワゴンスズキ・ワゴンRダイハツ・ムーヴなど)やダイハツ・ソニカスズキ・セルボ三菱・iと、車両価格が比較して廉価なエッセアルトミラミニカなどを同一料金で貸し渡しているケースがある(オリックスレンタカーや、日産レンタカーの店舗の多くで該当するが、ニッポンレンタカーは車両価格の開きから、軽乗用車と軽ワゴンのクラスに分離している)。

なお、乗用車(ライトバンなどの貨物車を除く)で法人営業向けの最廉価グレードや、大排気量(高出力)仕様、上級グレードの配備は稀である。

トラックでは、積載量との関係で軽量アオリや軽量ドライバンボディを架装した車種が存在する。また、日産・キャラバンワゴン10人乗り仕様に、スーパーロングの標準ルーフというレンタカーグレードが存在する。通常のスーパーロング車はハイルーフ仕様である。

一部、自動車保険車検中に使う代車の契約を結んでいるカーディーラーとの兼ね合いで、あまり見かけない車種(グレード)を保有している店舗もある。

マニュアルトランスミッション車

現在、貨物車を含めたレンタカー車両の圧倒的大多数がAT車である。 レンタカー業の一般的な顧客である若年層のAT限定免許保有者比率の高まり、新車販売時のMT比率の低下など、仮にMT車を導入しても車両の稼働率が見込めない為にあまり導入されない。トラックやマイクロバスは、普段AT車しか運転していない人に対して貸し出す事も少なくない為にAT車が導入される。 このため、多くのレンタカー業者では「(原則)全車AT車」であることがパンフレットやwebページなどに記述されている。MT車の用意がある業者を利用する場合でも、特にMT車を希望する場合は予約が必要である。代車需要等を見込んで旧型のMT車を「温存」している業者もあるが、ごくごく少数である。

乗用車のみならず、商用車やマイクロバスも大半がAT(MTが一般的な4t積載級のトラックですらATのレンタカーが存在する)となっているので、商用車をレンタルする際は、積荷や行程によってはMTを希望したほうがよいことがある。韓国でも、一部車種を除き、殆どがAT車である。

これに対しヨーロッパにおいてはAT車が極端に少なく、ほとんどがMT車であるため、逆にAT車を希望する場合には予約の際にAT車を希望する旨の指定をする必要がある。近年は主要大都市及び空港の店舗を中心にAT車の取り扱いおよび保有が増えているものの、料金はMT車と比べて割高である(現地の中古車市場でAT車はマイナス査定となる事が殆どである為)。

利用時の注意点

  • 店舗に行く前に免許証を確認する。手続き時に提示しないとレンタカーを利用できないばかりか、顧客都合による予約キャンセルとなって、キャンセル料金が発生することもある。
  • 出発前に車の損傷箇所(ドアのヘコミ、バンパーの傷など)をチェックするが、店員が見落とした箇所があれば細かい部分でも即座に指摘する(特にドア下部・タイヤ周辺)。店員が記入した損傷箇所以外で帰着後に損傷が確認された場合は今回の借受人が与えた損傷と判断され、事故扱いとなりNOCが請求される場合がある。そのため夜間や薄暗い場合は懐中電灯を使って確認すべきである。
  • 給油口やトランクの開け方、パーキングブレーキの操作方法(サイドレバーかペダル)などは予め店員に確認しておく。多くの場合は貸渡し手続き時に伝えてくれるが、例えばセルフ式のガソリンスタンドに行って、蓋の開け方がわからないということは珍しくない。AT車セレクトレバーのマニュアルシフトやシートアレンジなど応用的な事柄や、キーレスエントリーシステム(盗難アラーム)などは積極的に説明しないので、取扱説明書(グローブボックスに置かれたり、レンタカーのバインダーファイルに挟み込まれている)の基本的な操作のページを一読するのが望ましい。
  • 車両返却の際、燃料を満タンにすることが求められることが多い(万一貸し出し時に満タン状態でなかった場合、貸し出し時の燃料メーターと同じ目盛りまで給油する。契約書に貸し出し時の燃料メーター量が記載されている場合も多い)。この際、店舗指定の給油所で給油したり、最終給油地点のレシートもしくは給油所の印やサインを貰う「満タン証明」を義務づける店舗もある。セルフスタンドを利用する場合は給油量に注意が必要である。満タンで返却しなかった場合は、ガソリンスタンドでの給油代より高く設定された調整金を走行キロから割り出して精算する必要がある(オプション料金を出発時に支払うこと、またはキャンペーンにより給油せずに返却できる場合もある)。
  • 申込時の借受人の自宅電話番号固定電話に限られるレンタカー会社がある。しかし、最近は駐車違反取締まりが強化されたことに伴い、緊急連絡先として専ら借受人の携帯電話番号を求める。
  • 普段乗っていない車種を運転するわけであるから、機器の操作方法はよく確認しておく。車庫入れ時の車幅の感覚なども注意する。
  • 事故や車両故障、その他トラブルが発生した場合は、必ず貸渡を受けた店舗に連絡をし、状況を伝え指示を受ける。
  • 店が混雑していて何人も待っている時には、店員も細かく説明しないことがある。疑問点があればその場で聞くようにする。空港に併設されたレンタカー店などでは、航空機が到着すると予約客がまとまって来店するので、そのような状況がしばしば見受けられる(店舗まで送迎のあるような大規模店の場合は、送迎バスの中でビデオによる補償制度の案内をする会社もある)。

事故

レンタカーは他人の自動車であるため、マイカーと比べて丁寧に取り扱う者と、金を払っているのだからと乱雑に使う者に分かれる傾向がある。どちらにしても万が一交通事故物損事故が発生した場合、

  • 必ず出発地や最寄りのレンタカー店舗、時間外電話窓口に連絡し状況を伝えて指示を受ける。バンパーを壁に擦った、飛び石でフロントガラスを破損した、ゴルフバッグでトランクを凹ませたなど、些細な車体損傷や自損事故でも必ず直ちに連絡する。
  • 物損事故人身事故の場合、110番や最寄の交番など警察にも通報する。後日保険会社に請求する際などに警察による「事故証明書」が必要になるため、ありのままの状況を警察官に伝える。レンタカー会社の承諾なしで事故相手方と示談することは禁止である。
  • レンタカー会社によって指示の内容に差分があるが、一般的な事故対応と同様、
    • [負傷者の救護]→[警察(及び貸渡店舗)への連絡]→[相手の情報の確認]→[相手方車両の確認]というプロセスを指示される。
  • 当て逃げ追突などの被害事故でも、警察の事故証明書が必要となることが多いので、上記と同じプロセスを実行する。

保険・補償制度

レンタカーで事故が起きた場合、相手方への賠償のほか、レンタカー会社への賠償も必要になる。しかしながらレンタカー会社は必ず自動車保険共済を掛けているため、所定の限度額の範囲であれば、借受人は最低限レッカー車手配などロードサービスJAFなど)料金実費と、一定の免責額(5~20万円程度。CDW加入者は免除)とNOC(後述)を支払えば済むようになっている。

ただし、飲酒運転速度超過ながら運転信号無視や麻薬覚醒剤服用などの危険運転行為や、駐車違反などの交通違反が明らかな場合や、貸渡時に届け出のない他者の運転によって生じた事故は保険が下りない場合がある(約款で規定されている)ため、安易な考えを持たずに安全運転を心がけるべきである。

保険・追加のオプション・補償について予約・貸渡手続時に案内される。いざと言う時に自分を守る制度であるから納得するまで説明を受けたほうが良い。

  • レンタカー会社は、レンタカーに対して下の3条件の自動車保険もしくは自動車共済に加入しなければならないと許可基準によって定められている。
    • 対人保険…8000万円以上/人
    • 対物保険…200万円以上/件
    • 搭乗者保険…500万円以上/人

最低要件として、上の自動車保険は必ず付帯されているが、満足なものとは言い切れない。

レンタカーによる事故の場合優先して支払われる特約が付加された自動車保険ドライバー保険に運転者自身が加入しているのでなければ、買える安心は買っておいても良い。追加のオプションとして補償の限度を対人無制限、対物無制限に拡大するプランが用意されていることが多い。対人無制限はもちろんだが、対物についても、例えば踏切事故を起こして当事者から莫大な損害賠償請求を受けたり、高価な物品に衝突といったケースもあるので加入が推奨される。

「店舗で勧められるオプション(※保険ではない)」として免責補償制度CDWCollision Damage Waiver )がある。加入は任意で、万一の事故の際に、上記保険の免責額を支払わずに済むものである。しかし、免許取得後一定期間の者(初心運転者)や事故歴がある者は規則的に加入が出来ないレンタカー会社がある。なお、格安レンタカーや島嶼部などに構える業者ではこの制度が設けられていない所が多い。

損傷や事故が生じた場合は休車補填料として、ノン・オペレーション・チャージ/NOCが原則請求される。NOCの請求額は事故車両を店舗まで自走して返却できたか否かで異なる。NOCは商品・サービスの対価ではなく「賠償金(迷惑料)」の為消費税は課税されない。

レンタカーの制限

レンタカー車両は、道路運送法第52条の規定のほか、地方運輸局長の定める「自家用自動車の有償貸渡しの許可基準」に定められている、車種区分に基づき決定される。

車検証上の車体の形状が霊柩車の車両、乗車定員が30人以上又は全長7メートル以上の乗合自動車(バス)の貸渡しは禁止されている。 「特殊自動車」に分類される9ナンバー、0ナンバー車にはレンタカーという概念はない(建設機械レンタル)。 それ以外の車両には「わ」ナンバーがつく、と考えてよい。

2006年3月31日に、前述の許可基準が改定された。

運転免許技能試験に使われる車両で、かつ路上試験に用いられるものは、8ナンバー(特種用途自動車)の「わ」ナンバーとして登録されている。これは、技能試験を受験する際には貸車料を支払う必要があり、試験場外(一般公道上)に於いて使用されることから、自家用自動車の有償貸渡と認められる為である。大型貨物車や大型バスにナンバーをつけているものもあり、それも大板で8ナンバーの「わ」ナンバーである(分類番号は810を使用。字光式は818)。

技能試験に使われるものは、貸渡しを禁止されている「乗車定員30人以上又は全長7メートル以上の大型バス」であるが、 「乗車定員30人以上又は全長7メートル以上の特種用途自動車」では制限に該当しないため、「わ」ナンバーを付けることができ、運用されている。 つまり、「乗合自動車」の「2ナンバー」では基準に触れるものを、特種用途車である「技能試験車」の「8ナンバー」をつけることで基準を回避している。

また、教習車は特定の企業・団体しか使用することができないので、各都道府県警察か交通安全協会などの警察関連団体の所有であると思われる。

原付バイク等のレンタル

市区町村が発行するナンバープレートを装着する原動機付自転車ミニカー小型特殊自動車にはレンタカーという概念がなく、これらの車両を貸し出す場合には(許認可制度が存在しない為)レンタカー業の認可は不要である。但し、万一の際の車両所有者としての責任は問われる事となる。

歴史

レンタカーの最古の歴史ははっきりしないが、最初のレンタカー業者は初の量産車T型フォードを用いて営業した、と言われることはある。その最初のレンタカー業者とされるネブラスカの男en:Joe Saundersは、1916年、車にメーターを取り付け 1マイルあたり10セントの方式で貸したという。実話か伝説なのかはっきりしないが、最初の利用者は各地を渡り歩くセールスマンで、デート相手の女性に印象を強くしてもらうためだったとか。 [1]

日本に於けるレンタカーは、大正時代に「運転者付き」で貸し出されたのが最初とされる。現行令で禁じられている「運転手付き貸し渡し」であるが、当時は運転免許を持つ者が少なく、自動車が非常に希少で高価であった為で、現在のハイヤーに近いと言える。

レンタカーのナンバープレート・車検 及び法定点検

ナンバープレート

日本のレンタカーのナンバープレートに使われている平仮名は基本的に全て「わ」であり、「わ」を使い切れば「れ」が払い出される。 軽自動車・軽二輪車は「わ」のみ[2]、小型二輪は「ろ」又は「わ」が払い出される。

分類番号が2桁であった頃は、北海道と長崎・鹿児島の離島事務所で払い出されたナンバーには「れ」が使われていた(小型二輪以外の登録車のみ。北海道では当時FAXの性能が悪く「わ」を「れ」と見間違えたため、という噂があるがこれは根も葉もない嘘である。離島事務所では本島と区別するため)。

ナンバープレートの平仮名が「わ(れ・ろ)」である車両はレンタカーであるが、必ずしも「わ(れ・ろ)」であるとは限らない。車検証備考欄の「貸渡」の記述の有無がレンタカーであるか否かの区別となる。 「わ(れ)」ナンバーではないレンタカー車両は、レンタカーの登録台数が多く、ナンバー払い出しの進む一部地域では見られたこともあったが、一般的に「レンタカー=「わ」ナンバー」という固定概念があり、分類番号が3桁化されナンバー枯渇まである程度の余裕が出来たこと、無認可業者による類似行為防止の観点から、陸運局(軽自動車検査協会)での登録手続を行う際にもれなく「わ(れ・ろ)」ナンバーとなる。

逆に、「わ(れ・ろ)」ナンバーをつけているレンタカーを、レンタカーとして車検の有効期限を残した状態で、レンタカーとしての使用をやめる登録をすると、必ず通常の白ナンバーに番号変更となる。

また、登録車においては平仮名が「れ」「わ」しかないため、払い出し枠の区別を平仮名ですることができない。そのため分類番号(地名表示の横の数字)を使って区別している。

登録車の分類番号

  • 下2桁00:組もの中板塗装式
  • 下2桁05:枚もの中板塗装式
  • 下2桁10:組もの大板塗装式
  • 下2桁15:枚もの大板塗装式
  • 下2桁16:組もの中板字光式
  • 下2桁17:枚もの中板字光式
  • 下2桁18:組もの大板字光式
  • 下2桁19:枚もの大板字光式

特種用途自動車

  • 820:旧小型車組もの中板塗装式
  • 825:旧小型車枚もの中板塗装式
  • 828:旧小型車組もの中板字光式
  • 829:旧小型車枚もの中板字光式

枚もの、大板、字光式の払い出しは非常に少ないので、枚もの枠を設けていない場合や字光式の枠を持たない陸運局があり、枠の設定があっても「ナンバープレートの在庫」がない場合もある。
軽自動車の分類番号

  • 下二桁80:組もの中板塗装式
  • 下二桁99:枚もの中板塗装式

軽自動車のレンタカーでは、希望ナンバー・字光式ナンバーは存在しない(登録車でもこれらのナンバーを希望するレンタカー事業者は少なく、特に軽自動車は払い出し可能な数が限られる為)。また、枚もの枠は下二桁が「99」で登録車の転入抹消番号と重なるが、転入抹消番号には「わ」は使われない為に重複しない。

日本国外でも、レンタカーのナンバープレートを、文字や数字で区別していることがある(韓国では、「(ホ)」が指定されている)。

車検

レンタカーの車検期間は、新車の登録車・軽自動車・オートバイを新規登録する場合2年、その他の新車及び中古車を新規登録する場合1年である。 使用過程車をレンタカーにする場合は、新車登録後2年未満の車両の場合は新車登録の日から2年以内、それ以上の経年車の場合は登録日から1年以内に「短縮」となる。その場合でも納付済みの自動車重量税の還付は受けられない。

250cc以下の二輪車など検査対象外軽自動車は、レンタカー用でも車検制度の対象外である。

点検

レンタカーの法定点検は、登録車の乗用車・軽自動車・二輪車は6ヶ月ごと、その他の車種は3ヶ月ごとである。 事業用扱いの為シビアコンディション点検が実施され、認証整備工場が発行する点検整備記録簿も事業用の物となる。

脚注・出典

  1. ^ [1]
  2. ^ 軽自動車では「れ」が黒ナンバーの事業用車に割り当てられているため。

関連項目

外部リンク


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