メッツラー行列
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数学の分野におけるメッツラー行列(めっつらーぎょうれつ、英語: Metzler matrix)とは、全ての非対角成分が非負(0 以上)であるような行列のことである。すなわち
が成立するような行列 M のことをメッツラー行列という。その名はアメリカの経済学者のロイド・メッツラーにちなむ。
概要
メッツラー行列は遅延微分方程式系や正線型力学系の安定性[要曖昧さ回避]解析においてよく登場する。それらの系の性質は、メッツラー行列 M に対し M + aI(a は定数のスカラー、I は単位行列)の形を持つ行列に対して、非負行列の理論を適用することで導かれる。
定義と用語
数学の特に線型代数学の分野において、対角成分を除く全ての成分が非負であるような行列はメッツラー、準正あるいは本質的に非負などと呼ばれ、統一されてはいない。メッツラー行列は、Z-行列の非対角成分にマイナスをかけたものであることから、しばしば Z(−)-行列などとも表記される。
性質
関連する定理
参考文献
- Berman, Abraham; Plemmons, Robert J. (1994). Nonnegative Matrices in the Mathematical Sciences. SIAM. ISBN 0-89871-321-8
- Farina, Lorenzo; Rinaldi, Sergio (2000). Positive Linear Systems: Theory and Applications. New York: Wiley Interscience
- Berman, Abraham; Neumann, Michael; Stern, Ronald (1989). Nonnegative Matrices in Dynamical Systems. Pure and Applied Mathematics. New York: Wiley Interscience
- Kaczorek, Tadeusz (2002). Positive 1D and 2D Systems. London[要曖昧さ回避]: Springer
- Luenberger, David (1979). Introduction to Dynamic Systems: Theory, Modes & Applications. John Wiley & Sons