第21代総選挙 (大韓民国)
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第21代総選挙 | |
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各種表記 | |
ハングル: | 제21대 총선 |
漢字: | 第21代總選 |
発音: | ジェイシビルテ チョンソン |
日本語読み: | だい21だい そうせん |
第21代総選挙[2]は、大韓民国の立法府である国会を構成する議員を改選するため、2020年4月15日[3]に行われる予定の選挙で、1948年5月の初代総選挙から数えて21回目となる。
概要
今回の選挙は、公職選挙法が2019年12月に改正されてから初めての国政選挙となる。法改正により選挙権年齢が満19歳から満18歳に引き下げられた他、比例代表選出議員の半数以上が「連動型比例代表制」と呼ばれる新しい議席配分制度によって選ばれる。新制度では、地域区(小選挙区)の当選者が多い政党ほど配分される議席が少なくなる(詳細は配分方法参照)。その為、今度の選挙では少数政党に有利との見方が多く、国会の勢力図が変化することが予想されている[4]。また、今回の選挙は2019新型コロナウイルスの感染流行に大きく影響を受けた選挙となった。国内では総選挙直前の2月からウイルスが国内で急激に流行し、街頭での運動を中断してSNSや電話を多用する異例の選挙活動が展開された他、総選挙の日程延期も懸念された[5]。国外ではウイルスの世界的な流行(パンデミック)によって在外選挙の実施が不可能な国が出た他、実施可能な国でも投票率の低下や投票箱の移動制限による日程の遅れが懸念されている[6]。
政治的には、投票日の2020年4月15日は大統領の文在寅にとって任期中盤の時期に当たるため、文在寅政権に対する中間評価を下す選挙との見方が広がっている[7][8][9]。 そのため、選挙結果によっては文在寅政権がレームダック化して国政運営に影響を与える可能性がある他[10]、ソウル市中心部の鍾路選挙区では与野党の首相経験者同士が対決することから次期大統領選挙の「前哨戦」とも位置付けられている[11]。
事前の情勢分析では、与党である共に民主党が最も高い支持率を維持しているものの、与野党ともに無党派層の取り込みに苦戦しているとみられることから、新型コロナウイルス感染症に対する文在寅政権の対策を国民がどう評価するかが焦点となっている。共に民主党は、曹国前法務部長官の不正発覚や経済政策の不振によって中道層の支持離れが見られ、同時に格差や就職難といった経済的不満が解消されない若年支持層の離反も懸念されている。また、文在寅政権の初動遅れが新型コロナウイルス感染症の流行拡大を招いたと批判が高まったことから、与党への逆風となることも懸念されている[11][10][5]。また、比例代表での議席維持を目指すために、衛星政党である共に市民党を分党した[12]。
一方の野党も中道層や無党派層をうまく取り込めていないとみられている[11]。その為、比例代表制度の改正も相まって
党以外の全野党が前回の総選挙以降に何らかの政党再編を行い、改選前に議席を有する野党の数は最終的に9党にまで増加した。前回の総選挙で共に民主党に次ぐ議席数を得たセヌリ党は、党内反主流派の離党後も自由韓国党として引き続き国会第二党の座にあったが、朴槿恵大統領弾劾の影響や「富・権力の既得権益受益者」といった若年層のイメージを払拭できずに党勢が伸び悩んだ[10]。そのため、保守票を結集させる狙いで複数の保守系政党と未来統合党を結成し[11]、併せて衛星政党である未来韓国党を分党した[13]。また、前回の総選挙で第三極の地位を得た国民の党の関係者も他党との統合・分裂を繰り返し、最終的に民生党と国民の党の二党に落ち着いた。その他、極左系政党として民衆党が発足し、極右系政党として自由共和党と親朴新党が発足した。
日程
- 予備候補者登録申請:2019年12月17日まで
- 候補者登録申請:2020年3月26日と27日の二日間、午前9時から午後6時まで。
- 在外投票:4月1日から4月6日、午前8時から午後6時。
- 船上投票:4月7日から10日。
- 事前投票:4月10日から11日、午前6時から午後6時。
- 投票日:4月15日、午前6時から午後6時。
- 出典:선거일정(選挙日程)、中央選挙管理委員会選挙統計システム、2020年 1月27日閲覧.
基礎データ
- 大統領 : 文在寅
- 選挙事由:任期満了
- 有権者:満18歳以上の大韓民国国民
- 被選挙権:満25歳以上の大韓民国国民
- 確定選挙人数:未定
- 議員定数:300議席
- 地域区:253議席
- 比例代表:47議席
- 投票:2票制。候補者(地域区)と政党(比例代表)へ票を投じる(記号式投票)
- 投票日 : 2020年4月15日
- 選挙制度:小選挙区比例代表並立制。重複立候補は禁止。
- 比例代表の配分方法:①連動型比例代表制で30議席、非連動型比例代表制で17議席を配分。
- 連動型比例代表制:阻止条項をクリアした政党(議席割当政党)が候補者を擁立した地域区の数に議席割当政党の得票率(議席割当政党の得票数を全ての議席割当制党の総得票数で割った数)を掛け、算出された積の数字から議席割当政党の地域区当選人数を引いた数の整数部分を各議席割当政党に配分。残る議席は小数点以下の商が大きい議席割当政党の順に配分。産出数がマイナスの場合は議席割当ゼロとして扱う。
- 非連動型比例代表制:阻止条項をクリアした政党(議席割当政党)の得票率を算出し、その商の整数部分を各議席割当政党に配分。残る議席は小数点以下の商が大きい議席割当政党の順に配分。
候補者
選挙前に複数の政党が統合・分裂しており、新党も多数参加するため、多数の政党はこの選挙に候補者を出した[14]。比例代表に候補者登録した政党は35政党(比例代表だけに候補者登録した政党は20政党)にのぼり、政党投票が行われた2004年総選挙以降では最多となった。そのため、有権者が投票の際に用いる投票用紙の長さも48.1cmと歴代最長となった[15]
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選挙結果
- 事前投票率:26.69%(投票者数11,742,677名/選挙人数43,994,247名)
ソウル | 仁川 | 京畿 | 大田 | 忠北 | 忠南 | 光州 | 全北 | 全南 | 釜山 | 大邱 | 蔚山 | 慶北 | 慶南 | 江原 | 済州 | 世宗 |
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27.29% | 24.73% | 23.88% | 26.93% | 26.71% | 25.31% | 32.18% | 34.75% | 35.77% | 25.52% | 23.56% | 25.97% | 28.70% | 27.59% | 28.75% | 24.65% | 32.37% |
- 全国平均事前投票率は26.69%で、歴代事前投票率の中で最大値を記録した。[16]
当選議員
脚注
当該選挙の出典は全てここに掲載。
- ^ 最大野党代表が鍾路区からの出馬表明 前首相と対決=韓国総選挙 - 聯合ニュース、2020年2月7日配信
- ^ 大韓民国では、選挙回数について「第○回」ではなく「第○代」と数え、名称も「総選挙」(총선거)ではなく「総選」(총선)と表記するのが一般的である。
- ^ 「命運かけた6カ月」…来年4月の総選挙体制に向け戦列を整える韓国与野党 ハンギョレ 2019年10月14日配信 2019年11月8日閲覧
- ^ “韓国国会で公選法改正案可決 「準連動型比例代表制」初導入=最大野党は猛反発”. 聯合ニュース. (2019年12月27日) 2020年2月21日閲覧。
- ^ a b “<新型コロナ>韓国総選挙、与党に逆風 文政権の初動遅れに批判”. 東京新聞. (2020年3月15日) 2020年3月19日閲覧。
- ^ “韓国総選挙の在外投票 新型コロナで日程などに影響か”. 聯合ニュース. (2020年3月17日) 2020年3月19日閲覧。
- ^ “文在寅政府の改革の成功を左右する「三つの分かれ道」”. ハンギョレ. (2019年5月10日) 2020年3月12日閲覧。
- ^ “支持率下落、選挙に影響も=中道層離反し側近辞任-韓国大統領”. 時事通信. (2019年10月16日) 2020年3月12日閲覧。
- ^ “韓国与党「文在寅直系」大量擁立へ 4月総選挙”. 日本経済新聞. (2020年1月20日) 2020年3月12日閲覧。
- ^ a b c “韓国・文政権、正念場 4月総選挙、敗北なら死に体に”. 西日本新聞. (2020年1月4日) 2020年3月18日閲覧。
- ^ a b c d “韓国総選挙へ政党再編 投票まで2カ月 大統領選「前哨戦」対決も”. 産経新聞. (2020年2月17日) 2020年3月19日閲覧。
- ^ “現実論を追った「比例連合政党」、民主党の前に「3つの沼」”. ハンギョレ. (2020年3月10日) 2020年3月27日閲覧。
- ^ 未来韓国党は、未来統合党が選挙制度上「連動型比例代表制」で議席を獲得できないことを見越し、「連動型比例代表制」でも議席を得る目的で結党した。
- ^ “중앙선거관리위원회 선거통계시스템”. info.nec.go.kr. 2020年3月29日閲覧。
- ^ 「比例代表候補35政党で312人登録、競争倍率6.64倍」『東亜日報』2020年3月30日。2020年3月31日閲覧。}
- ^ “韓国総選挙の期日前投票率 26.69%で過去最高”. Parstoday. (2020年4月12日) 2020年4月12日閲覧。