いちほまれ
いちほまれ | |
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属 | イネ属 Oryza |
種 | イネ O. sativa |
交配 | 富山67号(後のてんこもり)×イクヒカリ |
亜種 | ジャポニカ O. s. subsp. japonica |
品種 | いちほまれ |
開発 | 福井県農業試験場 |
いちほまれは、日本のイネの品種名および銘柄名である。福井県のポストコシヒカリ品種(越南291号)で、「日本一おいしい誉れ高きお米」より命名[1][2][3]。「絹のような白さとツヤ」「口に広がるやさしい甘さ」「粒感と粘りの最高の調和」が特徴とされる[4]。
概要
[編集]高温耐性[5] を持つ遺伝子の有無を判別するDNAマーカー選抜技術で[6]、約3万2千個ある稲の遺伝子の中から暑さに強い遺伝子の場所を特定することに成功[7]。この技術を活用して、2011年に20万種から12,000種に選抜。2012年、2,000種に選抜。2013年、100種に選抜[8]。2014年、10種に選抜。2015年、4種に選抜[9]。2016年、1種に選抜。
以上が、福井県等の広報における選抜過程の記述である。しかし福井県農業試験場の品種開発者によって書かれた論文[10]の内容と異なり、根拠は不明。少なくとも越南291号に対して高温登熟耐性QTLによるDNAマーカー選抜が行われたのは2012年以降になる。
育種論文[10]によれば、育成過程は以下の通りである。
2007年、「富山67号(てんこもり)」を母、「イクヒカリ」を父として人工交配。その後、2010年に交雑後代F5世代の集団に対し個体選抜を行った。2011年には選抜した個体由来の48の単独系統から、いもち病耐病性、立毛、玄米品質等によって1系統を選抜し、「Fn131」の予備系統番号を付した。これが後の「いちほまれ」である。
2012年より生産力検定、系統適応性検定試験および特性検定試験を継続して行い、またDNAマーカーによる高温登熟耐性 QTLの選抜を行った。
2016年に「越南291号」の地方系統名が付与され、2017年4月19日に「いちほまれ」として品種登録出願した。
以下は、命名の経緯及びその後の経過である。
2016年にブランド戦略会議を発足。12月2日、「越南291号」が『ポストこしひかり』と決定した[11]。品種名の一般公募を開始し、2017年2月7日に応募を締切った。応募総数107,652件であった。2017年4月18日、ふくいブランド米推進協議会で栽培技術研修会を開催[12]。2017年4月19日、名称が『いちほまれ』に決定し、品種登録出願した[10][13][14][15]。2017年4月29日、県農業試験場(福井市寮町)で試食会を開催[16]。2017年5月15日、いちほまれ田植式を開催[17]。2017年8月23日、ロゴとパッケージを発表[18]。2018年(平成30年)2月28日、日本穀物検定協会の食味ランキング発表(特A)[19][20]。2018年度より本格生産を始める。
年 | 収量 | 認定経営体 | 作付面積 | 特別栽培米 |
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2017年 | 600 トン | 131 | 120ha | 20ha |
2018年[23] | 3,000 トン | 380 |
いちほまれ (越南291号) |
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0.7 |
いちほまれ (越南291号) |
つや姫 | 新之助 (米) | 魚沼コシヒカリ | ゆめぴりか |
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6.4以下 | 6.4以下 | 6.3以下 | 6.0以下 | 6.8以下[24][25][26] |
品種名 | 出穂期 | 成熟期 | 稈長(cm) | 倒伏 | 収量(kg/a) | 収量比 | 千粒重(g) |
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いちほまれ (越南291号) |
8月6日 | 9月14日 | 76 | 強 | 61.6 | 103 | 23.4 |
コシヒカリ | 8月1日 | 9月6日 | 89 | 弱 | 59.7 | 100 | 23.2 |
文献
[編集]- 良食味水稲新品種「いちほまれ」の育成[10]
イメージキャラクター
[編集]脚注
[編集]- ^ “コシヒカリ超え目指す福井県の新ブランド米 名称は「いちほまれ」”. THEPAGE. 2017年4月20日閲覧。
- ^ “Instagram”. Instagram. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “品種名決定”. facebook. 2017年4月19日閲覧。
- ^ 日本食糧新聞社 編 2018, p. 80.
- ^ “高温障害(こうおんしょうがい)”. 農山漁村文化協会. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “新しい技術「DNAマーカー選抜」から生まれた品種”. (一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “★訪問先名 福井県農業試験場”. 福井県農業試験場 - MakeShop. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “開発が進むポストこしひかり<福井県・まちかど県政>”. YouTube. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “ポストこしひかりへの取り組み~福井県の新品種開発~”. 澁谷梨絵. 2017年4月19日閲覧。
- ^ a b c d 小林麻子, 清水豊弘, 冨田桂, 林猛, 田野井真, 町田芳恵, 中岡史裕, 酒井究, 渡辺和夫, 両角悠作「良食味水稲新品種「いちほまれ」の育成」『育種学研究』第20巻第2号、日本育種学会、2018年、138-143頁、doi:10.1270/jsbbr.18J05、ISSN 1344-7629、NAID 130007525257、2022年1月1日閲覧。
- ^ “福井のポストこしひかり新品種は「越南291号」病虫害に強く高食味”. 産經新聞. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “福井県の「ポストこしひかり」について( H29.4.18更新)”. 「名水極味米」. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “福井県が新ブランド米「いちほまれ」「魚沼」超え目指す”. 日本経済新聞. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “コシヒカリ超え目指す福井県の新ブランド米 名称は「いちほまれ」”. Yahoo!ニュース. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “福井県ポストこしひかり新品種”. ライスピア米蔵. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “新ブランド米「いちほまれ」の魅力堪能 福井県農業試験場で試食会”. 産經新聞. 2017年4月30日閲覧。
- ^ “いちほまれ田植式”. YouTube. 2017年5月19日閲覧。
- ^ “相次ぐブランド米デビュー 自治体が高価格帯の米販売に力を注ぐのはなぜ?”. 2017年8月26日閲覧。
- ^ “参考品種”. 日本穀物検定協会 (2018年2月28日). 2018年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月1日閲覧。
- ^ “29年産米の食味ランキング 「いちほまれ」特A評価 本格生産・販売へPR強化 福井”. 産經新聞社 (2018年3月2日). 2018年3月4日閲覧。
- ^ “『ポストこしひかり』品種決定”. 福井県. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “ポストこしひかりブランド化戦略”. 福井県. 2017年4月19日閲覧。
- ^ “いちほまれ好調「評価断トツ」本格販売から半年、出荷6割超”. 福井新聞 (2019年3月23日). 2019年3月27日閲覧。
- ^ “平成24年「ゆめぴりか」作付け生産者の皆様へ”. 北海道米の新たなブランド形成協議会. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “「ゆめぴりか」栽培マニュアル”. 北海道米の新たなブランド形成協議会. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “「ゆめぴりか」をどのように作りこなすか!”. ながぬまクリーンライス生産組合ゆめぴりか部会. 2017年8月19日閲覧。
- ^ “福井「いちほまれ」の認知度アップへCMに五木ひろしさん 知事「世界一のコメに」”. 産経ニュース. (2018年9月8日) 2020年10月30日閲覧。
- ^ a b “福井のブランド米「いちほまれ」 新CMに本田姉妹”. 日本経済新聞. (2020年9月25日) 2020年10月30日閲覧。
- ^ “デヴィ夫人、おにぎり振る舞いPR 2019年も福井米アンバサダー就任”. 福井新聞ONLINE. (2019年9月3日). オリジナルの2020年8月15日時点におけるアーカイブ。 2020年10月30日閲覧。
- ^ “田中圭、マツコ、浅田真央、木村文乃、デヴィ夫人……銘柄米CMがブームの理由”. デイリー新潮 (2019年10月31日). 2020年10月30日閲覧。
- ^ “大島優子、第1子誕生後初の公の場 ママ役でCM出演 ブランド米で離乳食に照れ「舌が肥えちゃう子どもになるのかな」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2023年9月21日) 2023年9月23日閲覧。
参考文献
[編集]- 日本食糧新聞社 編『全国お米のこだわり銘柄事典』日本食糧新聞社、2018年4月18日。ISBN 9784889272666。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- いちほまれ
- いちほまれ (1846980308897378/) - Facebook
- ふくいポストこしひかり (FukuiRice) - Facebook
- 農林水産部 福井米戦略課
- ポストコシヒカリ開発部