すってはっくん
ジャンル | アクションパズル |
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対応機種 |
スーパーファミコン(SFC) Wii Wii U |
開発元 |
インディーズゼロ 任天堂開発第二部 |
発売元 | 任天堂 |
人数 | 1人 |
メディア |
SFCサテラビュー版 サテラビュー専用8Mメモリーパック 各8Mbit 製品版 SFCニンテンドウパワー書き換え: SFメモリカセット Fブロック6 + Bブロック4 SFCロムカセット版:24Mbitロムカセット バッテリーバックアップ機能付き Wii、Wii U:バーチャルコンソール |
発売日 |
SFCサテラビュー版 イベントバージョン:1997年11月2日 BSバージョン2:1998年10月 98冬イベントバージョン:1998年12月20日 製品版 SFCニンテンドウパワー書き換え:1998年8月1日 SFCロムカセット版:1999年6月25日 Wii・VC:2010年3月2日 Wii U・VC:2015年2月4日 |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
デバイス | Wii:クラシックコントローラまたはニンテンドーゲームキューブコントローラ必須 |
その他 | Wii、Wii Uでは製品版を配信 |
『すってはっくん』は、任天堂が1997年から1999年にかけて日本で配給・発売したスーパーファミコン用アクションパズルゲームであり、さらにその主人公として登場するキャラクターの名前でもある。プログラム開発はインディーズゼロが担当した。
1997年11月2日からサテラビュー用データ放送番組として配信されたイベント作品を初出とし、翌年からは問題を一新した作品の放送、新要素を追加した作品の市販もされた。日本国外では未発売。
作品解説
[編集]サテラビューを接続したスーパーファミコンを受信端末とするデータ放送「スーパーファミコンアワー」では、1997年度に毎月新しいイベント用ゲームを提供する企画「マンスリーイベント」を実施した。この企画では『Dr.マリオ』『F-ZERO』『マリオペイント』など主に既存作品の改変版が放送されたが、11月放送分のすってはっくんはサテラビュー初出のオリジナル作品として制作された。プロデューサーは上村雅之、ディレクターはなかたまさやす[1]、ゲームデザインは田中伸明、音楽は中塚章人、プログラムは原啓二。「任天堂・電通ゲームセミナー」の第3期受講生が制作したディスクシステム用ソフトを原型とし [2]、同セミナーの卒業生によって設立されたインディーズゼロがプログラムを担当した。この作品はインディーズゼロのデビュー作となった[3]。
1998年8月には当時ローソンで実施されたゲームソフト書き換え販売サービスニンテンドウパワーにより製品版の供給が開始された。製品版はサテラビュー版の3倍にあたる24メガビットのデータ容量で再制作され、新たな面が多数追加されたほか、詳細なチュートリアルやゲーム攻略に役立つヒント機能などの新要素も用意された。同年10月と12月には難度を上げた2つの版がサテラビュー向けに放送され、さらに1999年6月にはニンテンドウパワーと同内容のロムカセット版も市販されるなど、初出から1年7か月の間に内容や流通形態の異なる5つの版が供給された。
これ以降シリーズ展開は途絶えていたが、製品版はバーチャルコンソール対応ソフトとしてWiiに移植され、2010年3月2日に配信が開始された。また、2015年2月4日にはWii Uのバーチャルコンソールでも配信が開始された。
シリーズ作品一覧
[編集]シリーズはサテラビュー用データ放送番組として無料放送された作品と、製品として市販された作品に二分される。サテラビュー用作品のうち、イベントバージョンとBSバージョン2はデータ放送終了の2000年6月まで繰り返し再放送された。
- すってはっくん イベントバージョン
- サテラビュー向けデータ放送で実施された「マンスリーイベント」の11月分作品として1997年11月2日放送開始。50面+ボーナスステージ5面で構成。イベント終了後の再放送版には成績発表画面が追加され、1-5位と100位の獲得ポイント数が公開された。この版をはじめとしたサテラビュー用作品にはインディーズゼロの社名や社章の表記はない。
- すってはっくん (ニンテンドウパワー書き換え版)
- ニンテンドウパワーのみで供給される書き換え専用新作ソフトとして1998年8月1日発売。ニンテンドウパワーのサービス終了により2007年2月28日販売終了。当初は3,000円で発売され、翌年他の書き換え専用作品とともに2,000円に値引きされた。全110面になる問題数の追加、それに伴う世界観の拡大、操作方法の改善、グラフィックの追加・書き替えを行うなど市販品として仕上げられた作品。エンディングのスタッフロールではインディーズゼロの社名と社章の表記がされた。
- すってはっくん BSバージョン2
- サテラビュー用オリジナルゲームとして1998年10月放送開始。ランキングイベントは未実施。イベントバージョンを流用し問題を一新した。30面+ボーナスステージ3面で構成。
- すってはっくん 98冬イベントバージョン
- サテラビュー用イベントゲームとして1998年12月20日放送開始。ラジオ音声と連動しないサテラビュー用イベントゲームとしては最後に制作された作品となった。BSバージョン2と同様にイベントバージョンの問題を変更し、30面+ボーナスステージ3面で構成。ゲーム画面の背景にサンタクロースを描くなど、クリスマスシーズンに合わせた演出がされた。
- すってはっくん (ロムカセット版)
- 1999年6月25日発売。1998年発売のニンテンドウパワー書き換え版をロムカセットで市販。メーカー希望小売価格4,200円。ゲーム内容は書き換え版と同一だが、同梱された説明書には詳細なストーリーやゲーム攻略に役立つテクニック集が掲載された。
- すってはっくん (バーチャルコンソール版)
- バーチャルコンソール対応ソフトとして2010年3月2日に配信開始。製品版をWiiに移植した。ダウンロードに必要なポイントは800Wiiポイント。プレイするにはクラシックコントローラまたはニンテンドーゲームキューブコントローラが必要。ゲーム内容は製品版と同一だがバーチャルコンソールによる中断機能が追加された。また、2015年2月4日にはWii Uバーチャルコンソール対応ソフトとしても配信開始。こちらはまるごとバックアップ機能やキーコンフィグ機能が追加された。
- すってはっくんGB
- 未発売タイトル。当初はゲームボーイ、のちにはゲームボーイカラー対応ソフトとして1999年ごろまでに開発されていたが発売中止され、当時は発表もされなかった。2020年に発生した任天堂のソースコード漏洩事件の際にROMデータが発見され、その存在が始めて明らかになった[4][5]。
ストーリー設定
[編集]どこかの海に浮かぶとある島。この上空には島の象徴として「幸せの虹」が掛かっている。しかしある日突然虹が崩れだし、島のあちらこちらにそのかけらが散らばってしまった。この島の住人すってはっくん、通称「はっくん」は他の住人たちからかけらの回収を頼まれる。人の頼みを断れないお人よしのはっくんはしぶしぶ虹のかけらを探しに向かった。
補足
[編集]- 上記は初代イベントバージョンのストーリーとなる。BSバージョン2では「サテラビューユーザーの期待に応えて再度崩れたらしい」幸せの虹を、98冬イベントバージョンではとなりの島にある「ほがらかな虹」を元に戻す話にされた。イベントバージョンとBSバージョン2では「はっくんの住む島」が、98冬イベントバージョンでは「その隣にある島」が舞台となるが、作品中でそれらの名前は公開されていない。
- 製品版では「しあわせ島」「のんびり島」「ほんわか島」「どきどき火山島」の4つの島が舞台となる。ただしはっくんが住むしあわせ島とサテラビュー版の「はっくんの住む島」はグラフィックが異なり、サテラビュー版の舞台となる島との関係は明確にされていない。
- ロムカセット版の説明書にはゲームストーリーが掲載され、ここでは個々の島の名前は掲載されずに「ほのぼの諸島」と紹介された。
ゲーム内容とルール
[編集]ロードランナーに代表されるステージクリア形アクションパズルに分類される。プレイヤーは主人公のはっくんを操作し、サイドビュー表示のステージ内に配置される虹のかけらを集め、ステージ内にあるすべてのかけらを集めた時点でステージクリアとなる。序盤では単純なステージ構成も終盤に差し掛かると複雑になり難度が増す。全てのステージの虹のかけらを集めることがゲームの最終目的となる。
はっくんの基本動作は左右への移動、ジャンプ、ブロックなどの吸い取りおよび吐き出しの3つがあり、虹のかけらを取るにはこれらを組み合わせた動作が必要となる。ステージ内に存在する穴に落ちるかトゲに触れるとミスとなり、ステージの最初または以前にクイックセーブをした場所からやり直しをしなければならない。ただし制限時間や敵キャラクターなど思考の妨げになる要素は存在せず、残機やゲームオーバーの概念もない。ステージの状況を判断し計画を立てるパズルゲームの性質、計画通りはっくんを動かすアクションゲームの性質を兼ね備え、プレイヤーに対しては思考能力と正確な操作技術の両方が要求される。
ステージ内には様々な仕掛けやキャラクターが用意される。はっくんを助ける物、邪魔する物の双方が存在するが、特に重要な仕掛けに赤、青、黄の色が入ったツボと、足場にできる透明なブロックがある。はっくんは吸い取り・吐き出しによりツボの中の色やブロックを運ぶことができる。さらに配置したブロックに色を入れるとリフトのように動き出す。これらの性質を駆使して全ての虹のかけらの回収を目指す。
ポイントシステム
[編集]各ステージにはポイントが設定されており、ゲーム画面には現在のポイント数が表示される。このポイントははっくんを動かすかクイックセーブをするたびに減少するが、0になってもミスにはならず、ゲームはそのまま続行する。ステージをクリアすると残りのポイント数が記録され、総ポイント数へ加算される。高ポイントを獲得するためにははっくんを正確に動かし、無駄な動作をなくす必要がある。
サテラビュー版では初回放送時にこのポイント数を競うランキングイベントが実施された。製品版では書き換え開始直後にはっくんのガラス製マスコット人形を景品としたイベントが実施されたほか、任天堂ホームページ内では「永遠に続くポイントアタック」と銘打ちランキングが公開・更新され続けていたが、Wiiのバーチャルコンソール版配信を前に新規受付および更新を終了した[6]。
キャラクターと仕掛け
[編集]ステージ内にはこれらのキャラクターや仕掛けが配置される。プレイヤーはこれらの性質を熟知して虹のかけらを集めなければならない。
- はっくん(すってはっくん) - このゲームの主人公。ガラスでできた水飲み鳥に似た外見をしており、手足と口ばしは黒色、頭と胴体は無色透明。手首および足首はない。細長い口ばしで他のキャラクターやブロック、色などを吸い吐きし、それらを運ぶ能力を持つ。トゲに触れると割れてしまう。
- 虹のかけら - 砕け散った幸せの虹の破片。ステージ内に1つ以上配置されており、全て集めるとステージクリアとなる。
- ツボ - 赤、青、黄のいずれかの色が入っている透明なツボ。はっくんはこの中の色を何回でも吸い込むことができる。ツボ自体を動かすことはできない。吸い取った色はブロックやまっくんに注入し、動きを与えることができる。
- スイッチ - ツボの中にある色を変えるためのスイッチ。はっくんやその他のキャラクターが上から落ちると作動し、ステージ内のツボに入れられた全ての色が一斉に切り替わる。
- ブロック - レンガ状の模様が付いた透明なブロック。はっくんは上に乗り足場としたり、横を通り抜けることができる。さらにこれを吸い込み空中や壁の中を含む任意の場所に配置することもできる。配置したブロックには色を入れることでリフトのような動きを与えられる。赤色では上下に、青色では左右に、黄色では斜めに往復し、再度色を抜くまでこの動作を続ける。
- まっくん - 丸っこい体とカバのようにたるんだ口を持つ変な生き物。はっくんと同じく体は無色透明だがトゲの上でも平気。はっくんはまっくんに色を入れたり、吸い込んで場所を移動させることができる。まっくんは入れられた色によりそれぞれ異なる動作を行う。
- 赤まっくん - 赤色を入れられたまっくん。その場で止まったまま体がやわらかくなり、はっくんが上に乗るとまっくんの体は半分に潰れる。さらにその上ではっくんがジャンプすると普段より高く跳ぶことができる。
- 青まっくん - 青色を入れられたまっくん。ひたすら左右に歩き続け壁や穴に近づくと引き返す。主にトゲの続く地面の上を移動したいときに使う。
- 黄まっくん - 黄色を入れられたまっくん。その場で止まったまましりもちをつき続ける。この動作はスイッチを一定の周期で押すときに利用する。
- ろっくん - 細い目が付いた生きている岩。はっくんが吸い込み同化するとジャンプ力が低くなり、動きも鈍くなる。ガラスの板を割ることのできる唯一のキャラクター。
- ぶろくん - ブロックの偽物。吸い取りや色の注入はできず、突付いて移動させるか足場とすることくらいしかできない。たいていの面ではお邪魔キャラクターとして配置される。
- つぼくん - ツボの偽物。見た目は普通のツボと全く変わらないが、触れたり色を吸い取ろうとするとビックリして目を見開き偽物とわかる。中の色だけでなくつぼくん自体も吸い取ることができない。ぶろくんと同様に突付いて動かす、足場とするくらいしか役割がないお邪魔キャラクター。
- 一方通行 - 上または下方向への矢印が付いた床。はっくんは矢印に逆らって通り抜けることはできない。
- ガラスの板 - ステージ内に床として配置される。はっくんが乗っても何も起こらないが、高所からろっくんと同化したはっくんが落ちるか、ろっくんを吐き出して落とすと割れ、通行が可能となる。
- トゲトゲ - ステージ内の床に配置されるトゲ。はっくんが触れるとミスとなり、ステージの最初またはクイックセーブをした場所からやり直しとなる。
サテラビュー版と製品版の相違
[編集]サテラビュー版と製品版はステージ構成が異なるだけでなく、それぞれ固有の要素を持つ。
サテラビュー版のみの要素
[編集]サテラビュー版には製品版へ搭載されたヒント機能はないが、放送当時はマガジン番組によりヒントが提供された。
- ストーリーデモ
- 未使用のセーブファイルを使いゲームを開始するとストーリーデモを見ることができる。虹が崩れ島中にかけらが散らばるアニメーションに続き、ゲームストーリーの説明文が表示される。
- ボーナスステージ
- 特定の10ステージをクリアするとボーナスステージが追加される。ここではすべてのブロックを白い枠の中に収める、すべてのブロックに色を入れるなどステージごとにそれぞれ異なる条件が課せられ、制限時間がなくなる前に条件を満たせばパーフェクトボーナスが与えられる。クリア時の残り時間や条件を満たしたブロックの数はポイントに換算され、総ポイント数へ加算される。
製品版のみの要素
[編集]製品版にはサテラビュー版と同様のストーリーデモやボーナスステージは用意されていない。
- はっくん小屋
- しあわせ島にあるはっくんの家。ゲーム内に用意された取扱説明書となっており、ゲームのルールや進行に関する情報、はっくんの操作方法はすべてここで把握できる。ゲーム書き換えでは情報量の少ない簡易説明書「遊び方シート」の販売または配布で対応されたためこの形式がとられた。
- ヒント見ちゃう
- プレイ中のステージをクリアする際に役立つ静止画を見る機能。ゲーム中スタートボタンを押すと表示される「メニューウインドウ」から選択する。ただし、未クリアのステージのヒントを見ようとすると、「ヒントを見ちゃうと汚名が残ってしまいます。それでも見ちゃいますか?」「後悔しませんね?」と念押しされ、それをも振り切ってヒントを見ると、ステージ選択画面に「ヒント見ちゃった」という消えない印がついてしまい、以降そのステージはどのようにクリアしてもペナルティとしてポイントが半減される。
- さらに、セーブデータ選択画面では、セーブデータの番号を示す「はっくん1〜3」表示の真上に「ヒント見ちゃったけど、」と表示される。この表示は、10ステージ分のヒントを見るごとに「ヒント見続けるけど、」「ヒントに頼るけど、」「すぐヒントに逃げるけど、」のようにエスカレートしていく。
- また、「ヒント見ちゃった」印はエンディングの内容にも影響する。はっくん小屋では「できる限り自力で解いた方がしあわせになれますよ」と説明している。
- 紫まっくんとバトルステージ
- ステージ内の壁に触れると隠れキャラクターの「紫まっくん」が現れることがある。紫まっくんを見つけると「バトルステージ」に連れて行かれ、強引に勝負をさせられる。ここでは紫まっくんより先に画面右端にあるゴールへたどり着かなければならない。勝つと「答えを見てしまう」を出すために必要な隠しコマンドの一部が公開される。
- 答えを見てしまう
- ステージクリアするまでの過程を収めた模範解答の動画を見る機能。すべての紫まっくんに勝利し知り得た隠しコマンドをある場所で入力するとメニューウインドウにこの項目が追加される。しかし、答えを見てしまうと「ヒント見ちゃう」と同様のペナルティがある。はっくん小屋では「答えを見ると幸せになれない」と説明されており、この機能の利用は推奨していない。
- 音楽小屋
- のんびり島にある小屋。ここに入るとゲーム内で使用されている音楽や効果音を試聴できる。ただし一度も聴いたことのない曲は演奏できない。収録曲のうち、No.26「ヒント/答え」とNo.27「使われなかった曲(1)」は、サテラビュー版のボーナスステージで使用されたものである。
- タイムアタック
- 4つの島に用意されている100ステージをすべてクリアすると、新たなやり込み要素として各ステージにクリア時間の目標が設定され、ステージクリアした際の時間も記録される。
脚注・参考文献
[編集]- ^ ゲーム内のスタッフロールはローマ字表記、ロムカセット版説明書のスタッフ紹介では平仮名表記のため、漢字表記は不明。
- ^ インディーズゼロ. “製品紹介 すってはっくんシリーズ”. 2008年5月17日閲覧。
- ^ インディーズゼロ. “会社の歴史 ゲームソフト部門 及び会社全般”. 2008年5月17日閲覧。
- ^ “New Nintendo Leak Includes Several Unreleased Game Boy Games” (10 September 2020). 2022年11月30日閲覧。
- ^ “Se filtran multitud de proyectos que fueron cancelados para Game Boy y Game Boy Color”. 2022年11月30日閲覧。
- ^ 任天堂. “すってはっくん おまけ ポイントアタック!!”. 2008年5月17日閲覧。
- 『NINTENDO POWER 遊び方シート 030 すってはっくん』 任天堂、1998年。
- 『すってはっくん 取扱説明書』 任天堂、1999年。
- 任天堂. “『千年家族』開発スタッフインタビューin吉祥寺”. 2008年5月17日閲覧。
外部リンク
[編集]- 任天堂ホームページ
- インディーズゼロ 製品紹介 すってはっくんシリーズ