そうだ 京都、行こう。
そうだ 京都、行こう。(そうだ きょうと、いこう)は、東海旅客鉄道(JR東海)が1993年から実施しているキャンペーンである。首都圏や中京圏から東海道新幹線を使って京都駅で下車し、京都への観光客を誘致するために、映像やキャッチコピーを駆使して、京都の風景を紹介している[1]。
なお、本記事では、2016年から開始された新シリーズ「そうだ 京都は、今だ。(そうだ きょうとは、いまだ)」についても述べる。
概要
[編集]本キャンペーンは、1993年、平安遷都1200年記念事業に合わせる形で開始された[1]。
取り上げる場所は主に京都市内であるが、時折京都市外の場所も取り上げている。桜や紅葉など、季節ごとの京都の魅力を紹介しており[2]、本キャンペーンで取り上げられた寺社に観光客が多くつめかけるなど、その影響力は大きい[3]。
開始当時のクリエイティブ・ディレクターは佐々木宏であり、以後10年にわたって本キャンペーンの広告の制作を手掛けた[4]。また、開始当初から、キャンペーンで使用されるキャッチコピーは太田恵美、キャンペーンで取り上げる観光地の撮影は高崎勝二が、それぞれ担当している。
テレビCM
[編集]本キャンペーンのテレビCMでは、長塚京三によるナレーションが流れる中で[5]、京都の観光地を撮影した映像が流れる。また、CMのBGMには「私のお気に入り」が使用されており[5]、CMの雰囲気に合わせて曲調が変えられている[6]。
本キャンペーンのクリエイティブ・ディレクターを務めた佐々木によると、クライアントから「京都だから絵葉書でいい」と言われたことを受けて、CMにタレントを出演させず、「世界一の絵葉書」を作るという発想に至ったという[7]。
当初は、他のJR東海のCMと同様にサウンドロゴがあり、京都駅を通る新幹線が映し出されていたが(当初は300系、1999年からは700系)、2002年以降の制作分ではカットされている。また、2010年以降の制作分では画面右下または左下に「映像はCM上の演出を施しています。」の注釈が表示されている(春の放送分はそれに加えて「桜の開花情報はJR東海のHPで。」も表示される)。
2016年10月現在、24年間で77カ所、93本のテレビCMが、撮影・放送された。[8]
2018年10月、25年間ナレーションを務めた長塚京三の卒業が発表された[9]。2019年春の放送分より、2代目ナレーターに柄本佑が就任した[10]。同時に、フォントがリニューアルされ、「そうだ・京都、・行こう」3行表示から、「そうだ・京都、行こう」の2行表示に改められた。
2020年以降はCOVID-19禍の影響の下で、テレビCMの制作・放映は見送られた。(代わりにYouTubeにWeb動画を掲載)、2022年夏に復活した。この際に初めて建仁寺が撮影に使われた。
作品一覧
[編集]年 | 季節 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|
1993 | 秋 | 清水寺 | 第1回作品 |
三千院 | |||
地蔵院 | |||
龍安寺 | |||
冬 | 三十三間堂 | ||
天龍寺 | |||
伏見稲荷大社 | |||
1994 | 春 | 仁和寺 | |
平安神宮 | |||
夏 | 比叡山 | ||
祇園 | |||
秋 | 高雄 | ||
嵯峨野 | |||
北山 | |||
冬 | 金閣寺 | ||
銀閣寺 | |||
1995 | 春 | 上賀茂神社 | |
醍醐寺(桜) | |||
醍醐寺(美術) | |||
上賀茂 小川 | |||
夏 | 嵐山(川下り) | ||
嵐山(渡月橋) | |||
青蓮院 | |||
秋 | 等持院 | ||
南禅寺 | |||
冬 | 東寺 | ||
1996 | 春 | 高台寺 | |
大覚寺 | |||
夏 | 妙心寺 | ||
廣隆寺 | |||
秋 | 正伝寺 | ||
高桐院 | |||
永観堂 | |||
1997 | 春 | 哲学の道 | |
夏 | 詩仙堂 | ||
相国寺 | |||
秋 | 東福寺 | ||
冬 | 知恩院 | ||
1998 | 春 | 二条城 | |
夏 | 黄梅院 | ||
鞍馬山 | |||
秋 | 泉涌寺 | ||
冬 | 八坂神社 | ||
1999 | 春 | 善峯寺 | CM最後のサウンドロゴを700系に変更。 |
夏 | 宝泉院 | ||
秋 | 法然院 | ||
冬 | 大仙院 |
年 | 季節 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|
2000 | 春 | 毘沙門堂 | |
夏 | 萬福寺 | ||
秋 | 東福寺・光明院 | ||
2001 | 秋 | 醍醐寺 | |
2002 | 春 | 天龍寺 | |
秋 | 真如堂 | ||
2003 | 夏 | 平等院 | |
2004 | 夏 | 神護寺 | |
秋 | 清水寺 | ||
2005 | 秋 | 善峯寺 | |
2006 | 春 | 祇園・円山公園 | |
秋 | 曼殊院 | ||
2007 | 春 | 上賀茂神社 | |
秋 | 嵯峨野・嵐山 | ||
嵯峨野・大覚寺 | |||
2008 | 春 | 南禅寺 | |
夏 | 比叡山延暦寺 | ||
秋 | 大原の里 | ||
大原・三千院 | |||
2009 | 春 | 醍醐寺 | |
秋 | 泉涌寺 | ||
光明寺 |
年 | 季節 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|
2010 | 春 | 仁和寺 | |
夏 | 清水寺 | ||
秋 | 金戒光明寺 | ||
2011 | 春 | 東寺 | |
夏 | 本願寺界隈 | 東本願寺・西本願寺 | |
秋 | 毘沙門堂 | ||
2012 | 春 | 龍安寺 | |
夏 | 伏見稲荷大社 | ||
秋 | 二尊院 | ||
2013 | 春 | 妙心寺 退蔵院 | |
夏 | 石清水八幡宮 | ||
秋 | 南禅寺 天授庵 | ||
2014 | 春 | 十輪寺 | |
夏 | 萬福寺 | ||
秋 | 源光庵 | ||
2015 | 春 | 京都の桜 | これまでの春の制作分の総集編。 |
夏 | 初夏の京都 | これまでの夏の制作分の総集編。 | |
下鴨神社 | |||
秋 | 京都の紅葉 | これまでの秋の制作分の総集編。 | |
2016 | 春 | 京都御所 | |
秋 | 天龍寺 | ||
2017 | 春 | 二条城 | |
秋 | 東寺 | ||
2018 | 春 | 勸修寺 | |
秋 | 一休寺 | 25周年記念作品。このCMのみそうだ(SINCE 1993) KYOTO 行こう。と表示。 | |
2019 | 春 | 賀茂川 | 本作品よりナレーションを柄本佑に交代。 |
夏 | 祇王寺・常寂光寺 | ||
秋 | 真如堂・金戒光明寺 |
年 | 季節 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|
2020 | 春 | 大徳寺 | |
2022 | 夏 | 建仁寺 | |
秋 | 神護寺 | ||
2023 | 春 | 花咲く京都 | WEB動画のみでの公開。 |
初夏 | 六波羅蜜寺 | ホームページなどでは「空也上人篇」として紹介。 | |
秋 | 南禅寺 |
KYOTO・CLUB
[編集]キャンペーンが始まった1993年から10年間、会員制の「KYOTO・CLUB」が運営されていた。入会すると提携先で提示することで割引サービスが受けられる会員証と年間パスポートが送付されたほか、東海道新幹線と京都市内のホテルを組み合わせた特典ツアーの斡旋などが行われた。
そうだ 京都は、今だ。
[編集]本キャンペーンの新シリーズとして、2016年から「そうだ 京都は、今だ。」が開始された。このシリーズでは、京都の文化や芸術に焦点を当て[2]、期間限定で公開される文化財について、ポスターなどを駆使して紹介する[11]。また、テレビCMも制作されており、小林聡美がナレーションを務め、編曲は川井憲次が担当している[12]。
受賞歴
[編集]関連書籍
[編集]- 『そうだ 京都、行こう。 保存版』(淡交社、2004年10月発行、ISBN 978-4473020932)
- 『「そうだ 京都、行こう。」の20年』(ウェッジ、2014年9月発行、ISBN 978-4863101319)
- 『「そうだ 京都、行こう。」が長く続くわけ 多くの人に受け入れられる良い広告とは』(交通新聞社新書、2024年11月発行、ISBN 978-4-330-05424-7)
関連項目
[編集]- 京都 心の都へ かつて日本テレビで土曜日に放送していた番組。
- 都のかほり かつてテレビ朝日で月 - 金曜日にかけて放送していた番組。
- JR東海エクスプレス・カード 東海旅客鉄道(JR東海)の提携カード(クレジットカード)である。東海道新幹線を利用する際に、出張や旅行などで利用できる。かつては京都市内の協力店などで特典を受けられる「そうだ 京都、行こう。」エクスプレスカードが発行されていた。
- めちゃ×2イケてるッ! かつてフジテレビで土曜日に放送していた番組のコーナーで、そうだ 京都、行こう。のパロディ版として集中寺(しゅうちゅうじ)が放送された(詳細はめちゃ²イケてるッ!のコーナー#集中寺(しゅうちゅうじ)を参照)。
出典
[編集]- ^ a b c “これまでの受賞者・授賞式 2009”. 京都ブランド推進連絡協議会オフィシャルサイト. 2016年6月11日閲覧。
- ^ a b “「そうだ京都、行こう。」の新シリーズ「そうだ京都は、今だ。」開始”. 乗りものニュース (2016年6月26日). 2016年8月7日閲覧。
- ^ “巨人の存在感 ホテルの枠超え企画探る”. 京都新聞 (2006年11月24日). 2016年8月7日閲覧。
- ^ “佐々木宏 -2- 面白い広告”. SHARE SMILE公式サイト. J-WAVE (2009年11月10日). 2016年6月11日閲覧。
- ^ a b “「そうだ京都、行こう。」2015年春バージョンの“特別版CM”が放送決定”. ORICON STYLE. オリコン (2015年2月2日). 2016年6月11日閲覧。
- ^ “聞くと京都に行きたくなる…あのCM曲のヒミツ”. zakzak. 産業経済新聞社 (2006年11月21日). 2016年6月11日閲覧。
- ^ “「人を変える、あなたが変わる」一流のプロの言葉【3】”. PRESIDENT Online. プレジデント社 (2013年12月23日). 2016年6月11日閲覧。
- ^ 2016年10月13日放送 東海テレビ「みんなのニュースOne」特集コーナー
- ^ “長塚京三さん「そうだ 京都、行こう。」最初で最後の生ナレ披露 25周年展で”. シブヤ経済新聞. みんなの経済新聞ネットワーク本部 (2018年10月9日). 2018年10月13日閲覧。
- ^ “「そうだ 京都、行こう。」新ナレーターに柄本佑 初代・長塚京三が激励”. シネマトゥデイ (2019年1月25日). 2023年6月16日閲覧。
- ^ “「そうだ 京都は、今だ。」 JR東海が新キャンペーン”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2016年7月13日). 2016年8月7日閲覧。
- ^ [1]TYO GROUPのFacebook、2016年7月3日 19:04の投稿
外部リンク
[編集]- そうだ 京都、行こう。 - 公式サイト
- そうだ 京都、行こう。(JR東海) (soudakyoto) - Facebook
- そうだ 京都、行こう。 - YouTubeチャンネル