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はくちょう座16番星Bb

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
はくちょう座16番星Bb
16 Cygni Bb
はくちょう座16番星Bbの想像図
はくちょう座16番星Bbの想像図
星座 はくちょう座
分類 太陽系外惑星[1]
巨大ガス惑星
エキセントリック・プラネット
発見
発見日 1996年10月22日
発見者 William D. Cochran
ポール・バトラー
ジェフリー・マーシー
Artie P. Hatzes
発見場所 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
発見方法 ドップラー分光法
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  19h 41m 51.97203s[1]
赤緯 (Dec, δ) +50° 31′ 03.0810″[1]
固有運動 (μ) 赤経: -135.11 ミリ秒/[1]
赤緯: -163.78 ミリ秒/年[1]
距離 69.2 ± 0.4 光年
(21.41 ± 0.24 パーセク[2]
軌道要素と性質
軌道の種類 周回軌道
軌道長半径 (a) 1.681 ± 0.097 au[2]
離心率 (e) 0.689 ± 0.011[3]
公転周期 (P) 798.5 ± 1.0 [2]
軌道傾斜角 (i) 45 ± 1°[3]
135 ± 1°[3]
近点引数 (ω) 83.4 ± 2.1°[3]
通過時刻 2446549.1 ± 6.6 JD[2]
準振幅 (K) 50.5 ± 1.6 m/s[2]
はくちょう座16番星Bの惑星
物理的性質
質量 ≥1.68 ± 0.15 MJ[2]
2.38 ± 0.04 MJ[3]
他のカタログでの名称
はくちょう座ψ1星b
BD+50 2848 b
GJ 765.1 Bb
HD 186427 b
HR 7504 b
HIP 96901 b
SAO 31899 b
TYC 3565-0125-1 b
2MASS J19415198+5031032 b
Template (ノート 解説) ■Project

はくちょう座16番星Bb(はくちょうざ16ばんせいBb、英語: 16 Cygni Bb)またはHD 186427 bは、はくちょう座の方向に約69光年離れた位置にある太陽系外惑星である[4]。この惑星は、三重連星系のはくちょう座16番星を構成している恒星の一つで、太陽によく似ている恒星Bを公転している。約799で恒星を公転しており、初めて発見されたエキセントリック・プラネット、そして初めて三重連星系内で発見された太陽系外惑星である。

発見

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1996年10月、はくちょう座16番星Bを公転する大質量の惑星の発見が発表され、「はくちょう座16番星Bb」と命名された。下限質量木星の1.68倍と求められ、当時発見されていた太陽系外惑星の中では最も軌道離心率が大きな惑星であった。

軌道傾斜角が直接計測されてないうえ、連星系の力学的モデルが公表されていないため、質量は下限値しか求められていない[3][5]

軌道

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太陽系の惑星(青線)とはくちょう座16番星Bb(黒線)の軌道の比較

太陽系の惑星とは大きく異なり、はくちょう座16番星Bbの軌道は非常に楕円形で、その距離は0.54au(8078万km)から2.8au(4億1888万km)まで変化する[2]。この軌道離心率が高い軌道は、連星系の潮汐相互作用によって生じた可能性があり、今後数百万年の間、はくちょう座16番星Bbは軌道の歪み具合を大きく変化させる可能性も考えられている[6]

2001年に行われた位置天文学観測では、はくちょう座16番星Bbは地球からの視線角度(173°)に対してかなり傾いている可能性が示唆されている[7]。また、この場合だと惑星の質量が木星の14倍になると見積もられた。これは惑星と褐色矮星の境界線である13木星質量を超えているが、後の観測で、この値は惑星の質量としてあり得る上限値である事が判明した[8]

物理的特徴

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はくちょう座16番星Bbは、主星はくちょう座16番星の視線速度を使用して間接的に発見されたため、半径や組成、表面温度などの物理的特性は知られていない。2012年には、質量が木星の約2.4倍であれば、惑星系が安定する事が示された[3]。これは下限質量ではなく、真の質量である。潮汐固定が発生していれば、さらに安定するとされている。

極端に歪んだ軌道は、はくちょう座16番星Bbに極度の季節変化をもたらしている。それにも関わらず、シミュレーションでは、地球ののような衛星が比較的近い軌道に存在していれば、はくちょう座16番星Bbが軌道を公転する間に、表面に液体が存在出来る時期がある事が示唆されている[9]

脚注

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  1. ^ a b c d e f SIMBAD Astronomical Database”. Result for 16 Cyg Bb. CDS. 2018年3月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g R. P. Butler et al. (2006). “Catalog of Nearby Exoplanets”. The Astrophysical Journal 646 (1): 505–522. arXiv:astro-ph/0607493. Bibcode2006ApJ...646..505B. doi:10.1086/504701. http://www.iop.org/EJ/article/0004-637X/646/1/505/64046.html. 
  3. ^ a b c d e f g Plávalová, Eva; Solovaya, Nina A. (2013). “Analysis of the motion of an extrasolar planet in a binary system”. The Astronomical Journal 146 (5): 108. arXiv:1212.3843. Bibcode2013AJ....146..108P. doi:10.1088/0004-6256/146/5/108. https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0004-6256/146/5/108/meta. 
  4. ^ The Discovery of a Planetary Companion to 16 Cygni B, W. D. Cochran, A. P. Hatzes (Univ. Texas), R. P. Butler, G. W. Marcy (SFSU and U. C. Berkeley), (Submitted on 27 Nov 1996)
  5. ^ Butler, R. P.; Marcy, G. W.. The Lick Observatory Planet Search. p. 331. Bibcode1997abos.conf..331B. 
  6. ^ Holman, M.; Touma, J.; Tremaine, S. (1997). “Chaotic variations in the eccentricity of the planet orbiting 16 Cygni B”. Nature 386 (6622): 254–256. Bibcode1997Natur.386..254H. doi:10.1038/386254a0. 
  7. ^ Han, I.; Black, D. C.; Gatewood, G. (2001). “Preliminary Astrometric Masses for Proposed Extrasolar Planetary Companions”. The Astrophysical Journal Letters 548 (1): L57–L60. Bibcode2001ApJ...548L..57H. doi:10.1086/318927. http://www.iop.org/EJ/article/1538-4357/548/1/L57/005774.html. 
  8. ^ Pourbaix, D.; Arenou, F. (2001). “Screening the Hipparcos-based astrometric orbits of sub-stellar objects”. Astronomy and Astrophysics 372 (3): 935–944. arXiv:astro-ph/0104412. Bibcode2001A&A...372..935P. doi:10.1051/0004-6361:20010597. 
  9. ^ Williams, D. M.; Pollard, D. (2002). “Earth-like worlds on eccentric orbits: excursions beyond the habitable zone”. International Journal of Astrobiology 1 (1): 61–69. Bibcode2002IJAsB...1...61W. doi:10.1017/S1473550402001064. 

関連項目

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外部リンク

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