コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

はやぶさ (駆潜艇)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
はやぶさ
基本情報
建造所 三菱造船長崎造船所
運用者  海上自衛隊
艦種 駆潜艇
艦歴
計画 昭和29年度
発注 1954年
起工 1956年5月23日
進水 1956年11月20日
就役 1957年6月10日
1975年10月1日(特務艇に種別変更)
除籍 1987年2月28日
要目
排水量 基準 380トン
満載 420トン
長さ 58.0m
7.8m
深さ 4.1m
吃水 2.0m
機関 CODAG方式
主機 三井B&W 1222VBU-34V型ディーゼル(2,000PS)× 2基
三菱MUK-501型ガスタービン(5,000PS)× 1基
出力 9,000PS
推進器 スクリュープロペラ × 3軸
速力 最大速 26ノット
乗員 75名
兵装 Mk.1 40mm連装機関砲 × 1基
MK.10 ヘッジホッグ × 1基
55式爆雷投射機(Y砲)× 2基
54式爆雷投下軌条 × 2条
レーダー SPS-5B 対水上
Mk.63 砲射撃指揮装置
ソナー SQS-11A
テンプレートを表示

はやぶさローマ字JDS Hayabusa, PC-308、ASY-91)は、海上自衛隊駆潜艇。艇名はハヤブサに由来し、この名を受け継ぐ日本の艦艇としては旧海軍隼型水雷艇」、鴻型水雷艇」に次いで3代目である。

概要

[編集]

海上自衛隊は昭和29年度計画において、甲型駆潜艇7隻・乙型駆潜艇1隻の建造を計画し、この内、甲型駆潜艇が「かり」型4隻と「かもめ」型3隻であり、乙型駆潜艇は「はやぶさ」であった。

「はやぶさ」は、主機械にディーゼルのほか、実験的にブースター用にガスタービンを搭載した海上自衛隊初のCODAG推進艇であった。

「はやぶさ」に搭載されたガスタービンは、防衛庁(当時)技術研究本部が開発し、三菱造船長崎造船所が製造したMUK501で、運輸省練習船「北斗丸」に搭載されたものと同機種である。このガスタービンはタービンブレードの破損に悩まされたが改良を重ねて運用を行い、ディーゼル主機のみで20ノット、ガスタービンを併用すると26ノットを発揮できた。巡航時はディーゼルのみが稼動した。

「はやぶさ」はガスタービンを機関に用いた高速艇であったため、様々な配慮がなされており、艦橋などは「かり」型・「かもめ」型と似通った外観となっていたが、船体形状は大きく異なり、艦首から艦橋部までの舷側部に大きなナックルを有しており、高速航行時の凌波性向上が図られている。船体幅も「かり」型・「かもめ」型より1メートル広くなっている。艦橋後部の甲板室にはガスタービン用の大型煙突とその両側にガスタービン用吸気口が、後部甲板室上にはディーゼル主機用の小型煙突がそれぞれ設けられていた。

兵装は、「かり」型・「かもめ」型と同様のものを搭載していた。

艦歴

[編集]

「はやぶさ」は昭和29年度計画乙型駆潜艇として、1956年(昭和31年)5月23日に三菱造船長崎造船所で起工され、1956年(昭和31年)11月20日に進水、1957年(昭和32年)6月10日に就役し、大湊地方隊に編入された。1958年(昭和33年)1月16日、大湊地方隊第2駆潜隊に編入。なお、就役した時点ではガスタービンは完成しておらず未搭載であったが、1962年(昭和37年)2月に搭載工事が行われ、それに合わせてガスタービン用煙突の延長工事も行われた。第2駆潜隊は「かもめ」型3隻と編成されていたが、運動性能はかなり違っていたというが、ガスタービンが搭載された後も編成が変わる事はなかった。

「はやぶさ」は海上自衛隊唯一のガスタービン搭載艇として活躍したが、1970年(昭和45年)にガスタービン用の中央軸を損傷してしまい、同年4月にガスタービン機関と中央軸を撤去した。このため以降はディーゼル機関のみの運用となった。

1960年(昭和35年)3月1日、第2駆潜隊が呉地方隊隷下に編成替え。

「はやぶさ」は後部甲板の甲板幅が広いことから特務艇「ゆうちどり」の老朽化に伴い特務艇への改装が決定し、1977年(昭和52年)10月1日、特務艇に種別変更(ASY-91)され、横須賀地方隊に編入。横浜ヨットで迎賓艇への改造工事を受け、1978年(昭和53年)4月20日、工事が完了し再就役した。

1987年(昭和62年)2月28日、除籍。

特務艇に改装後の「はやぶさ」

参考文献

[編集]
  • 世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)
  • 丸スペシャル No.66 哨戒艦艇 駆潜艇/哨戒艇/魚雷艇』(光人社、1982年)