コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

アイマーク人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アイマーク人
ایماق
(191万8000[1])
居住地域
アフガニスタンの旗 アフガニスタン169万7000[1]
イランの旗 イラン21万4,000[1]
タジキスタンの旗 タジキスタン7600[1]
言語
ペルシア語のアイマーク方言
宗教
スンナ派
関連する民族
ペルシア人タジク人ハザーラ人イラン系

アイマーク人英語: Aimak または Aymaq、ペルシャ語: ایماق)は、ペルシア語を話す遊牧民・半遊牧民の集団ことである[2]アフガニスタン西部のゴール州イランホラーサーン州に在住する[3]。主にイラン系だが、モンゴル系も居る。

由来

[編集]

アイマーク」という言葉はモンゴル語で「部族」や「放牧領域」[4]、遊牧地を共有する遊牧民共同体[5]を意味している。言語的にも歴史的にも証拠は無いが、イランの古代伝説に登場する半神の王「イマ」(仏教で言う閻魔)やジャムシードと無理やり関連付ける説がある。

部族

[編集]

アイマーク人はチャハール・アイマークとして知られている。チャハールとは「4」の意味で、タイマーニー族(ゴール州の主な住民)、フィールーズクーヒー族[6]ジャムシーディー族[6]タイムリ族を指す。別の説では4部族にアイマーク・ハザーリー族[6]が入ったり、タイムリ族がタヒリ族やズリ族、マレキ族、ミシュマスト族と共に「小アイマーク」[7]や 「その他のアイマーク」(Aimaq-e diga)と呼ばれることがある。

名称 出身 人口(3カ国) 備考
タイマーニー族 イラン系 59万2000人[1] ゴール州など。
フィールーズクーヒー族 イラン系 29万6000人[1]
ジャムシーディー族 イラン系 15万9000人[1]
タイムリ族 モンゴル系 33万4000人[1] タヒリ族やズリ族、マレキ族、ミシュマスト族など。
アイマーク・ハザーリー族 モンゴル系 23万9000人[1]

分類

[編集]
遊牧民の黒いテント

アイマーク人は2種類に分けることが出来る。タイマーニー族やフィールーズクーヒー族、ジャムシーディー族はアフガニスタンでは伝統的な黒いテントに住んでいる。彼らはイラン人が起源であり、自分達をタジク人と呼んでいる。アフガニスタンのアイマーク族の大半はイラン系の3つの支族である。一方、タイムリ族やアイマーク・ハザーリー族はゲルに住んでいる[8]。物理的な外見や住居の形態から明らかなように[9]、彼らはモンゴル人が起源のアイマークである。

分布

[編集]
2001年のアフガニスタンの民族地図。青がアイマーク人

アイマーク人の人口は調査によって異なり、25万~200万人である[4]。アイマーク人はタジク人ハザーラ人とある程度は近い関係にあるので、アフガニスタンの国勢調査ではタジク人に分類されている[4]。アイマーク人はアフガニスタンの西部や中央部に住んでおり、ゴール州では多数派を占めている。ヘラート州バードギース州の西部にも沢山住んでいて、ファラー州ファーリヤーブ州ジョウズジャーン州サーレポル州にも幾らか住んでいる[4]

言語

[編集]

アイマーク人のペルシャ語はアイマーク方言であり、いくつかの下位方言に分かれる。なお南方のタイマーニー族[6]やイランのマレキに住むアイマーク人はパシュトー語を話す[10]

宗教

[編集]

ハザーラ人の大半がシーア派であるのとは対照的に、アイマーク人は殆どがスンナ派のムスリムである[4]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i Aimaq”. JoshuaProject (11 August 2009). 2014年1月29日閲覧。
  2. ^ A bitter harvest: US foreign policy and Afghanistan. Ashgate Pub Ltd. (2003). p. 25. ISBN 9780754636151. https://books.google.co.jp/books?id=n1pKnc3RJGIC&pg=PA25&dq=The+term+Aimaq+means&hl=ja&sa=X&ei=zNjnUuvjFMK8kgXuk4CQDw&ved=0CC0Q6AEwAA#v=onepage&q=The%20term%20Aimaq%20means&f=false. ""The term Aimaq means "tribe" but the Aimaq people actually include several different ethnic groups. The classification has come to be used for a variety of nonaligned nomadic tribes"" 
  3. ^ Janata, A. "AYMĀQ". In Ehsan Yarshater (ed.). Encyclopædia Iranica (Online ed.). United States: コロンビア大学.
  4. ^ a b c d e Aimak, Ghor province”. アメリカ海軍大学院 (2011年11月15日). 2014年1月28日閲覧。
  5. ^ 杉山正明/著「アイマク Aimakh」『世界大百科事典1』より(平凡社、1988年)ISBN 4-582-02200-6
  6. ^ a b c d 世界大百科事典 第2版. “チャハール・アイマーク”. kotobank. 2014年1月28日閲覧。
  7. ^ Willem Vogelsang (2002). The Afghans. Wiley-Blackwell. pp. 37–. ISBN 9780631198413. https://books.google.co.jp/books?id=9kfJ6MlMsJQC&pg=PA37&redir_esc=y&hl=ja 1 April 2011閲覧。 
  8. ^ Muhammad Owtadoiajam (2011年11月15日). “A SOCIOLOGICAL STUDY OF THE HAZARA TRIBE IN BALUCHISTAN (AN ANALYSIS OF SOCIO-CULTURAL CHANGE)”. Tribal Analysis Center. 2014年1月28日閲覧。
  9. ^ "Afghanistan". Encyclopædia Britannica. Ultimate Reference Suite. Chicago: Encyclopædia Britannica, 2008.
  10. ^ Vogelsang, Willem (2002). The Afghans. Wiley-Blackwell. p. 18. ISBN 0631198415. https://books.google.com.pk/books?id=9kfJ6MlMsJQC&pg=PA18&lpg=PA18&dq=taymani&source=bl&ots=54cpjBlxk3&sig=AfUVu5densvcdWoRFnpJ-e3kgtk&hl=en&sa=X&ei=rEQdT9i8JfDN4QTB5cHyDQ&ved=0CCQQ6AEwAA#v=onepage&q=taymani&f=false 23 January 2012閲覧。