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アウストロバイレヤ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アウストロバイレヤ科
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
: アウストロバイレヤ目 Austrobaileyales
: アウストロバイレヤ科 Austrobaileyaceae
学名
Austrobaileyaceae Croizat (1943)[1]
和名
アウストロバイレヤ科[2][3][4]、アウストロバイレア科[5]、アウストロベイレヤ科[6][7][8][9]、アウストロベイレア科[10]
下位分類

アウストロバイレヤ科(アウストロバイレヤか、学名: Austrobaileyaceae) は被子植物アウストロバイレヤ目に属するの1つである。アウストロバイレヤ科は、11Austrobaileya scandens のみを含む。A. scandens精油を含む常緑性つる性木本であり、オーストラリア北東部の熱帯雨林内に生育する。

特徴

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常緑性つる性木本 (藤本) である[11][12]の直径は4センチメートル (cm) になる[13]はオレンジ色[10]。材は散孔材道管は大きく、単生、階段穿孔をもち、繊維状仮道管が存在する[11]師管は細長く隔壁は大きく傾斜し、師板は不明瞭、伴細胞を欠くとされる[12][14]。節は1葉隙2葉跡[11]対生し、単葉、10-16 × 3.5-8 cm、葉縁は全縁、葉柄は長さ 1.5-3 cm[11][12][13]葉脈は羽状[11] (図1)。気孔は大型で不規則型[11][13]アルカロイドサポニンサポゲニンを欠く[11][12]シュウ酸カルシウムの砂晶をもつ[12]

は大きく (直径 4–5 cm)、両性、雌性先熟、放射相称、葉腋につく[11][12]花被片は12–24枚、離生、緑色で紫色の斑紋をもち、長さ3-27ミリメートル (mm)、らせん状につき、外側から内側に向けて小型の萼片状から大型の花弁状に連続的に変化する[11][12][13][10]雄しべは12–25個、離生、18 x 7 mm、らせん状につく[11][12][13][10]。花糸は葉状では内向、花粉は単溝粒[11][12][13][10]。雄しべのうち内側の6–16個は花粉形成能を欠く仮雄しべとなり、15 x 3 mm、雄性期の花では中央の雌しべ群を覆っている[11][12][13][10]雌しべは4–14個、長さ約 8 mm、らせん状についている[11][12][13]子房上位縁辺胎座、1心皮あたり8–14個の倒生胚珠を含む[11]果実はオレンジ色の液果、4-5.5 × 3-3.5 cm、2–6個の種子を含む[11][13][10]。種子は大型 (長さ 2 cm 以上)、種皮は維管束を含む[12]は小さく、内胚乳デンプンに富む[12]。染色体数は 2n = 44, 46?[12]

花は不快臭を発して腐生性のハエ目昆虫を誘引し、おそらくこれによって花粉媒介されると考えられている (sapromyophily)[12][13]

分布

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オーストラリア北東部の山地 (標高 350-1100 m) の熱帯雨林内に生育する[11][13]

分類

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アウストロバイレヤ属 (Austrobaileya) は特異な特徴 (花など) をもつため、古くから独立の (アウストロバイレヤ科) に分類されていた。その花の形態などに基づき、新エングラー体系クロンキスト体系では、アウストロバイレヤ科はモクレン目に分類されていた[15][2][16][7]

その後20世紀末以降の分子系統学的研究により、アウストロバイレヤ科はトリメニア科マツブサ科 (シキミ属を含む) に近縁であることが明らかとなった[17][18]。2020年現在では、これら3科はアウストロバイレヤ目としてまとめられている[12]。現生被子植物の中では、最初にアンボレラ目が、次にスイレン目が分岐し、3番目にアウストロバイレヤ目が分岐したと考えられている[12]

アウストロバイレヤ属には、1種のみ (Austrobaileya scandens) が含まれる[13][19][20]

表1. アウストロバイレヤ科の分類体系[1][19]

脚注

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出典

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  1. ^ a b Austrobaileyaceae”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月8日閲覧。
  2. ^ a b 井上浩, 岩槻邦男, 柏谷博之, 田村道夫, 堀田満, 三浦宏一郎 & 山岸高旺 (1983). “アウストロバイレヤ科”. 植物系統分類の基礎. 北隆館. p. 221 
  3. ^ 田村道夫 (1999). “被子植物”. 植物の系統. 文一総合出版. p. 172. ISBN 978-4829921265 
  4. ^ 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “生物分類表”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1645. ISBN 978-4000803144 
  5. ^ 伊藤元己 & 井鷺裕司 (2018). “基部被子植物”. 新しい植物分類体系. 文一総合出版. pp. 22–23. ISBN 978-4829965306 
  6. ^ 日本植物学会 (1990). “植物科名の標準和名”. 文部省 学術用語集 植物学編 (増訂版). 丸善. p. 618. ISBN 978-4621035344 
  7. ^ a b 加藤雅啓 (編) (1997). “分類表”. バイオディバーシティ・シリーズ (2) 植物の多様性と系統. 裳華房. p. 270. ISBN 978-4-7853-5825-9 
  8. ^ 大場秀章 (2009). 植物分類表. アボック社. p. 20. ISBN 978-4900358614 
  9. ^ 長谷部光泰 (2020). 陸上植物の形態と進化. 裳華房. p. 225. ISBN 978-4785358716 
  10. ^ a b c d e f g Kabeya, Y. & Hasebe, M.. “アウストロベイレア目/アウストロベイレア科”. 陸上植物の進化. 基礎生物学研究所. 2021年8月8日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Watson, L. & Dallwitz, M.J. (1992 onwards). “Austrobaileyaceae (Croiz.) Croiz.”. The Families of Angiosperms. 2021年8月8日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Stevens, P. F. (2001 onwards). “Austrobaileya”. Angiosperm Phylogeny Website. Version 14, July 2017. 2021年8月8日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g h i j k l Austrobaileya scandens”. Australian Tropical Rainforest Plants. Australian Tropical Herbarium. 2021年8月8日閲覧。
  14. ^ 田村道夫 (1999). “伴細胞をもたない被子植物”. 植物の系統. 文一総合出版. pp. 143–144. ISBN 978-4829921265 
  15. ^ Melchior, H. (1964). A. Engler's Syllabus der Pflanzenfamilien mit besonderer Berücksichtigung der Nutzpflanzen nebst einer Übersicht über die Florenreiche und Florengebiete der Erde. I. Band: Allgemeiner Teil. Bakterien bis Gymnospermen 
  16. ^ Cronquist, A. (1981). An integrated system of classification of flowering plants. Columbia University Press. ISBN 9780231038805 
  17. ^ Angiosperm Phylogeny Group (2003). “An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG II”. Botanical Journal of the Linnean Society 141 (4): 399-436. doi:10.1046/j.1095-8339.2003.t01-1-00158.x. 
  18. ^ APG III (2009). “An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG III”. Botanical Journal of the Linnean Society 161 (2): 105–121. doi:10.1111/j.1095-8339.2009.00996.x. 
  19. ^ a b Austrobaileya”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月8日閲覧。
  20. ^ GBIF Secretariat (2021年). “Austrobaileya C.T.White”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年8月8日閲覧。

外部リンク

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