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トリメニア科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トリメニア科
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
: アウストロバイレヤ目 Austrobaileyales
: トリメニア科 Trimeniaceae
学名
Trimeniaceae Gibbs (1917)[1]

トリメニア科 (トリメニアか、学名: Trimeniaceae) は被子植物アウストロバイレヤ目に属するの1つである。常緑性木本であるトリメニア属 (Trimenia) の約8種のみを含む。ニューギニアからフィジーオーストラリア東部などに分布する。

特徴

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常緑性高木から低木であり、つる性となるものもある[2][3][4]道管階段穿孔をもち、繊維状仮道管が存在する[2][3]師管色素体はS-type (デンプン粒を含む)[2][3]。節は1葉隙2葉跡[2][3]対生し、葉柄をもち、単葉で全縁または鋸歯をもち、腺点が存在する[2][3][4][5] (図1)。葉脈は羽状[2] (図1)。気孔は平行型[2][3]精油細胞、粘液細胞をもつ[2][3]フラボノールフラボンをもつ[5]

は小さく、放射相称、集散花序を形成して腋生または頂生する[2][3][4] (図1)。両性花または雄花[2][3][4]花被片は2–50枚、離生、らせん状につき、萼片花弁の分化は連続的であり、花後にすぐに落ちる[2][3][5][4]雄しべは6–25個、離生、らせん状につき、花糸は細い[2][5][4]は外向から側向、葯隔が突出する[2][3][5]。小胞子形成は連続型[3]花粉は無口粒〜多溝粒[2][3][5]雌しべはふつう1個、まれに2個、花柱を欠き、子房上位頂生胎座に1個の倒生胚珠をもつ[2][4]。珠孔は両珠皮性、胚嚢は伸長する[5]果実液果種子を1個含む[3][4]。種皮は維管束を含み、全ての細胞壁が厚くなる[5]胚乳が多く、デンプン脂質を含む[3]染色体数は 2n = 18[3][5]

花粉媒介には風および昆虫が寄与すると考えられている (風虫両媒)[5]

分布

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オーストラリア東部、スラウェシ島マルク諸島ニューギニア島ニューブリテン島ニューアイルランド島ブーゲンビル島ニューカレドニアフィジーサモアマルキーズ諸島に分布する[3][6]熱帯から亜熱帯多雨林に生育する[4]

進化・分類

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トリメニア属は、古くはモニミア科 (クスノキ科) に分類されていたが、花被片が早落性であることや雌しべがふつう1個であることから独立科 (トリメニア科) として分けられるようになった[4]。原始的な被子植物の一群と考えられ、新エングラー体系などではモクレン目[7][8]クロンキスト体系などではクスノキ目に分類されていた[9][10]。また独立のトリメニア目 (Trimeniales) に分類されることもあった[3]

やがて20世紀末以降の分子系統学的研究により、トリメニア科は被子植物の初期分岐群の1つであることが明らかとなり、またアウストロバイレヤ科マツブサ科 (シキミ科を含む) に近縁であることが示された。そのため、2020年現在では、トリメニア科、アウストロバイレヤ科、マツブサ科はアウストロバイレヤ目としてまとめられている[5][11]

トリメニア科の特徴をもつ種子の化石が、北海道白亜紀アルビアン期の地層から報告されている[5][12]

トリメニア科には TrimeniaPiptocalyx が認識されていたが、2020年現在では両者は Trimenia としてまとめられている[13]。また Trimenia には、8種ほどが知られている[6] (下表)。

表1. トリメニア科の分類体系[1][6][4]

脚注

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出典

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  1. ^ a b Trimeniaceae”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年8月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Watson, L. & Dallwitz, M.J. (1992 onwards). “Trimeniaceae Perk. & Gilg”. The Families of Angiosperms. 2021年8月7日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Takhtajan, A. (2009). “Trimeniales”. Flowering Plants. Springer. pp. 24-25. ISBN 978-1-4020-9609-9 
  4. ^ a b c d e f g h i j k トレヴァー・ウィッフィン (1997). “トリメニア科”. 週刊朝日百科 植物の世界 9. pp. 92–93. ISBN 9784023800106 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l Stevens, P. F. (2001 onwards). “Trimeniaceae”. Angiosperm Phylogeny Website. Version 14, July 2017. 2021年8月8日閲覧。
  6. ^ a b c Trimenia”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年8月8日閲覧。
  7. ^ Melchior, H. (1964). A. Engler's Syllabus der Pflanzenfamilien mit besonderer Berücksichtigung der Nutzpflanzen nebst einer Übersicht über die Florenreiche und Florengebiete der Erde. I. Band: Allgemeiner Teil. Bakterien bis Gymnospermen 
  8. ^ 井上浩, 岩槻邦男, 柏谷博之, 田村道夫, 堀田満, 三浦宏一郎 & 山岸高旺 (1983). “トリメニア科”. 植物系統分類の基礎. 北隆館. p. 221 
  9. ^ Cronquist, A. (1981). An integrated system of classification of flowering plants. Columbia University Press. ISBN 9780231038805 
  10. ^ 加藤雅啓 (編) (1997). “分類表”. バイオディバーシティ・シリーズ (2) 植物の多様性と系統. 裳華房. p. 270. ISBN 978-4-7853-5825-9 
  11. ^ APG III (2009). “An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG III”. Botanical Journal of the Linnean Society 161 (2): 105–121. doi:10.1111/j.1095-8339.2009.00996.x. 
  12. ^ 世界最古のトリメニア科種子化石を発見』(プレスリリース)金沢大学、2009年5月9日https://www.kanazawa-u.ac.jp/news/42442021年8月8日閲覧 
  13. ^ a b Trimenia Seem.”. Tropicos.org.. Missouri Botanical Garden. 2021年8月8日閲覧。
  14. ^ Schisandraceae Blume”. Tropicos v3.3.2. Missouri Botanical Garden. 2022年8月13日閲覧。

外部リンク

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  • Kabeya, Y. & Hasebe, M.. “アウストロベイレア目/トリメニア科”. 陸上植物の進化. 基礎生物学研究所. 2021年8月8日閲覧。
  • Watson, L. & Dallwitz, M.J. (1992 onwards). “Trimeniaceae Perk. & Gilg”. The Families of Angiosperms. 2021年8月7日閲覧。 (英語)
  • Stevens, P. F. (2001 onwards). “Trimeniaceae”. Angiosperm Phylogeny Website. Version 14, July 2017. 2021年8月8日閲覧。 (英語)
  • Trimenia”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年8月8日閲覧。 (英語)