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アド・アストラ (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アド・アストラ
Ad Astra
監督 ジェームズ・グレイ
脚本
製作
製作総指揮
  • マーク・バタン
  • ジェフリー・チャン
  • ポール・コンウェイ
  • ソフィー・マス
  • アンソニー・モサウィ
  • ロウレンソ・サンターナ
  • ドン・ユー
出演者
音楽 マックス・リヒター
撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
編集
  • ジョン・アクセルテッド
  • リー・ハウゲン
製作会社
配給 20世紀フォックス
公開 イタリアの旗 2019年8月29日 (VIFF)
アメリカ合衆国の旗日本の旗 2019年9月20日
上映時間 123分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国中華人民共和国の旗 中国ブラジルの旗 ブラジル
言語 英語
製作費 $90,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $127,461,872[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $50,188,370[1]
日本の旗 6億5337万円[2]
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アド・アストラ』(原題:Ad Astra、「 To the Stars 」のラテン語)は、ジェームズ・グレイ監督による2019年アメリカ合衆国エピックSFスリラー映画である。プロデューサー兼任のブラッド・ピットの他、トミー・リー・ジョーンズルース・ネッガドナルド・サザーランドが出演する。日本では、20世紀フォックス配給作品は本作が最後になった[注 1]

あらすじ

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人類は火星に宇宙基地を建造し、地球外生命体の探査に乗り出している。著名な宇宙飛行士クリフォード・マクブライドの息子であるロイ・マクブライド少佐は、優秀な宇宙飛行士となっていたが、16年前の父の事故死が切っ掛けとなり、他者と適切な関係を築くことができず、妻のイヴとも離婚していた。

ある日、地球は大規模なサージ電流に覆われ、全世界で4万人超の犠牲者が発生する。サージによる軌道施設の爆発事故を生き延びたロイは、アメリカ宇宙軍上層部に極秘に招集される。宇宙軍は、16年前に連絡を絶ち、現在は海王星付近に留まっているらしい地球外生命体探査計画「リマ」で用いられていた反物質装置がサージを引き起こしたものと推定する。リマ計画のリーダーであったクリフォードも生存している可能性が強まり、息子であるロイをクリフォードへのメッセンジャーとする。ロイは監視役であるプルーイット大佐と共に、サージの影響を免れた宇宙軍火星地下基地で、海王星へのレーザー通信を試みることになる。

ロイとプルーイットは、民間機で密かに中継点のを目指す途中、クリフォードについて話す。プルーイットはかつてクリフォードの同僚であったが、地球外生命体の存在を頑なに信じるクリフォードとは喧嘩別れに近い形に終わっていた。月に到着したロイ達は、宇宙軍の警備の元、陸路で月の裏側にあるロケット発射基地を目指す。国境線が確定しておらず、資源紛争の場と化している月面では国籍不明の略奪団が暴れまわっており、ロイ達も襲撃を受ける。警備にあたったほとんどの兵が死亡し、プルーイットも負傷するが、ロイはかろうじて発射基地にたどり着く。容体が急変したプルーイットは、宇宙軍から告げられた真の任務内容記録――必要であればクリフォードを殺害すること――をロイに託し、宇宙船「ケフェウス」への搭乗を急がせる。火星への道中、ケフェウスはSOSを発信していたノルウェーの実験船の救助を試みるが、船員たちは脱走した実験動物に殺害されており、移乗したケフェウスの船長もその犠牲となる。更に火星への着陸寸前には、またもサージに襲われ、手動着陸を余儀なくされる。

ようやく火星基地にたどり着いたロイは父への通信を繰り返すが、応答はない。最初のうちは軍が用意した原稿を読んでいたロイだが、やがてこらえきれずに自分の言葉で父への想いを伝える。直後、ロイは軍の担当者から不安定な心理状態を指摘され、任務を解かれる。何も教えられずに地球帰還を待つ身となったロイに、火星基地の責任者でありながら蚊帳の外に置かれていたヘレン・ラントスが接触し、ケフェウスには核爆弾が積み込まれており、海王星へ向けての発進が決まったことを伝える。更にヘレンは16年前にクリフォードから送られてきた極秘通信を見せる。ステーションでは長期の宇宙生活で精神を病み、地球帰還を求める者たちの反乱がおこり、クリフォードはヘレンの両親も含めた無実の乗組員を巻き添えにする形で彼らを殺害していた。軍は一連の状況を把握しつつ、対外的な印象のためにリマ計画が音信不通になったと偽っていたのである。ロイはヘレンの手助けで発進直前のケフェウスに無理やり乗り込むが、司令部からロイの排除命令を受けた乗組員たちと争いになり、結果的に彼ら全員を死に追いやってしまう。たった一人で70日を超える航海に臨む羽目になったロイは、これまで拒絶してきた「他人」が存在しない環境の寂しさに悩まされる。

やがてロイは海王星付近のリマ計画宇宙ステーションにたどり着き、唯一の生存者となっていたクリフォードと再会する。サージの発生原因は、最後に地球帰還を試みた一団が暴走させてしまったステーションの反物質装置であると聞く。クリフォードは装置の修理を試みつつ地球外生命体の痕跡を調査し続けていたが、どちらも達成できなかった。リマ計画を失敗という形で終わらせたくないクリフォードは、研究データを回収して地球に帰ろうとするロイの説得を拒否し、1人宇宙空間の彼方へ飛び去る。ロイはステーションを破壊する核爆弾の衝撃波をケフェウスの推進力とし、地球へ帰還する。

かけがえのない存在であった父との決別と、かつて父が辿った孤独な旅の経験は、ロイ自身の心境を大きく変える。自らと父を追い詰めた「他人との繋がりの欠如」を克服するべく、ロイはイヴと再会する。

キャスト

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※括弧内は日本語吹替[3]

製作

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2016年5月12日、グレイは第69回カンヌ国際映画祭で『Ad Astra』の監督・脚本を務める計画を発表した[4]

2017年4月、『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』のプロモーション中にグレイは『Ad Astra』のストーリーをジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』と比較した。また2017年7月17日に撮影開始予定であることを明かした[5]

2017年4月10日、グレイはブラッド・ピットの出演を明かした[6]。6月、トミー・リー・ジョーンズが行方不明となったピットのキャラクターの父親役にキャスティングされた[7]。8月、ルース・ネッガジョン・フィンドナルド・サザーランドジェイミー・ケネディがキャストに加わった[8][9][10][11]

2017年8月、主要撮影カリフォルニア州サンタクラリタで始まった[12][13]

公開

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20世紀フォックス配給で2019年1月11日に公開される予定だったが[14]5月24日に延期され[15]、のちに再度延期され同年9月20日全米公開予定となった[16]

オープニング興収は約1920万ドルで2位デビュー[17]

評価

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本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには369件のレビューがあり、批評家の一致した見解は「『アド・アストラ』は広大な宇宙の果てまで視覚的にスリリングな旅をしながら、親子の絆の核心に向けた野心的な道筋を描いている。」となっており、批評家支持率は84%、平均点は10点満点で7.54点となっている[18]Metacriticには56件のレビューがあり、加重平均値は80/100となっており、好意的な評価を得た[19]

脚注

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注釈

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  1. ^ ディズニーが20世紀フォックスを買収したため、同社での配給予定だった『ターミネーター:ニュー・フェイト』以降は、ウォルト・ディズニー・ジャパン配給となる。

出典

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  1. ^ a b c Ad Astra”. Box Office Mojo. IMDb. 2020年7月11日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報』2020年3月下旬特別号 63頁
  3. ^ “アド・アストラ”. ふきカエル大作戦!!. (2019年12月23日). https://www.fukikaeru.com/?p=13034 2019年12月23日閲覧。 
  4. ^ Lang, Brent (12 May 2016). “Cannes: James Gray Making Sci-Fi Epic 'Ad Astra'”. Variety (Variety Media, LLC). https://variety.com/2016/film/news/cannes-james-gray-making-sci-fi-epic-ad-astra-1201772539/ 24 June 2017閲覧。 
  5. ^ James Gray Says His Sci-Fi Movie ‘Ad Astra’ Starts Filming This Summer with Brad Pitt”. Collider. Complex Media Inc. (10 April 2017). 24 June 2017閲覧。
  6. ^ Chitwood, Adam (10 April 2017). “James Gray Says His Sci-Fi Movie ‘Ad Astra’ Starts Filming This Summer with Brad Pitt”. Collider. https://collider.com/james-gray-brad-pitt-ad-astra-filming/#images 5 September 2017閲覧。 
  7. ^ Jr, Mike Fleming (June 23, 2017). “Tommy Lee Jones To Star With Brad Pitt In Deep-Space Epic”. Deadline. https://deadline.com/2017/06/tommy-lee-jones-brad-pitt-ad-astra-james-gray-new-regency-1202119181/ June 24, 2017閲覧。 
  8. ^ “Ruth Negga Joins Brad Pitt in 'Ad Astra' (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter. (2017年8月7日). https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/ruth-negga-joins-brad-pitt-ad-astra-1025455/ 2017年10月19日閲覧。 
  9. ^ Ruth Negga joins Brad Pitt and Lee Jones in sci-fi thriller Ad Astra” (英語). JoBlo.com (2017年8月7日). 2017年10月19日閲覧。
  10. ^ “Donald Sutherland Joins James Gray's 'Ad Astra' (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter. (2017年8月11日). https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-features/donald-sutherland-joins-james-grays-ad-astra-1027688/ 2017年10月19日閲覧。 
  11. ^ “Jamie Kennedy Joins James Gray's 'Ad Astra' (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter. (2017年8月14日). https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/jamie-kennedy-joins-james-grays-ad-astra-1028273/ 2017年10月19日閲覧。 
  12. ^ “Filming this week in SCV, August 21-27, 2017”. Santa Clarita Valley Signal. (August 21, 2017). https://signalscv.com/2017/08/21/filming-week-scv-august-21-27-2017/ August 28, 2017閲覧。 
  13. ^ “Now Filming in SCV: Arrested Development, Seal Team, more”. SCVTV.com. (August 21, 2017). https://scvtv.com/2017/08/21/now-filming-in-scv-arrested-development-seal-team-more/ August 28, 2017閲覧。 
  14. ^ Brad Pitt’s Sci-Fi Movie ‘Ad Astra’ to Hit Theaters in January 2019”. Variety (14 September 2017). 7 April 2018閲覧。
  15. ^ James Gray’s ‘Ad Astra’ Moves To May 2019, Conveniently Following Cannes”. The Playlist (2018年10月15日). 2018年12月23日閲覧。
  16. ^ Disney-Fox Updates Release Schedule: Sets Three Untitled ‘Star Wars’ Movies, ‘Avatar’ Sequels To Kick Off In 2021 & More”. Deadline (2019年5月7日). 2019年6月21日閲覧。
  17. ^ 【全米映画ランキング】映画版「ダウントン・アビー」がV 「アド・アストラ」は2位デビュー”. 映画.com (2019年9月24日). 2019年11月10日閲覧。
  18. ^ Ad Astra (2019)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年7月11日閲覧。
  19. ^ Ad Astra Reviews” (英語). Metacritic. 2020年7月11日閲覧。

外部リンク

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