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アルコル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アルコル[1]
Alcor[2][3]
仮符号・別名 おおぐま座80番星[4]
星座 おおぐま座
見かけの等級 (mv) 4.010[4]
位置
元期:J2000.0[4]
赤経 (RA, α)  13h 25m 13.53783s[4]
赤緯 (Dec, δ) +54° 59′ 16.6548″[4]
赤方偏移 -0.000030[4]
視線速度 (Rv) -8.9km/s[4]
固有運動 (μ) 赤経: 120.21 ミリ秒/年[4]
赤緯: -16.04 ミリ秒/年[4]
年周視差 (π) 39.91 ± 0.13ミリ秒[4]
(誤差0.3%)
距離 81.7 ± 0.3 光年[注 1]
(25.06 ± 0.08 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 2.0[注 2]
物理的性質
自転速度 218 km/s[5]
スペクトル分類 A5V+M3-4V [4]
色指数 (B-V) +0.16[5]
色指数 (U-B) +0.08[5]
色指数 (R-I) +0.07[5]
他のカタログでの名称
おおぐま座g星[4]
BD +55 1603[4]
HD 116842[4]
HIP 65477[4], HR 5062[4]
SAO 28751[4]
Template (ノート 解説) ■Project

アルコル (Alcor) は、おおぐま座恒星で4等星。北斗七星を形作るミザールの脇にある。

概要

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アルコルとミザールとの離角は12分 (満月の半径程度) である。ある程度の視力があればミザールとアルコルを分離して見ることができる。14世紀アラビア辞典編集者マジドッディーン・フィールーザーバーディーによれば、かつてアラビアでは al-Ṣaidak (テスト) と呼ばれ、2つの星が分離して見えるかどうかで視力を試していたとする[6][7]

北斗七星とアルコル

特徴

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太陽から、ミザールは約86光年、アルコルは約82光年の距離にあり、また両星の距離は約4光年離れている。どちらも、おおぐま座運動星団に属するが、この2つの星が見かけの二重星なのか、重力的に束縛された真の連星なのかについての結論は出されていない。2009年に、それぞれ独立した2つの研究グループが「アルコルは赤色矮星との連星系であり、四重連星系のミザールと重力的に結ばれている六重連星系である」とする説を発表している[8][9]

名称

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学名は g Ursae Majoris (略称はg UMa) 、または80 Ursae Majoris (略称は80 UMa) [4]。固有名のアルコル または アルコア の由来には以下の2つの説がある。

  • アラビア語で「かすかなもの」という意味の al Khawwar に由来するという説[1][6][10]
  • 元々 ε星に付けられていた al-jaun (黒い馬、または黒い牡牛) という名称が、西洋で g星の名称として誤って伝わり、それがラテン語化されたときに訛って Alkor となったとする説[2][6]。この説では、本来の名前は「忘れられたもの」「拒絶されたもの」を意味する سها (Suhā) だったとしている[2][6]

2016年6月30日に国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Alcor をおおぐま座80番星の固有名として正式に承認した[3]

中国語では、この伴星を「星」と呼ぶ。北宋の時代の道教の書『雲笈七籤』24巻「日月星辰部」では、北斗七星に「輔星」「弼星」をあわせ、北斗九星として記述している。

日本の場合、地方によっては「寿命星」などと呼ばれ、この星が見えなくなると年内に死ぬという言い伝えがある[7]。ただし、以前に見えていたアルコルが見えなくなるのは老眼のせいと考えられるため、全く根拠のない迷信とは言い切れない部分もある。また「添え星」という呼び名もあり、それは江戸時代の『節用集』にもあらわれ、後陽成天皇宸翰『星の圖』にもカタカナで書かれている。野尻抱影は「中国の輔星を訳したものか」と考えた[7]

アルコルの登場する作品

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脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b 原恵『星座の神話 -星座史と星名の意味-』(新装改訂)恒星社厚生閣、2001年、105頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  2. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. pp. 56-58. ISBN 978-1-931559-44-7 
  3. ^ a b IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年11月8日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r SIMBAD Astronomical Database”. Results for g UMa. 2013年2月10日閲覧。
  5. ^ a b c d 輝星星表第5版
  6. ^ a b c d Richard Hinckley Allen. “Star Names — Their Lore and Meaning”. 2014年7月29日閲覧。
  7. ^ a b c 野尻抱影『星と伝説』創元文庫、1952年、30-31頁。 
  8. ^ First Known Binary Star Is Discovered to Be a Triplet, Quadruplet, Quintuplet, Sextuplet System”. ScienceDaily (2009年12月13日). 2014年7月29日閲覧。
  9. ^ Parallactic motion for companion discovery: an M-dwarf orbiting Alcor”. The Astrophysical Journal (2010年2月1日). 2014年7月29日閲覧。
  10. ^ 近藤二郎『星の名前のはじまり』(新)誠文堂新光社、2012年8月、96頁。ISBN 978-4-416-21283-7