アンソニー・グラフトン
人物情報 | |
---|---|
生誕 |
1950年5月21日(74歳) アメリカ合衆国・ニューヘイブン (コネチカット州) |
出身校 | シカゴ大学 |
配偶者 |
ルイーズ・エルリック (Louise Erlich) (結婚 1972年) [1] |
学問 | |
研究機関 | |
博士課程指導学生 | |
主な受賞歴 | バルザン賞(2002年) |
アンソニー・トーマス・グラフトン (Anthony Thomas Grafton, 1950年5月21日 - ) は、アメリカ合衆国の歴史学者。専門はルネサンス期・初期近代の人文主義、科学史、史学史、書物の歴史など。1990年代以降の人文学における「インテレクチュアル・ヒストリー」の中心人物[2]。
プリンストン大学教授[3][4]、アメリカ歴史学会会長[5]などを歴任。イギリス学士院客員会員、アメリカ芸術科学アカデミー会員。2002年バルザン賞受賞。
経歴
[編集]1950年5月21日、コネチカット州ニューヘイブン出身。フィリップス・アカデミー・アンドーヴァー卒業生。
1971年、シカゴ大学で歴史学の学士号取得[3]。翌1972年、修士号取得[3]。1973年から1974年、ロンドン大学に留学し、アルナルド・モミリアーノの指導のもとウォーバーグ研究所を利用してヨセフス・スカリゲルについての博士論文を執筆[6]、1975年、シカゴ大学でPh.D.取得[3]。以降もウォーバーグ研究所と繋がりを持ち続ける。
同1975年、コーネル大学で講義を受け持った後、プリンストン大学にポストを得る。以降プリンストン大学に所属している。
1996年には、オックスフォード大学のコーパス・クリスティ・カレッジでイライアス・ロウ講義を務める[7]。2007年からは、1940年創刊の学術雑誌『Journal of the History of Ideas』の編集委員を務める。2011年から2012年には、アメリカ歴史学会会長を務める。
学問・人物
[編集]ルネサンス期・初期近代の文献学史・古典学史・史学史・科学史の研究で知られる。例えば主著の『テクストの擁護者たち』では、リチャード・ベントリー、ポリツィアーノ、ヴィテルボのアンニウス、ヨセフス・スカリゲル、カゾボン、ヘルメス文書、『シビュラの託宣』、ヨハネス・ケプラー、ラ・ペイレール、フリードリヒ・アウグスト・ヴォルフなどを論じている[8]。また、アルベルティ、カルダーノについての専著がある[9]。
また、リサ・ジャーディンと共同で、ルネサンス期の教育における偽史・歴史修正主義について[10]や、ガブリエル・ハーベイの読書における書き入れ(マルジナリア)について研究している[11]。書き入れや脚注 (footnote) の歴史については単著も出している[12]。その他、『ニュー・リパブリック』、『アメリカン・スカラー』、『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』などで様々なトピックについて寄稿している。同僚に中国文献学史の研究者ベンジャミン・エルマンがいる[13]。
自宅に回転式書見台を所有している。
受賞
[編集]- Los Angeles Times Book Prize, History, 1993年
- バルザン賞 (Balzan Prize) for History of the Humanities, 2002年
- アメリカ芸術科学アカデミー 会員、2002年選出[14]
- イギリス学士院 客員会員、1997年選出[15]
- ライデン大学 名誉学位、2006年[16]
- オックスフォード大学 名誉学位、2013年[17]
- シカゴ大学 The Sigmund H. Danziger, Jr. Memorial Lecture in the Humanities、2011年
- Rome Prize
- プール・ル・メリット勲章
- グッゲンハイム・フェロー
- Berlin-Brandenburg Academy of Sciences and Humanities
主な著作
[編集]日本語訳
[編集]- Defenders of the Text: The Traditions of Scholarship in the Age of Science, 1450–1800 (Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press, 1991).
- 『テクストの擁護者たち: 近代ヨーロッパにおける人文学の誕生』ヒロ・ヒライ監訳・解題、福西亮輔訳、勁草書房〈bibliotheca hermetica叢書〉、2015年。ISBN 978-4-326-14828-8
- "Le lecteur humaniste". Histoire de la lecture dans le monde occidental (Paris: Seuil, 1997).
- 「人文主義者が読む」片山英男訳、『読むことの歴史: ヨーロッパ読書史』ロジェ・シャルチエ;グリエルモ・カヴァッロ編、田村毅ほか訳、大修館書店、2000年、ISBN 4469250643
- Cardano's Cosmos: The Worlds and Works of a Renaissance Astrologer (Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press, 1999).
- 『カルダーノのコスモス: ルネサンスの占星術師』榎本恵美子;山本啓二訳、勁草書房、2007年。ISBN 978-4-326-10175-7
- Leon Battista Alberti: Master Builder of the Italian Renaissance (Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press, 2000).
- 『アルベルティ: イタリア・ルネサンスの構築者』森雅彦;足達薫;石澤靖典;佐々木千佳訳、白水社、2012年。ISBN 9784560082416
脚注
[編集]- ^ “Anthony Grafton Biography | AHA”. www.historians.org. 2021年7月5日閲覧。
- ^ 『テクストの擁護者たち』ヒロ・ヒライ解題
- ^ a b c d “Anthony Grafton”. The Department of History. The Trustees of Princeton University. 2021年7月5日閲覧。
- ^ “Anthony T. Grafton, Director — European Cultural Studies”. ecs.princeton.edu. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “History under Attack | Perspectives on History | AHA”. www.historians.org. 2021年7月5日閲覧。
- ^ 『テクストの擁護者たち』10-20頁
- ^ “Lectures”. Gazette (Oxford University). (5 Oct 1995). オリジナルの27 February 2018時点におけるアーカイブ。 23 Jan 2017閲覧。
- ^ 『テクストの擁護者たち』ヒロ・ヒライ解題・各章要約
- ^ #主な著作
- ^ with Lisa Jardine, From Humanism to the Humanities. Education and the Liberal Arts in Fifteenth- and Sixteenth-Century Europe (London: Duckworth, 1986). ISBN 978-0-7156-2100-4
- ^ Jardine, Lisa; Grafton, Anthony (1990). “"Studied for Action": How Gabriel Harvey Read His Livy.”. Past & Present 129: 30–78. doi:10.1093/past/129.1.30.
- ^ The Footnote: A Curious History (Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press, 1997).
- ^ 竹村英二. “KAKEN — 研究課題をさがす | 2016 年度 研究成果報告書 (KAKENHI-PROJECT-25370093)”. kaken.nii.ac.jp. 2023年6月17日閲覧。
- ^ “Anthony Grafton” (英語). American Academy of Arts & Sciences. 2020年5月14日閲覧。
- ^ “Professor Anthony Grafton” (英語). The British Academy. 2020年7月27日閲覧。
- ^ “Institute for History”. Leiden University. 2021年7月5日閲覧。
- ^ “Honorary degrees awarded at Encaenia | University of Oxford”. www.ox.ac.uk. 2020年7月27日閲覧。