イイズナ
イイズナ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Mustela nivalis Linnaeus, 1766 | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
イイズナ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Least Weasel | ||||||||||||||||||||||||||||||
イイズナ(飯綱、学名:Mustela nivalis)は、食肉目イタチ科イタチ属に属する哺乳類。食肉目最小の種である。北米、北アフリカ、ユーラシア大陸中部から北部に広く分布し、日本では北海道、青森県、岩手県、秋田県に分布する[1]。コエゾイタチとも呼ばれる[2]。
形態
[編集]雄は頭胴長14-26cm、尾長1.6-3.5cm、体重25-250g[3]。雌は雄よりやや小さい。夏は背側が茶色で腹側が白色。冬は全身純白になる。形態がよく似ているホンドオコジョとは近縁とされる事もあるが、染色体数や染色体構成は大きく異なっている[4][5]。
生態
[編集]気性が荒く動きは俊敏。生息地は深い森林や平野、田畑など。また、日本では村里にも生息する。ネズミ類が主食だが、小鳥、昆虫類、両生類、死肉も食べる。
都市部の拡大による森林や池沼の減少とともに繁殖域が狭くなっている[6]。
亜種
[編集]- ニホンイイズナ M. n. namiyei Kuroda, 1921
- 青森県、岩手県、秋田県に分布。頭胴長16cm、尾長2.5cmほど。
- キタイイズナ M. n. nivalis Linnaeus, 1766
- 北海道に分布。ニホンイイズナより大型。
保全状態評価
[編集]- イイズナ Mustela nivalis
- LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
- 亜種 ニホンイイズナ Mustela nivalis namiyei
- 絶滅のおそれのある地域個体群(環境省レッドリスト) -本州の個体群
文化
[編集]語源
[編集]長野県飯綱(いいづな)山(飯縄山)で修験者が管狐(くだぎつね)と呼ばれるイタチに似た獣を使って呪術を行っていた。その者たちが「飯綱使い(いづなつかい)」と呼ばれたことが語源となっている[7]。
伝承
[編集]東北地方や信州では「飯綱(いづな、イイズナ)使い」「狐持ち」として管狐を駆使する術を使う家系があると信じられていた。長野県飯綱山の神(飯縄権現)からその術を会得する故の名とされる[8]。
民俗学者武藤鉄城は「秋田県仙北地方ではイヅナと称し[注釈 1]、それを使う巫女(エチコ)もいる」とする[9]。また北秋田郡地方では、モウスケ(猛助)とよばれ、妖怪としての狐よりも恐れられていた[9]。
知里真志保は、アイヌ語でエゾイタチは、「ウパㇱ・チロンヌㇷ゚」または「サチリ(sáčiri)」 と称するが、コエゾイタチ(イイズナ)もまた「サチリ」と呼ばれたらしいとしており、「ポイ・サチリ・カムイ(poy-sáčiri-kamuy)」の尊称(「ポイ、ポン」は「小」の意)はコエゾイタチを指すのだろうと推論した[10]。
脚注
[編集]補注
[編集]出典
[編集]- ^ 米田政明 「イイズナ」『日本の哺乳類 改訂2版』自然環境研究センター編、東海大学出版会、2008年。ISBN 978-4486018025。
- ^ 『広辞苑 第4版』岩波書店、1991年。「いいずな」の項。
- ^ 今泉吉典監修(1991年)『世界の動物 分類と飼育 第2巻〔食肉目〕』財団法人東京動物園協会、ISBN 978-4886220615
- ^ 小原良孝「本邦産イタチ属食肉類2種 (ニホンイイズナ及びホンドオコジョ) の比較核型分析」『哺乳動物学雑誌』第9巻第2号、日本哺乳類学会、1982年、59-69頁、doi:10.11238/jmammsocjapan1952.9.59、ISSN 0546-0670、NAID 130001817812。
- ^ 小原良孝 (apr 1985). “イタチ属食肉類2種(ホンドオコジョMustela erminea Nippon及びニホンイイズナM. nivalis namiyei)の核学的関係 [英文短報]”. The Japanese journal of genetics (Genetics Society of Japan) 60 (2): 157-160. ISSN 0021-504X. NAID 220000140776 .
- ^ 淺川昭一郎『北のランドスケープ―保全と創造』環境コミュニケーションズ、2007年、35頁
- ^ “イイズナ”. 国土交通省. 2023年8月18日閲覧。
- ^ 『広辞苑 第4版』(1991年)、岩波書店「いづなつかい【飯綱使・飯縄遣】」の項
- ^ a b c 武藤鉄城「秋田郡邑魚譚」『アチックミユーゼアム彙報』第45巻、「仙北地方/生保内村」の部、41-42頁、1940年 。「北秋田ではモウスケと称して狐より怖がられ、仙北地方ではイヅナと称し、それを使う巫女(エチコ)もある。学名コエゾイタチを、此の付近..〔生保内村〕では..オコジョと云ふ(田口耕之助氏)」。
- ^ 知里真志保「アイヌ語獣名集」『北海道大學文學部紀要』第7巻、北海道大學文學部、1959年3月、150-121頁、ISSN 04376668、NAID 110006662887。