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イギリスの紙幣と硬貨の一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

イギリスの紙幣と硬貨の一覧は、イギリスの紙幣および硬貨について、広く用いられている用語の一覧である。

硬貨

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十進法導入以前

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1971年十進法導入以前には、12ペンス(「12d」と表記)が1シリング(「1s」ないし「1/-」と表記)をなし(十二進法)、20シリングが1ポンド(ポンド記号£を用いて「£1」と表記するが、しばしば大文字のLを代用して「L1」とする)となっていた(二十進法)。したがって、1ポンドは240ペンスに相当した。表記の際は、例えば2ポンド14シリング5ペンスは「£2 14s 5d」と記された。

一部の硬貨は時代によって価値が変動し、特に17世紀のジェームズ1世およびチャールズ1世の統治下(ステュアート朝前期)には著しい変化があった。ギニーの価値は、1717年12月に21シリングと確定されるまで、20シリングから30シリングの間で変動し続けた。グレートブリテン王国成立以降の初期のイギリスにおける(あるいは、スコットランドでは硬貨の名称に異なる価値が与えられていた場合があることを踏まえれば、その時期のイングランドにおける)硬貨の名称は以下の通りである。

十進法導入以前の硬貨
名称 英語表記 額面価値 ポンド単位の換算値 使用された時期 注記
マイト Mite[1] ¹/24d £0.0001736 テューダー朝時代 1マイトは1ペニーの24分の1、1ファージングの6分の1、とされる。
クオーター・ファージング Quarter farthing ¹/16d £0.00026 1839–1868. [注記 1]
サード・ファージング Third farthing ¹/12d £0.0003472 1827–1913. [注記 1]
ハーフ・ファージング Half farthing ¹/8d £0.00052083 1828–1868. [注記 1]
ファージング Farthing ¼d £0.00104167 c. 1200–1960. farthing の語義は「(ペニーの)4分の1」
ハーフペニー Halfpenny ½d £0.0021 1272–1969. しばしば「ヘイプニー (ha'penny)」と表記・発音される。コインを指す場合の複数形は halfpennies ("ha'pennies")、金額を指す場合は「ハーフペンス」ないし「ヘイペンス」 halfpence ("ha'pence")。
スリー・ファージング Three farthings ¾d £0.0031 1561–1582.
1ペニー One penny 1d £0.0042 757–1970. 「copper(銅貨)」と通称された。コインを指す場合の複数形は pennies、金額を指す場合は pence。
スリー・ヘイペンス Three halfpence 1½d £0.0063 1561–1582, 1834–1870. [注記 1]
「スリー・ハーフペンス」とは発音しない
ハーフ・ゴート Half groat 2d £0.0083 1351–1662.
タペンス Twopence 2d £0.0083 1668 – 現在(銀貨聖木曜日洗足式の儀式用を含む)

:1797–1798(銅貨

「ツーペンス」とは発音しない
スリーペンス Threepence 3d £0.0125 1547–1945(銀貨:以降は聖木曜日洗足式の儀式用としてのみ使用)

:1937–1970(ニッケル黄銅貨

"thripp'nce"、"thrupp'nce"、"threpp'nce"、"thripp'ny bit"、"thrupp'ny bit" などの異称がある
ゴート Groat 4d £0.0167 1279–1662(銀貨:以降は聖木曜日洗足式の儀式用としてのみ使用)

:1836–1862(銀貨:以降は聖木曜日洗足式の儀式用としてのみ使用)

経済学者議員でもあり、この硬貨の再鋳造を強く主張したジョセフ・ヒューム (Joseph Hume、1777-1855) にちなんで、"joey" と称された[2]
シックスペンス Sixpence 6d £0.025 1547–1970(十進法移行後、1980年まで2.5新ペンスとして流通) "tanner"、まれに "tilbury" とも称された[3]ゴートが流通しなくなると、 "joey" とも呼ばれることがあった。
シリング Shilling 1/- £0.05 1502–1970(十進法移行後、1990年まで5新ペンスとして流通) "bob" とも通称された。
クオーター・フローリン(クオーター・ヘルム) Quarter florin or helm 1/6 £0.075 1344 [注記 2]
金貨:1年足らずで廃止。
ゴールド・ペニー en:Gold penny 1/8 to 2/- £0.0833 から £0.1 1257–1265. 金貨:地金としての価値より額面が低かったため、極めて希少。
クオーター・ノーブル Quarter noble 1/8 £0.0833 1344–1470.
クオーター・エンジェル Quarter angel 2/- £0.1 1547–1600. 金貨
フローリン(2シリング Florin or two shillings 2/- £0.1 1848–1970(十進法移行後、1993年まで10新ペンスとして流通) [注記 2]
ハーフ・クラウン Half crown 2/6 £0.125 1526–1969. "half a dollar" とも。この表の「クラウン」を見よ
ハーフ・フローリン(レパード) Half florin or leopard 3/- £0.15 1344 [注記 2]
金貨:極めて希少
ハーフ・ノーブル Half noble 3/4 から 4/2 £0.1667 から £0.2083 1346–1438 に鋳造 1464年以降、価値が上がる
ハーフ・エンジェル Half angel 3/4, later 5/6 £0.1667、後には £0.275 1470–1619.
ダブル・フローリン Double florin 4/- £0.2 1887–1890. [注記 2]
銀貨
クラウン・オブ・ザ・ローズ Crown of the rose 4/6 £0.225 1526–1551.
クラウン Crown 5/- £0.25 1526–1965. 1940年代に米ドル4ドルが1ポンドであったことから、"a dollar"(「1ドル」の意)と通称された。
クオーター・ギニー Quarter guinea 5/3 £0.2625 1718, 1762.
フローリン(ダブル・レパード) Florin or double leopard 6/- £0.3 1344. [注記 2]
金貨:1年足らずで廃止
ノーブル Noble 6/8、後に 8/4 £0.3333、後に£0.4167 1344–1464. 1464年以降、価値が上がる
エンジェル Angel 6/8 £0.3333 1461–1643.
ハーフ・マーク Half mark 6/8 £0.333 中世期 この額の硬貨は発行されていないが、単位として存在した。
サード・ギニー Third guinea 7/- £0.35 1797–1813.
ローズ・ノーブル(リヤル) Rose noble or ryal 10/-、後に 15/- £0.5、後に £0.75 1464–1470, 1487, 1553–1603. 1553年以降、価値が上がる
ハーフ・ソブリン Half sovereign 10/- £0.5 1544–1553; 1603–1604; 1817–1937 金貨:1980年以降は地金型金貨扱い
ハーフポンド Halfpound 10/- £0.5 1559–1602; 1642–1644
ダブル・クラウン Double crown 10/- £0.5 1604–1619; 1625–1662.
ハーフ・ローレル Half laurel 10/- £0.5 1619–1625.
ハーフ・ユナイト Half unite 10/- £0.5 1642–1643.
ハーフ・ギニー Half guinea 10/6 £0.525 1669–1813.
マーク Mark 13/4 £0.667 [medieval period] この額の硬貨は発行されていないが、単位として存在した。
スパー・リヤル Spur ryal 15/- £0.75 1604–1625.
ソブリン Sovereign 20/- £1 1489–1604; 1817–1937 金貨:1957年以降は地金型金貨扱い
ユナイト Unite 20/- £1 1604–1619; 1649–1662.
ローレル Laurel 20/- £1 1619–1644?
カロラス Carolus 20/-、後に 23/- £1、後に £1.15 チャールズ1世治下の一時期
ブロード Broad 20/- £1 1656.
ギニー Guinea 21/- £1.05 1663–1799, 1813.
ローズ・リヤル en:Rose Ryal 30/- £1.5 1604–1625.
2ポンド Two pounds 40/- £2 1823–1937.
2ギニー(ダブル・ギニー) Two guineas or double guinea 40/-、後に 42/- £2、後に £2.1 1664–1753. 当初は40シリング ("forty-shilling piece")=2ポンドの額面であったが、1717年に1ギニー=1ポンド1シリングと定められて以降、42シリング=2ギニーとして扱われた。
50シリング Fifty shillings 50/- £2.5 1656.
トリプル・ユナイト Triple unite 60/- £3 1642–1644.
5ポンド Five pounds 100/- £5 1826–1990. 金貨
5ギニー Five guineas 100/-、後に 105/- £5、後に £5.25 1668–1753. 当初は5ポンドの額面であったが、1717年に1ギニー=1ポンド1シリングと定められて以降、5ギニーとして扱われた。
表中の注記
  1. ^ a b c d 主にセイロンマルタ西インド諸島などの当時の植民地で使用されたものであるが、通常はイギリスの貨幣の一部として扱う。
  2. ^ a b c d e 中世における同名の通貨(フローリン、ハーフ・フローリン、クオーター・フローリン)は、イングランド国内のみならずヨーロッパにも流通させるべく鋳造された金貨であり、ヴィクトリア朝以降のフローリン、ダブル・フローリンより遥かに価値が大きかった。中世のフローリンは、1年足らずで廃止になったが、これは金の含有量が不十分で、商人たちが受け取りを拒んだためであった。

十進法導入後

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1971年2月15日の「十進法の日 (Decimal Day)」から十進法が導入され、1ポンドは100ペンスとなった。当初は「新ペンス (new pence)」という表記が用いられたが、1982年以降の鋳造硬貨から「新 (new)」という表現は用いられなくなった。旧来の1シリング硬貨は5(新)ペンス相当(1ポンドの20分の1)としてそのまま通用し、例えば、2ポンド10シリング6ペンス (£2 10s 6d) は、2ポンド52ペンス半 (£2.52½)となった。それまでのペンス単位は「d」と表記されていたが、新ペンスは「p」と表記されることになった(当初は「np」とも表記された:「n」は "new")。十進法の導入により、72ペンスは、£0.72、ないし、72p と表記されるようになった。いずれの表記の場合も、単位の部分は「ペンス」の代わりに「ピー」と発音されることがよくある。

十進法導入以降の硬貨
名称 英語表記 額面価値 注記
ハーフペニー Half penny £0.005 12p しばしば「ヘイプニー (ha'penny)」と表記され、発音されるが、広く「ハーフピー」とも呼ばれた。

1984年12月に廃止され、流通停止。

1ペニー One penny £0.01 1p
2ペンス Two pence £0.02 2p
5ペンス Five pence £0.05 5p 1シリングの後継硬貨。1990年にサイズが小さく変更された。
10ペンス Ten pence £0.10 10p フローリン(2シリング)に代わるものとして導入された。1992年にサイズが小さく変更された。
20ペンス Twenty pence £0.20 20p 1982年に導入
25ペンス Twenty-five pence £0.25 25p、「クラウン」 1972年から1981年まで、旧クラウンを継承して記念硬貨として発行。1990年以降、記念硬貨は5ポンド硬貨で発行されるようになった。
50ペンス Fifty pence £0.50 50p 10シリング紙幣(通称「テン・ボブ・ノート (ten bob note)」)に代わるものとして十進法施行に先立つ1969年から導入。当初は「テン・ボブ・ビット (ten bob bit)」とも呼ばれた。1997年にサイズが小さく変更された。
1ポンド One pound £1 1ポンド紙幣に代わるものとして1983年から導入。
2017年3月より12角形硬貨を導入[4]
2ポンド Two pounds £2 記念硬貨として1986年から導入され、1997年から通常の硬貨として流通。
5ポンド Five pounds £5、「クラウン」 記念硬貨として1990年から導入され、記念硬貨はそれまでの25ペンスに代わって5ポンドで発行されるようになった。
ソブリン Britannia, sovereign, half sovereign 地金型金貨各種

紙幣

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ここで説明するのは、イングランド銀行によって発行された紙幣(銀行券)についてである。スコットランドの3銀行、北アイルランドの4銀行もそれぞれが、£1、£5、£10、£20、£50、£100のすべて、または一部の額面の紙幣を発行している。

イギリスの紙幣
名称 英語表記 額面 流通 注記
10シリング紙幣 Ten shilling note £0.5 10/- (£0.5) 1928 - 1962[5] "ten bob note", "half a quid" といった通称がある。
1ポンド紙幣 £1 note £1 1988年にイングランド銀行は通用を打ち切ったが、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドは発行を継続している。
5ポンド紙幣 £5 note £5 通用 当初の "large white fiver" (「大きな白い5ポンド札」)、通称 "five jacks" は、1957年に青い5ポンド札に代えられた。
10ポンド紙幣 £10 note £10 通用
20ポンド紙幣 £20 note £20 通用
50ポンド紙幣 £50 note £50 通用 "a bullseye" と通称される。
100万ポンド紙幣、1億ポンド紙幣 £1,000,000 & £100,000,000 notes £1,000,000 and £100,000,000 一般には流通しない スコットランドや北アイルランドの銀行が、1845年の準備高に対して超過する金額の銀行券を発行する場合、その銀行券の裏付けとしてイングランド銀行が発行するもの。100万ポンドの紙幣は "Giants"、1億ポンド紙幣は "Titans" と通称される。その総額は10億ポンド以上の単位となる[6]

イングランド銀行券は、定期的にデザインの変更、再発行が行われており、旧券は流通から排除されて回収され、廃棄される。デザインの変更は特定の「シリーズ」の中に位置づけられる。現在は、20ポンド・50ポンド紙幣がシリーズF、5ポンド・10ポンド紙幣はシリーズGとなっている。シリーズGは2016年9月のポリマー製5ポンド紙幣を皮切りに、2017年9月にはポリマー製10ポンド紙幣をリリース。20ポンド紙幣も2020年までにはシリーズGポリマー製に切り替わる予定である。

出典・脚注

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  1. ^ ジェイムズ王訳聖書に言及があるが(マルコ12:41-4)、これはヨーロッパの通貨に関するものである。Medieval Denominations”. medievalcoinage.com. 2012年3月19日閲覧。
  2. ^ Fun-With-words.com
  3. ^ Cockney Rhyming Slang dictionary
  4. ^ 英国、新1ポンド硬貨が流通開始へ時事通信 2017年3月29日
  5. ^ Withdrawn Banknotes Reference Guide, 10 Shilling Series A (1st Issue)”. Bank of England. 2012年3月19日閲覧。
  6. ^ The Bank of England's Role in Regulating the Issue of Scottish and Northern Ireland Banknotes”. Bank of England. 2012年3月19日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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