イソチオシアン酸エチル
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イソチオシアン酸エチル Ethyl isothiocyanate[1] | |
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別称 エチルチオカーボンイミド | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 542-85-8 |
特性 | |
化学式 | C3H5NS |
モル質量 | 87.14 g mol−1 |
示性式 | SCNC2H5 |
外観 | 無色ないしわずかに薄い黄色の透明液体 |
匂い | からし臭 |
融点 |
-5.4 °C, 268 K, 22 °F |
沸点 |
32 °C, 305 K, 90 °F |
水への溶解度 | 微溶 |
有機溶媒への溶解度 | アルコールに可溶、エーテルに易溶[2] |
危険性 | |
引火点 | 24 °C (75 °F; 297 K) |
関連する物質 | |
関連するC3H5NSの異性体 | チオシアン酸エチル チアゾリン |
関連物質 | イソチオシアン酸メチル アリルイソチオシアネート |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
イソチオシアン酸エチル(イソチオシアンさんエチル、英: Ethyl isothiocyanate)は、イソチオシアネートの1種の有機化合物である。
性質
[編集]常温ではからし様刺激臭を持つ[3]無色ないし淡黄色の液体。有機合成化学の中間体となる[2]。日本の消防法では危険物第4類第二石油類(非水溶性)に区分される[1]。
合成法
[編集]チオホスゲンを使用する方法
[編集]イソチオシアン酸エチルは、エチルアミンにチオホスゲン(チオケトンの炭素の置換基が2つとも塩素原子である分子)を反応させると生成する[4][5]。参考までに、炭化水素鎖の長さが違うだけのイソチオシアン酸プロピル(示性式、SCNC3H7)は、1-プロピルアミンにチオホスゲンを反応させて合成する[6]。同様に、イソチオシアン酸ブチル(示性式、SCNC4H9)もまた、1-ブチルアミンにチオホスゲンを反応させて合成する[7]。これに対して、やはり炭化水素鎖の長さが違うだけであるイソチオシアン酸メチル(SCNCH3)は、基本的にチオシアン酸メチルを加熱することで、メチル基を転移させて合成する[8]。
二硫化炭素を使用する方法
[編集]イソチオシアン酸エチルは、二硫化炭素にエチルアミンを反応させて、さらにそうしてできた生成物をHgCl2で処理しても合成可能である[5]。しかしながら、この方法を使用した場合は、水銀を適切に処理しなければならないなどの問題も抱える。
出典
[編集]- ^ a b イソチオシアン酸エチル(東京化成工業)
- ^ a b イソチオシアン酸エチル (PDF) (神戸海難防止研究会)
- ^ 悪臭関係規制一覧 (PDF) (茨城県生活環境部環境対策課)
- ^ 化学大辞典編集委員会 編集 『化学大辞典 (縮刷版) 1』 p.613(右上) 共立出版 1963年7月1日発行 ISBN 4-320-04015-5
- ^ a b 大木 道則、大沢 利昭、田中 元治、千原 秀昭 編集 『化学辞典』 p.113 東京化学同人 1994年10月1日発行 ISBN 4-8079-0411-6
- ^ 化学大辞典編集委員会 編集 『化学大辞典 (縮刷版) 1』 p.614(左中央) 共立出版 1963年7月1日発行 ISBN 4-320-04015-5
- ^ 化学大辞典編集委員会 編集 『化学大辞典 (縮刷版) 1』 p.614(左上) 共立出版 1963年7月1日発行 ISBN 4-320-04015-5
- ^ 化学大辞典編集委員会 編集 『化学大辞典 (縮刷版) 1』 p.614(左下) 共立出版 1963年7月1日発行 ISBN 4-320-04015-5