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イトヒキフエダイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イトヒキフエダイ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: フエダイ科 Lutjanidae
亜科 : イトヒキフエダイ亜科 Paradichthyinae
: イトヒキフエダイ属 Symphorus
: イトヒキフエダイ
S. nematophorus
学名
Symphorus nematophorus
(Bleeker, 1860)
シノニム
和名
イトヒキフエダイ
英名
Chinamanfish

イトヒキフエダイ(糸引笛鯛、Symphorus nematophorus)は、スズキ亜目フエダイ科海水魚の一種。イトヒキフエダイ属は単型。沖縄ではイヌバーと呼ばれる[2]

分類

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本種は1860年にオランダの魚類学者ピーター・ブリーカーによってスラウェシ島から得られた標本に基づいて Mesoprion nematophorus として記載された[3]。1872年にドイツ生まれのイギリスの魚類学者アルベルト・ギュンターSymphorus 属とした[4]。 イトヒキフエダイ属はフエダイ科イトヒキフエダイ亜科に属する2属のうちの1属である[5]。属名の意味はギュンターによって説明されていないが、「一緒に」を意味する "sym" は背鰭が分裂していないことに由来する可能性がある。種小名の「糸」を意味する "nemato" という語は、若魚の背鰭の軟条が糸状に伸びることに由来する[6]

分布・生態

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西太平洋亜熱帯熱帯域に分布[2]。アンダマン海、タイ西部から東はフィジー、トンガまで、北はオーストラリア北部、ニューカレドニアから琉球列島まで、西太平洋に広く分布する。稚魚、成魚ともに水深50m以浅の珊瑚礁岩礁に生息する[2][5][7][8]日本では、高知県琉球列島沿岸に見られる[7]

通常単独で生活するが、パラオ沖では群れでの繁殖行動が観察されている。主に魚食性だが、口に入る小動物なら何でも食べる[2]。最大寿命は36年[1]

形態

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全長は最大1mだが、通常は35cmほど[5]。最大体重は13.2kg[5]。体高は比較的高く、吻部はあまり尖らない[2]。眼と鼻孔部の間には切れ込みが入る。口は眼まで開く。鰓蓋に突起や切れ込みは無い。内側には薄い歯が、外側には太い歯がある。上顎前方には犬歯のような歯がある。鋤骨歯は無い[9]。本種は和名の通り糸を引くように背鰭の第3-第6軟条が伸びる[7]部背縁は丸く、体色は[7]柄上部に黒色円斑はなく[7]、腹鰭、臀鰭および尾鰭の下縁は黄色[2]。また背鰭は10棘15-16軟条、臀鰭は3棘9軟条[2][5]。胸鰭は長く、肛門まで伸び、鰭条16本で構成される。尾鰭は截形[9]。体色は灰褐色から赤みがかった色で、不規則な模様が入る[8]。若魚は橙色から褐色で、頭部と体側に青色縦線が8-12本あり、固定後は暗色に変化する[2]

利用

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本種は釣りやスピアフィッシングの対象で、食用となり、美味しいとされる[7]

老成魚からはシガテラ中毒が報告例があり[7][8]、大型個体を利用する際は注意が必要である。

シノニム

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属名

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  • Glabrilutjanus Fowler, 1931
  • Paradicichthys Whitley, 1930

種小名

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  • Mesoprion nematophorus Bleeker, 1860
  • Glabrilutjanus nematophorus (Bleeker, 1860)
  • Lutjanus nematophorus (Bleeker, 1860)
  • Symporichthys nematophorus (Bleeker, 1860)
  • Symphorus taeniolatus Günther, 1872
  • Paradicichthys venenatus Whitley, 1930
  • Symphorus forsteri Fowler, 1933

脚注

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  1. ^ a b Russell, B.; Lawrence, A.; Myers, R.; Carpenter, K.E.; Smith-Vaniz, W.F. (2016). Symphorus nematophorus. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T194347A2317915. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T194347A2317915.en. https://www.iucnredlist.org/species/194347/2317915 25 September 2023閲覧。. 
  2. ^ a b c d e f g h 岡村・尼岡,1997年,336頁
  3. ^ William N. Eschmeyer. Fricke, Ron & van der Laan, Richard (eds.): “Species in the genus Symphorus”. Catalog of Fishes. California Academy of Sciences. 2023年9月25日閲覧。
  4. ^ William N. Eschmeyer. Fricke, Ron & van der Laan, Richard (eds.): “Genera in the family Lutjanidae”. Catalog of Fishes. California Academy of Sciences. 2023年9月25日閲覧。
  5. ^ a b c d e Froese, Rainer; Pauly, Daniel (eds.): “Symphorus nematophorus in Fishbase”. Fishbase. 2023年9月25日閲覧。
  6. ^ Christopher Scharpf & Kenneth J. Lazara, eds.: “Order LUTJANIFORMES: Families HAEMULIDAE and LUTJANIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara. 2023年9月25日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g 小西,2011年,109頁
  8. ^ a b c Bray, D.J.. “Symphorus nematophorus”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 2023年9月25日閲覧。
  9. ^ a b Gerald R. Allen (1985). FAO species catalogue Vol.6. Snappers of the world An annotated and illustrated catalogue of lutjanid species known to date. FAO Rome. pp. 160-161. ISBN 92-5-102321-2. https://www.fao.org/3/ac481e/ac481e43.pdf 

参考文献

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関連項目

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