ウィンター (バンドウイルカ)
尾びれ無しで泳ぐウィンター | |
生物 | バンドウイルカ |
---|---|
性別 | メス |
生誕 | 2005年10月頃(推定) |
死没 | 2021年11月11日 |
著名な要素 | Prosthetic tail(補綴(ほてつ)の尾鰭) |
飼い主 | クリアウォーター海洋水族館(米国) |
公式サイト | www |
ウィンター(英語:Winter、2005年10月頃 - 2021年11月11日)は、米国フロリダ州・クリアウォーター海洋水族館で飼育されたバンドウイルカである。
人工のヒレを持つに至った経緯
[編集]2005年12月、およそ生後2か月か3か月程度のこのイルカは、フロリダ州ケープカナベラル近郊の湾で、カニ漁の網に絡まっていたところを保護され、水族館に搬送された。 網に絡まった際に逃げようと大きく動いたため、網が尾の付け根に深く絡まり血流が止まり、大けがをして、瀕死の状態であった。獣医師ら150人態勢で治療を試みられ一命は取り留めたものの、尾びれの皮膚がはがれ、壊死が始まり、そして椎骨が脱落し、尾びれは完全に失われてしまった[1]。
その後、このイルカは泳げるまでに回復した。ただし、尾びれの無い泳ぎは、健康体のイルカに比較して遊泳力で劣っており、野生に戻すのは不可能となり、“ウィンター”と名付け、水族館に引き続き飼育された。
しかし、尾びれの無い泳ぎは、背骨の発育の異常を引き起こす恐れがあるため、水族館は人工的な尾びれをつけることを思いつく。 2006年に水族館は、イルカに調査装置の装着経験がある専門家や、米海軍、各企業などと相談し、人工尾びれの開発をすることになった[2]。
それから、1年半が経過した2008年、ヒト用の義足メーカーによってイルカ用の人工ヒレが開発された。 ウィンターは尾びれがすべてないため、靴下のようなカバーを着用して人工ヒレを固定する足掛かりとし、ヒレは30インチのシリコーンとプラスチックで作られた。イルカの運動に合わせて、全方向の動きに対応できる人工ヒレとなった[3]。
2021年11月7日、水族館はウィンターが胃の感染症の兆候があることを発表[4]。その後、同月10日には危篤状態となり[5]、現地時間11日午後8時頃、16歳で息を引き取った[6]。
作品化
[編集]ウィンターは2009年に書籍、及び任天堂のゲームになり[7]、2011年には映画化され、アメリカとイタリアで公開された。
出典
[編集]- ^ 日経サイエンス 2013年8月号 『尾を取り戻したイルカ』 E. アンテス(科学ジャーナリスト)
- ^ 2006年9月26日 「負傷のイルカ、「人工尾びれ」装着へ 米国」 - CNN/AP
- ^ Pictured: The world's first bionic sea creature: Winter the dolphin gets a prosthetic tail | Mail Online Last updated at 14:22 05 May 2008, the Daily Mail
- ^ “Winter the Dolphin has received more than 1,400 get-well messages” (英語). Tampabay Times. (2021年11月8日) 2021年11月12日閲覧。
- ^ “映画出演の人気イルカ「ウインター」が危篤 水族館は1日休館 全スタッフが全面支援”. スポニチアネックス. (2021年11月12日) 2021年11月12日閲覧。
- ^ “米国の人気イルカ「ウインター」が死亡 映画「イルカと少年」に出演 人工尾びれで生き延びる”. スポニチアネックス. (2021年11月12日) 2021年11月12日閲覧。
- ^ Winter's Tail DS | Scholastic.com
参考文献
[編集]- Juliana Hatkoff, Isabella Hatkoff, Craig Hatkoff (2009). Winter's tail : how one little dolphin learned to swim again. New York : Scholastic Press. ISBN 9780545123358
関連項目
[編集]- 人工ヒレの動物
外部リンク
[編集]- Winter Dolphin (@WinterDolphin) - X(旧Twitter)(英語)
- Clearwater Marine Aquarium's Winter, Dolphin and Movie Star - YouTube - VISIT FLORIDA (英語)
- 身体障がい者と泳ぐウィンター(映像) - HuffPost (英語)