ウインド・オーケストラ
ウインド・オーケストラ(英語: Wind orchestra)は、吹奏楽の形態のひとつ。
概要
[編集]「ウインド・オーケストラ」の名称はかなり曖昧に用いられる[1][注釈 1]。100人以上で活動する「ウインド・オーケストラ」が存在する[2]一方で、東京佼成ウインドオーケストラやOsaka Shion Wind Orchestraのようなプロフェッショナルの吹奏楽団は多くがウインド・アンサンブルのスタイルで演奏している[3]。アメリカン・ウィンド・シンフォニー・オーケストラのように管弦楽団の管打楽器セクションに対応した編成を指す場合もある。英語以外でも、ドイツ語の"blasorchester"やフランス語の"orchestre d'harmonie"、"orchestre à vent"、イタリア語の"orchestra di fiati"のように対応する表現が存在する。
木管楽器を多く含む吹奏楽の編成は、従来のブラスバンド(金管バンド)以上に緻密で多彩な音色を獲得するため、20世紀に入ってから編成されるようになった合奏形態である[1]。現代みられるようなクラリネット主体の楽団が編成されたのは、1942年にアメリカ合衆国のミシガン大学でウィリアム・レヴェッリがウインド・オーケストラを室内楽として活発化させるために始めた「小さな木管楽器アンサンブル」(small wood-wind ensemble)を嚆矢としている[要出典][注釈 2]。現代の吹奏楽演奏においては、クラリネットはオーケストラにおけるヴァイオリンに相当する役割を担っており、それゆえ、高音や速いパッセージ(経過楽句)が要求されることの多い楽器である[4]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ウィンド・アンサンブルの編成をやや大規模にした形態をシンフォニック・ウインド・オーケストラと呼ぶことがある。JBCバンドスタディ(2005)p.89 『JBCバンドスタディ』の「ウィンド・オーケストラ」の項では「基本形はきわめて厳密なもので(...)25名の木管楽器のセクションと(...)19名の金管楽器のセクションに、適宜打楽器が加わります」と述べているが、これはイーストマン・ウインド・アンサンブルがとった編成の一つである。吹奏楽の歴史(2013)pp.61-62
- ^ クラリネットは、ニュルンベルクの楽器製作家J.C.デンナーが1700年ころに考案し、以後、改良が加えられて現在のかたちになったものである。『世界の楽器絵事典』(2007)pp.36-37
出典
[編集]- ^ a b JBCバンドスタディ(2005)pp.88-89
- ^ Gral Wind Orchestra - Profile (2020年2月16日閲覧)、光ウィンドからのメッセージ (2020年2月16日閲覧)。
- ^ 吹奏楽特有の言葉の意味を知る(2016)p.36
- ^ 『管楽器おもしろ雑学事典』(2007)pp.58-59
参考文献
[編集]- 保科, 洋、小澤, 俊朗、渡辺, 秀之ほか 編『JBCバンドスタディ』YAMAHA、2005年6月。
- PHP研究所 編『世界の「楽器」絵事典 歴史から、音の出るしくみまで』PHP研究所、2007年4月。ISBN 978-4-569-68676-9。
- 佐伯茂樹『管楽器おもしろ雑学事典』ヤマハミュージックメディア、2007年11月。ISBN 978-4-636-81715-7。
- 秋山紀夫『吹奏楽の歴史』ミュージックエイト、2013年12月。ISBN 978-4-871-64313-9。
- 中橋愛生「吹奏楽特有の言葉の意味を知る」『バンドジャーナル』、音楽之友社、2016年8月、33-39頁。