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ウェダーバーンの小定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学において、ウェダーバーンの小定理 (: Wedderburn's little theorem) はすべての有限[1]であることを述べるものである。言い換えると、有限環英語版において、域、斜体、体の違いはない。

アルティン・ツォルンの定理英語版はこの定理を交代環へと一般化する: すべての有限単純交代環は体である[2]

歴史

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最初の証明は Joseph Wedderburn英語版 によって1905年に与えられ[3]、彼はその後2つの別証を与えた。別の証明は Leonard Eugene Dickson によって Wedderburn の最初の証明のすぐ後に与えられ、Dickson は Wedderburn が先であることを認めていた。しかしながら、(Parshall 1983) に述べられているように、Wedderburn の最初の証明は正しくなく――飛躍があり――彼の次の証明は Dickson の正しい証明を読んだ後に現れたのだった。そのため、Parshall は最初の正しい証明は Dickson に帰するべきだと主張している。

後に簡潔な証明が Ernst Witt によって与えられた[3]。Witt の証明の概略は下で与えられる。また別の方法は、定理は以下の議論によって Skolem–Noether の定理英語版 の帰結である[4]D を有限可除代数で中心を k とする。[D : k] = n2 とし qk の濃度とする。D のすべての極大部分体は qn 個の元を持つ。なのでそれらは同型でありしたがって Skolem–Noether によって共役である。しかし有限群(今の場合 D の乗法群)は真の部分群の共役の和集合ではありえない。したがって n = 1 である。

有限体の Brauer 群との関係

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定理は本質的に、有限体の Brauer 群が自明であると言うことと同値である。実は、この特徴づけから直ちに以下のように定理の証明が出る。k を有限体とする。Herbrand 商英語版は有限性によって消えるから、 と一致し、これはヒルベルトの定理90によって消える。

証明の概略

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A を有限域とする。A の各元 x ≠ 0 に対し、2 つの写像

は cancellation property によって単射であり、したがって有限性から全射である。基本的な群論から[5]A の非零元全体は乗法について群をなすことが従う。したがって、A斜体である。A中心 Z(A) は体であるから、AZ(A) 上有限 n 次元のベクトル空間である。すると我々の目標は n = 1 を示すことである。qZ(A) の位数とすると、A の位数は qn である。中心に入っていない各 xA に対して、x centralizer Zx の位数は qd である。ここに dn より小さい n の約数である。Z(A)*, Zx*, A* を乗法について群と見て、類等式を次のように書ける

ただし和は Z(A) に入っていないすべての代表元 x を渡り、d は上で議論された数である。qn−1 と qd−1 はともに円分多項式 のことばによって分解できる。

多項式の恒等式

 および 

から、x = q とおくと、

 は qn−1 と をともに割り切る

ことがわかるので、上の類等式によって q−1 を割らなければならず、したがって

.

これによって n が 1 でなければならないことを見るために、n > 1 に対して

であることを、複素数上の分解を用いて示す。多項式の恒等式

,

ただし ζ は 1 の原始 n 乗根を渡る、において、xq とし、絶対値を取ると

.

n > 1 に対して

であることが、複素平面での q, 1, ζ の位置を見れば分かる。したがって

.

脚注

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  1. ^ 本記事において「体」は「可換体」を意味する。
  2. ^ Shult, Ernest E. (2011). Points and lines. Characterizing the classical geometries. Universitext. Berlin: Springer-Verlag. p. 123. ISBN 978-3-642-15626-7. Zbl 1213.51001 
  3. ^ a b Lam (2001), p. 204
  4. ^ Theorem 4.1 in Ch. IV of Milne, class field theory, http://www.jmilne.org/math/CourseNotes/cft.html
  5. ^ e.g., Exercise 1.9 in Milne, group theory, http://www.jmilne.org/math/CourseNotes/GT.pdf

参考文献

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  • Parshall, K. H. (1983). “In pursuit of the finite division algebra theorem and beyond: Joseph H M Wedderburn, Leonard Dickson, and Oswald Veblen”. Archives of International History of Science 33: 274–99. 
  • Lam, Tsit-Yuen (2001). A first course in noncommutative rings. Graduate texts in mathematics. 131 (2 ed.). Springer. ISBN 0-387-95183-0 

外部リンク

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