ウチワノキ
ウチワノキ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ウチワノキ
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保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Abeliophyllum distichum Nakai (1919) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
White Forsythia Korean Ablelialeaf[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
ウチワノキの自然分布図
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ウチワノキ(団扇木、学名:Abeliophyllum distichum)は、モクセイ科の落葉低木[2][1]。朝鮮半島の固有植物[2][3][1]。別名、シロバナレンギョウ(白花連翹)[2]、シロレンギョウ(白連翹)[4]。
本種のみで単型属ウチワノキ属 Abeliophyllum を構成する[2][3]。ウチワノキ属は朝鮮半島特産の6属のうちの1つである[5][注釈 1]。
記載
[編集]本種は1919年に中井猛之進によって、新属新種として記載された[3][8][9]。標本は朝鮮半島中部から得られた[10]。和名も中井によって名付けられた[10]。
なお、発表の際、中井は当時アーノルド樹木園の副園長であったアーネスト・ヘンリー・ウィルソンに新属発見を報告し、翌年5月には、植物園園長松村任三の名義でアーノルド樹木園に標本を寄贈している[9]。
属名 Abeliophyllum の Abelio- はツクバネウツギ属 Abelia を、phyllum は葉を意味し、葉の様子を準えたものである[1]。種形容語の distichum は2列生を意味する[1]。
形態
[編集]落葉性の低木で、樹高は0.4–1 m(メートル)[2]。枝は4稜があり、長い枝に葉が平面的に並ぶ[2]。
葉は二列対生する[2][1]。葉身は全縁で、長さ 2–7 cm(センチメートル)[2]。卵形から楕円状卵形[1]、また広卵形で、最大幅は基部寄りにある[2]。葉柄長は1–5 mm(ミリメートル)[2]。葉の向軸面は無毛か、毛が散生する[2]。背軸面には脈上や葉縁に開出毛がある[2]。
花序は総状花序[8]。花冠は4裂し、白色から淡いピンク色[2]。花の直径は 1–1.5 cm[1]。芳香をもつ[1]。萼も4裂し、覆瓦状[8]。花期は葉が展開する前の早春の3月ごろで、果実は秋に褐色に熟す[2]。果実は団扇のように扁平な翼果で、径 2–3 cm[2]。子房室は2室[8]。
近縁種との比較
[編集]レンギョウ属とは近縁で類似するが、本種は鋸歯を欠く[2]。基本染色体数も同じで、x = 14[3]。また、翼果と白い花色は本種に特有である[3]。
分類
[編集]レンギョウ属 Forsythia と姉妹群をなし、合わせて2属13種からなるレンギョウ連 Forsythieae という連を構成する[3]。分子系統解析により、それぞれの単系統性が指示されている[3]。
以下のような分子系統樹が得られている[3]。なお、ショウドシマレンギョウ F. togashii やマンシュウレンギョウ F. mandschurica などは解析に含まれていない。
レンギョウ連 |
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Forsythieae |
利用
[編集]日本では稀に庭木として植栽される[2]。日光植物園や小石川植物園、大阪公立大学附属植物園や広島市植物公園などで見ることができる[4][11][12][13]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 残りの5属は、ハナブサソウ属 Hanabusaya、フサシモツケ属 Pentactina、モデミソウ属 Megaleranthis、イヌヤマブキソウ属 Coreanomecon、マンキュア属 Mankyua である[5]。なお、コケイランモドキ属 Diplolabellum は、かつて朝鮮半島固有とされたが[5]、栃木県那須塩原市からも見つかっている[6]。また、イヌムレスズメ Sophora koreensis は Echinosophora Nakai という独立属として記載されたが、分子系統解析によりクララ属 Sophora に内包されることが分かっている[7]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i “Abeliophyllum distichum”. Landscape Plants. Oregon State University. 2024年11月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 林 2020, p. 694.
- ^ a b c d e f g h Ha et al. 2018, pp. 99.
- ^ a b “ウチワノキ Abeliophyllum distichum”. 日光植物園. 2024年11月30日閲覧。
- ^ a b c Jang et al. 2010, pp. 497–506.
- ^ 髙島路久; 長谷川順一; 遊川知久 (2016). “日本新産のラン科植物コケイランモドキ”. APG 67 (1): 61–66. doi:10.18942/bunrui.01602-22.
- ^ Lee, W.K.; Tokuoka, T.; Heo, K. (2004). “Molecular evidence for the inclusion of the Korean endemic genus “Echinosophora” in Sophora (Fabaceae), and embryological features of the genus”. J. Plant Res. 117: 209–219. doi:10.1007/s10265-004-0150-x.
- ^ a b c d Nakai 1919, p. 153.
- ^ a b 中井 1920, p. 249.
- ^ a b Nakai 1919, p. 154.
- ^ “分類標本園 Systematic Garden”. 小石川植物園. 東京大学大学院理学系研究科附属植物園 (2024年3月20日). 2024年11月30日閲覧。
- ^ “園内マップ&エリア紹介”. 大阪公立大学附属植物園. 2024年11月30日閲覧。
- ^ “園長のおすすめ(ウチワノキ)”. 広島市植物公園ブログ. 広島市植物公園 (2020年3月14日). 2024年11月30日閲覧。
参考文献
[編集]- Ha, Y-H.; Kim, C.; Choi, K.; Kim, J-H. (2018). “Molecular Phylogeny and Dating of Forsythieae (Oleaceae) Provide Insight into the Miocene History of Eurasian Temperate Shrubs”. Front. Plant Sci. 9: 99. doi:10.3389/fpls.2018.00099.
- Jang, S-K.; Cheon, K-S.; Jeong, J-H.; Kim, Z-S.; Yoo, K-O. (2010). “Environmental Characteristics and Vegetation of Hanabusaya asiatica Habitats” (朝鮮語). Kor. J. Hort. Sci. Technol. 28 (3): 497–506.
- Nakai, T. (1919). “Genus Novum Oleacearum in Corea Media inventum” (latin). Bot. Mag. (Tokyo) 33 (392): 153–154. doi:10.15281/jplantres1887.33.392_153.
- 中井猛之進 (1920). “うちはのきニ就キ”. 植物学雑誌 34: 249–251.
- Ryu, T. Y.; Yeam, D. Y.; Kim, Y. J.; Kim, S. J. (1976). “Studies on dimorphism and heterostyle-incompatability of Abeliophyllum distichum”. Seoul Nat. Coll. Agric. Bull. 1: 113–120.
- 林将之『山溪ハンディ図鑑14 増補改訂 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類』山と溪谷社、2020年1月5日。ISBN 978-4-635-07044-7。
外部リンク
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、ウチワノキに関するカテゴリがあります。
- Abeliophyllum Nakai - POWO