ウバサンジャ
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ウバサンジャ(モンゴル語: Ubasanǰa čing tayiǰi/Чин тайж、中国語: 鄂不錫察台吉、1515年[1] - ?)とは、モンゴルのハーンであるバト・モンケ(ダヤン・ハーン)の子供の一人。しばしば「ウバサンジャ・チン・タイジ」と称される。『アルタン・ハーン伝』ではウバサンジ(Ubasanǰi)とも表記され、漢文史料では「五八山只台吉」、「称台吉」と記される[2]。オバサンジ、ウバサンチャとも表記される。
概要
[編集]ダヤン・ハーンとその側室ジャライルのスミル・ハトンの間の息子として生まれた。同母兄弟にはゲレト・タイジがいる。
ウバサンジャがダヤン・ハーンより分封された部族については史料間で錯綜しており、アスト部とヨンシエブ部とするもの(『蒙古源流』/『蒙古世系譜』)、カラ・タタルとするもの(『アルタン・トプチ』)、タタル・アイマグとするもの(『恒河の流れ』ほか)がある。
しかし漢文史料の記載などからアスト(とヨンシエブ)を相続したのはアル・ボラトであると判明しているため、ウバサンジャが相続したのはチャハル・トゥメンに属するタタル・オトクであるとする説が有力である[3]。
子孫
[編集]脚注
[編集]- ^ 『蒙古源流』の記述に拠る(岡田2004,239頁)
- ^ ダヤン・ハーンの家系を伝える漢文史料『北虜世系』はウバサンジャ、ゲレ・ボラトに相当する人名を「五八山只台吉」/「称台吉」と記すため、「称台吉」とゲレ・ボラトが同一人物であるとする説もある。しかし、全ての史書で「チン・タイジ=称台吉」と称されるのはウバサンジャであってゲレ・ボラトではなく、『北虜世系』は誤って「五八山只称台吉」という人名を2つに分けてしまい、そのためにゲレ・ボラトに対応する人名を脱落させてしまったのだと考えられている(吉田1998,233頁)
- ^ 森川1976,140-142頁
参考文献
[編集]- 岡田英弘訳注『蒙古源流』刀水書房、2004年
- 森川哲雄「チャハル・八オトクとその分封について」『東洋学報』58巻、1976年
- 吉田順一『アルタン・ハーン伝訳注』風間書房、1998年