エチゴツルキジムシロ
エチゴツルキジムシロ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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富山県富山市 2019年5月上旬
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Potentilla toyamensis Naruh. et Tak.Sato[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
エチゴツルキジムシロ(越後蔓雉子筵) |
エチゴツルキジムシロ(越後蔓雉子筵、学名:Potentilla toyamensis)は、バラ科キジムシロ属の多年草。エチゴキジムシロに似るが、走出枝をもつ[2]。
特徴
[編集]根茎はわずかに伸長し、やや木質化し、太く肥大する。走出枝が3-4本あり、長さ15-75cmになり、小型の3出複葉をまばらにつける。花茎は高さ10-20cmになり、斜上する。根出葉は5小葉からなる羽状複葉で葉柄があり、花期に長さ6-12cm、花後には長さ17-30cmになる。小葉はふつう小葉柄がなく、先端の頂小葉と1対の側小葉は、菱状長楕円形から菱状倒卵形で、花期の長さ1-4cm、幅1-25cm、花後には長さ5-11cm、幅2.5-5.5cmになり、先は鋭頭、縁は鋸歯縁になり、小葉の裏面の葉脈上に毛が生える。下部の1対の小葉は上部のものと比べるとはるかに小さい。根出葉の葉柄は有毛で、葉柄の基部にある托葉は膜質になり、卵形で鋭突頭になる。走出枝につく葉は3出複葉になり、根出葉と比べると小さい[2]。
花期は4-5月。花序は集散状になり、花は黄色で径13-17mmになる。萼片は5個あり、披針形から三角状披針形で、長さ約4mm、幅1.5-2mm、先は鋭頭になり、外側に毛が生える。副萼片も5個あり、三角状披針形で、長さ約4mm、幅葯2mm、先は鋭頭になり、外側に毛が生える。花弁も5個あり、倒卵形から円形で先はわずかに凹頭、長さ6-7mm、幅4-6mmになる。雄蕊は20個あり、葯は卵状楕円形になる。心皮は多数あり、花柱はほぼ糸状になり、やや頂生する。花床には白毛が生える。果実は痩果で多数つき、痩果に毛はない[2]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種[3]。本州の秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府、兵庫県にかけた日本海側[2][3]に分布し、山地のやや日当たりの良い斜面などに生育する[2]。愛知県、岐阜県にも分布する[4]。
名前の由来
[編集]種小名(種形容語)toyamensis は、「富山産の」の意味。
タイプ標本は、1977年5月に富山県東礪波郡平村(現南砺市)祖山で採集されたもの[1]。
分類
[編集]同属のキジムシロ P. fragarioides は、根出葉が羽状複葉であるが小葉は7-11個ある。走出枝はない。エチゴキジムシロ P. togasii は、根出葉が羽状複葉で小葉が5個で下側の1対が極端に小さい。走出枝はない。ツルキジムシロ P. stolonifera は、2-14本の走出枝をもち、根出葉が羽状複葉で小葉が7-9個ある[2]。
ギャラリー
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花は黄色で5弁花。倒卵形から円形で先はわずかに凹頭。
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根出葉は羽状複葉で小葉が5個あり、下側の1対が小さい。
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走出枝があり、小型の3出複葉をまばらにつける。
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走出枝につく葉に短い葉柄がり、基部は膜質の托葉がある。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 3』、2016年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- エチゴツルキジムシロ, レッドデータブックあいち2009