エニシング・ゴーズ (ミュージカル)
『エニシング・ゴーズ』(Anything Goes)は、コール・ポーター作詞・作曲の楽曲を用いたミュージカル。豪華客船を舞台に多彩な登場人物、ドタバタでハチャメチャな明るいストーリーをジャズのメロディーとダンスで魅せるミュージカル・コメディである。オリジナル脚本はP・G・ウッドハウス、ガイ・ボルトン。コール・ポーター最大のヒット作と呼ばれる。
概要
[編集]1956年にはパラマウント映画の配給、ビング・クロスビー、ジジ・ジャンメール、ドナルド・オコナーの主演で映画化がされた。邦題は『夜は夜もすがら』。
さらに1988年新脚本版(ティモシー・クラウス、ジョン・ワイドマン)がリンカーン・センターで上演され、第42回トニー賞(en:42nd Tony Awards)にて3部門(ベストリバイバル賞、ミュージカル助演男優賞、振付賞)を獲得した。
2011年では再びトニー賞(en:65th Tony Awards)3部門(ミュージカル・リバイバル作品賞、ミュージカル主演女優賞、振付賞)を獲得しており、初演から80年を経てもなお、人気のほどがうかがえる。
また、楽曲「エニシング・ゴーズ」はジャズのスタンダードナンバーとして今日でも多くの演奏が行われている。
日本における公演は、1989年に演出・振付宮本亜門、主演大地真央、共演植木等が初めてである。2013年には瀬奈じゅん主演、2021年には紅ゆずる主演で公演された。
あらすじ
[編集]大西洋横断航路の豪華客船S・S・アメリカン号に乗り込むのは、実業家、船上で結婚式を行おうとする社交界の華、その挙式を阻止しようとする者、ナイトクラブの歌姫、指名手配のギャングとその情婦。
それぞれの思惑と恋愛感情が絡まり合って、S・S・アメリカン号の航海は始まる。
登場人物
[編集]- リノ・スウィーニー
- ニューヨークで一番のナイトクラブの大スター。ビリーに夢中になっているが、ビリーはホープに夢中なため反応は今ひとつ。ショーガールとして雇われ、仲間たちとともにS・S・アメリカン号に乗り込む。
- ビリー・クロッカー
- ホイットニーの腹心の部下。一度だけパーティで会ったことがある社交界の華ホープ・ハーコートにぞっこんになっている。
- 結果的にムーンフェイスをかばったことで、ムーンフェイスからスネーク・アイズの偽造パスポートと乗船券をもらう。ホープが船上での結婚式を計画していると知ったビリーは上司ホイットニーの命令に背いてS・S・アメリカン号に偽造パスポートで密航してしまう。
- スネーク・アイズが乗船しているという情報を得た船長から、ビリーはスネーク・アイズだと思われて船内で指名手配されてしまい、スネーク・アイズ(ビリー)を探し回る船員の目を避けるために、さまざまな変装をしつつ、ホープとオークリー卿の仲を裂こうと奮闘する。
- ホープ・ハーコート
- 社交界の華。ビリーに惹かれはするものの、母の命によって、イギリス貴族のイヴリン・オークリー卿と婚約しており、S・S・アメリカン号の航海中に船上結婚式を行う予定。
- ムーンフェイス・マーティン
- 指名手配(Public Enemy)第13番のギャング。S・S・アメリカン号でスネーク・アイズと落ち合う手はずになっていた。神父に変装してS・S・アメリカン号に乗り込む。
- イヴリン・オークリー卿
- イギリス貴族でお金持ち。ホープの婚約者。乗船中にリノと知り合い、いい仲になって行く。
- イヴァンジェリン・ハーコート夫人
- ホープの母親。未亡人。ホイットニーとも旧知の間柄。
- 世界恐慌を経て財政難になっていたが、娘(ホープ)をオークリー卿と結婚させることで再起を目論む。
- ボニー/アーマ
- ムーンフェイスの情婦。S・S・アメリカン号に乗船する。
- 初演時はボニー。1987年の再演からアーマと名前が替わっている。
- エリーシャ・J・ホイットニー
- ウォール街の実業家で富豪で独身。部下のビリーに近い将来暴落する株の売却を命じ、自分はボートレース観賞のためにS・S・アメリカン号でロンドンへ行く予定。
- 船上で再会したハーコート夫人に惹かれてゆく。
- チンとリン/ルークとジョン
- 本物の神父に引率された、ギャンブル好きの中国人。しかし、本物の神父は出航寸前にFBIがムーンフェイスと間違えて逮捕してしまう。
- 1987年の再演からルークとジョンに名前が替わっている。日本公演ではルカ、ヨハネ。
- スネーク・アイズ
- 指名手配第1番のギャング。S・S・アメリカン号でムーンフェイス・マーティンと落ち合う手はずになっていた。
日本公演
[編集]広報、パンフレットなどの表示順とは異なる。
役名 | 1989年 | 1990年 | 1991年 | 1996年 | 2013年 | 2021年 |
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リノ | 大地真央 | 瀬奈じゅん | 紅ゆずる | |||
ビリー | 川崎麻世 | 石井一孝 | 田代万里生 | 大野拓朗 | ||
ホープ | 藤田朋子 | 柏原芳恵 | 岩崎良美 | 鈴木ほのか | すみれ | 愛加あゆ |
ムーンフェイス | 植木等 | 左とん平 | 鹿賀丈史 | 陣内孝則 | ||
オークリー卿 | 太川陽介 | 吉野圭吾 | 廣瀬友祐 | |||
ハーコート夫人 | ロミ・山田 | 塩沢とき | 金井克子 | 保坂知寿 | 一路真輝 | |
アーマ | 北村岳子 | 戸田恵子 | 玉置成美 | 平野綾 | ||
ホイットニー | 内田朝雄 | 鶴田忍 | 笹野高史 | 大澄賢也 | 市川猿弥 |
役名 | 1989年 | 1990年 | 1991年 | 1996年 | 2013年 | 2021年 |
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演出 | 宮本亜門 | 謝珠栄 | 山田和也 | 原田諒 | ||
振付 | KAZUMI-BOY、大澄賢也、佐々木有子 | 麻咲梨乃、吉川哲朗、当銀大輔 | ||||
訳詞 | 青井洋治 | 及川眠子 | 高橋亜子 | 青井陽治 |
楽曲
[編集]- 君にこそ心ときめく(I Get a Kick Out of You) - リノ
- (There's No Cure Like Travel)/Bon Voyage - 船員たち
- All Through the Night - ビリー、ホープ
- You'd Be So Easy to Love - ビリー
- I Want to Row on the Crew - ホイットニー
- Sailor's Chanty (There'll Always Be A Lady Fair)
- Where Are the Men? - ボニー/アーマ
- You're the Top - リノ、ビリー
- Waltz Down the Aisle - ビリー、ホープ
- Friendship - リノ、ムーンフェイス
- It's De-Lovely - ビリー
- Anything Goes - リノと仲間たち
- Public Enemy Number One - 船長、パーサー、船員たち
- Let's Step Out - ボニー/アーマ
- What a Joy to be Young - ホープ
- Let's Misbehave - リノ、オークリー卿
- Blow, Gabriel, Blow - リノと仲間たち
- Goodbye, Little Dream, Goodbye - ホープ
- Be Like the Bluebird - ムーンフェイス
- All Through the Night - ビリー、ホープ
- The Gypsy in Me - ホープ
- Buddie, Beware - リノ
- Take Me Back to Manhattan - リノ
- Finale (I Get a Kick Out of You) - リノ、その他大勢