コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

オオタルマワシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オオタルマワシ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : フクロエビ上目 Peracarida
: 端脚目 Amphipoda
亜目 : クラゲノミ亜目 Hyperiidea
上科 : ナガヒゲウミノミ上科 Phronimoidea
: タルマワシ科 Phronimidae
: タルマワシ属 Phronima
: オオタルマワシ Phronima sedentaria
学名
Phronima sedentaria
(Forsskål, 1775)
和名
オオタルマワシ

オオタルマワシ学名Phronima sedentaria)は、軟甲綱 端脚目 クラゲノミ亜目に属する甲殻類の一種。ゼラチン質プランクトンに寄生する習性をもつ[1]

サルパに入っている様子

生態

[編集]
  • ウミタルサルパヒカリボヤの体内に寄生し、幼体を保育する[1]。一説には、空のサルパの中へ入って海中を浮遊する様子が樽を回しているように見えることからタルマワシと名付けられたという[2]
サルパの内壁を、産み付けられた卵が覆っている

生息地

[編集]

形態

[編集]
  • タルマワシ属最大種で、大きなものは体長42 mmに達する[4]。通常はオスが8-10 mm、メスが16-40 mm [5]。6–35 mmとする文献もある[1]
  • 眼が頭部全体を占めており、わずかな光を捉えることができる。
複眼の構造は頭部の後ろ側にも達している
  • 第5胸脚が大きく発達し、身体の後方へ伸長する。先端はカニのハサミのような形状となっている。
  • 同属他種との識別点として、オスの第2触角は退化し2節のみからなること、メスは第1–3腹側板の後縁下端が針状に尖り後方へ突出することが挙げられる[4]

主な近縁種

[編集]

 日本近海において、オオタルマワシの他に以下の5種のタルマワシ属が知られる[6]

映画のキャラクターに関する誤解

[編集]

テレビ番組などでしばしば「映画エイリアンに登場する怪物のモデルになった」とされるが根拠はなく[7]、デマとみられる。

人とのかかわり

[編集]

沖縄美ら海水族館で展示の実績がある[2]。また、葛西臨海水族園では宿主を失った個体に人工の「タル」を与える取り組みが行われた[8]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c 永田 1965.
  2. ^ a b 深海にエイリアン!? オオタルマワシ展示” (2018年5月25日). 2022年11月17日閲覧。
  3. ^ Quigley et al. 2015.
  4. ^ a b c 千原 & 村野 1997.
  5. ^ a b van Couwelaar, M.. “Phronima sedentaria”. Zooplankton and Micronekton of the North Sea. Marine Species Identification Portal. 2022年11月17日閲覧。
  6. ^ Biological Information System for Marine”. 2024年8月3日閲覧。
  7. ^ エイリアンとタルマワシ(8月度活動報告)”. ヨコエビがえし. 2022年11月17日閲覧。
  8. ^ “オオタルマワシの飼育の工夫”, SEA LIFE NEWS 22 (2), (2024-04-1), https://www.tokyo-zoo.net/zoo/kasai/sealifenews/sealifenews_115.pdf 2024年4月21日閲覧。 

参考文献

[編集]
  • 千原, 光雄、村野, 正昭『日本産海洋プランクトン検索図説』東海大学出版会、1997年。ISBN 9784486012894 
  • 永田, 樹三 著「端脚目 (AMPHIPODA) 概説」、岡田要 編『新日本動物図鑑 中』(6版)北隆館、東京、1965年。 
  • Quigley, Declan T. G.; O'Dwyer, Katie; Flannery, Una; Flannery, Kevin (February 15, 2015). “The pram shrimp Phronima sedentaria (Forskål, 1775) (Crustacea: Amphipoda: Hyperiidea: Phronimidae) in Irish waters and a review of its association with gelatinous zooplankton.”. Irish Naturalists' Journal 34: 1–7. 

外部リンク

[編集]