オオダイガハラサンショウウオ
オオダイガハラサンショウウオ | |||||||||||||||||||||||||||
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オオダイガハラサンショウウオ
和歌山県立自然博物館飼育展示個体 | |||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Hynobius boulengeri (Thompson, 1912)[1][2][3] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
Pachypalaminus boulengeri | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
オオダイガハラサンショウウオ[3] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Boulenger's oriental salamander[1][2] Odaigahara Montain salamander[2] Odaigahara salamander[1][2] |
オオダイガハラサンショウウオ (Hynobius boulengeri) は、両生綱有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。
分布
[編集]日本(紀の川・吉野川以南の奈良県・三重県・和歌山県)固有種[3]
模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は、大台ヶ原山[2]。
形態
[編集]全長13.6 - 19.4センチメートル[3]。尾は側偏する[3]。背面の体色は石板色で、斑紋は入らない[3]。
分類
[編集]涙骨が外観から見えることからPachypalaminus属として記載されたが、差異はないとしてサンショウウオ属の構成種とする説が有力とされる[4]。
2007年にシノニムとされていたイシヅチサンショウウオが復活・分割し、四国個体群を独立種とする説が提唱された[5]。2014年に天草諸島個体群がアマクササンショウウオH. amakusaensis・大隅半島個体群がオオスミサンショウウオH. osumiensis・祖母傾山系個体群がソボサンショウウオH. shinichisatoiとして、新種記載・分割する説が提唱された[6]。
生態
[編集]山地にある広葉樹林や二次林・人工林などに生息する[3]。幼生は、三重県の例では同所的に分布するマホロバサンショウウオHynobius guttatus・ハコネサンショウウオよりも上流域に生息しすみ分けを行っている[3]。
繁殖様式は卵生。低地では2月から、高地では5月に、1回に19 - 63個の卵を産む[3]。幼生は半年から2年で変態し、幼体になる[3]。 幼生期を水中で過ごす[7]。このことから幼生には流水が通年で枯れない環境を必要とする[8]。
オオダイガハラサンショウウオの生息には、渓流と林床が必要であり[8]、源流域を含む広い自然林を必要とする[9]。また冷涼な気候を好むため、地球温暖化の進行はオオダイガハラサンショウウオの生息域を狭めるとされる[8]。
人間との関係
[編集]高地では植林や観光開発、低地では砂防ダム建設・森林伐採による生息地や産卵場所の破壊により、生息数が減少している[3]。
出典
[編集]- ^ a b c d IUCN SSC Amphibian Specialist Group. 2021. Hynobius boulengeri. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T79075214A79075078. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T79075214A79075078.en. Downloaded on 07 May 2021.
- ^ a b c d e f g Hynobius boulengeri. Frost, Darrel R. 2021. Amphibian Species of the World: an Online Reference. Version 6.1 (Accessed 07 May 2021). Electronic Database accessible at https://amphibiansoftheworld.amnh.org/index.php. American Museum of Natural History, New York, USA. https://doi.org/10.5531/db.vz.0001
- ^ a b c d e f g h i j k l 西川完途 「オオダイガハラサンショウウオ」『環境省レッドリスト2017 補遺資料』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室、2017年、22頁。
- ^ 西川完途「東アジアの有尾類 第4回 サンショウウオ科(その2)サンショウウオ属」『クリーパー』第56号、クリーパー社、2011年、40 - 47頁。
- ^ Kanto Nishikawa, Masahumi Matsui, Shingo Tanabe, & Shin'ichi Sato, "Morphological and allozymic variation in Hynobius boulengeri and H. stejnegeri (Amphibia: Urodela: Hynobiidae)", Zoological Science, Volume 24, Issue 7, Zoological Society of Japan, 2007, Pages 752 - 766.
- ^ Kanto Nishikawa, Masahumi Matsui, "Three new species of the salamander genus Hynobius (Amphibia, Urodela, Hynobiidae) from Kyushu, Japan," Zootaxa, Volume 3852, No. 2, Magnolia Press, 2014, Pages 203 - 226,
- ^ 清水善吉「オオダイガハラサンショウウオ」『三重県データブック2015』三重県農林水産部みどり共生推進課、2015年3月、p88、2016年3月6日閲覧。
- ^ a b c 三重県教育委員会『オオダイガハラサンショウウオ 保護管理指針』2009年
- ^ 和歌山県環境生活部環境政策局、『保全上重要な わかやまの自然 -和歌山県レッドデータブック-』[2012年改訂版]、(2012)、p.72-73