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オックスフォード電鈴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オックスフォード電鈴
2つの電池によって帯電した金属球が、鈴を鳴らしている。

オックスフォード電鈴(オックスフォードでんれい、英語: Oxford Electric Bell)は、1840年に製作され、それ以来ほぼ連続して作動している実験用の電鈴物理学者のロバート・ウォーカーがコレクションした実験装置のうち最初に購入されたものの一つである[1][2]オックスフォード大学クラレンドン研究所のホワイエ[注 1]に隣接する廊下に設置されており、現在でも鳴り続けているが、2重のガラスケースに収められているため音を聞くことはできない。

第一種永久機関ではないかと考える者もいるが、この電鈴が本当に永久に仕事をするのかどうかという議論は、いまだ決着がついていない。しかし、エネルギー保存の法則は、自然の斉一性原理から導かれた『経験則』であり数学的に厳密な証明が与えられたわけではない[注 2]ため、もしこの電鈴が停止しなければ現在の物理学の理論が大きく塗り替えられることとなる。

オックスフォード電鈴は1840年以来、約100億回鳴り続けており、「世界で最も長く鳴り続けている電池式の鈴」としてギネス世界記録に認定されている[2]

デザイン

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乾電堆(電池の一種)2本の下にそれぞれ真鍮製の鈴を置いた構造をしている。乾電堆は直列に接続されている。鐘の舌に当たるのは、電堆の間に吊り下げられた直径4 mm (316 in)の金属球で、これが静電力によって電鈴を交互に鳴らす。金属球が一方の鈴に触れると、その鈴につながっている電堆によって帯電し、静電的に反発してもう一方の鈴に引き寄せられる。もう一方の鈴に触れると同じことが繰り返される。静電力を利用しているため運動を作り出すには高い電圧が必要だが、鈴から鈴へ運ばれる電荷はごくわずかである。この装置が作られてから現在に至るまで電堆が消耗せずにいるのはそれが理由である。発振周波数は2ヘルツである[5]。乾電池の正確な組成は不明だが、絶縁のために溶けた硫黄が塗られていることがわかっており、ザンボニー電池ではないかと考えられている[2]

かつてこの種の装置は、電気作用の2つの異なる理論、接触張力説(当時主流であった静電原理に基づく科学理論)と化学作用説を検証する重要な役割を果たしていた[6]

動作

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1840年以来、湿度が高くなったために何度か一時的に中断したのを除けば、連続して作動している[7]。オックスフォード大学によると、電鈴は1825年に建設された可能性がある[2]

脚注

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注釈

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  1. ^ 庁舎・病院などの、出入りの激しい建物の玄関・出入り口近くに広くとられる広間[3]
  2. ^ ただしエントロピー増大の法則は、2017年9月6日に東京大学大学院工学系研究科の研究者によって理論的に証明されている[4]

出典

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  1. ^ "Walker, Robert". Oxford Dictionary of National Biography (英語) (online ed.). Oxford University Press. doi:10.1093/ref:odnb/38098 (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入。)
  2. ^ a b c d Exhibit 1 – The Clarendon Dry Pile”. Department of Physics. Oxford University. 30 January 2021閲覧。
  3. ^ ホワイエ」『デジタル大辞泉』https://kotobank.jp/word/%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%A8コトバンクより2021年8月7日閲覧 
  4. ^ 量子力学から熱力学第二法則を導出することに成功 〜「時間の矢」の起源の解明へ大きな一歩〜
  5. ^ Oxford Electric Bell, Atlas Obscura.
  6. ^ Willem Hackmann. “The Enigma of Volta's "Contact Tension" and the Development of the "Dry Pile"”. ppp.unipv.it. 2 March 2018閲覧。
  7. ^ Ord-Hume, Arthur W. J. G. (1977). Perpetual Motion: The History of an Obsession. George Allen & Unwin. p. 172 

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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