ビバリー時計

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オタゴ大学に設置されているビバリー時計
ビバリー時計の内部機構(チェーンスプロケット、ねじり振り子

ビバリー時計(ビバリーどけい、英語: Beverly Clock[1]は、ニュージーランドオタゴ大学の物理学科の3階エレベーターホールに設置されている時計である。1864年アーサー・ビバリー英語版によって製作されて以来、一度も手動で巻かれず動き続けている[2]

原理[編集]

ビバリー時計は、気圧の変化と日々の気温の変化で動いており、気温の変化が極めて重要である。気圧の変化は、1立方フート (28リットル)の密閉された箱の中の空気を膨張・収縮させ、それがダイヤフラムを押す。1日の気温変化が6 °F (3.3 °C)であれば、1ポンドの重りを1インチ上げるのに必要な圧力(13 mJ または 3.6μWh)が発生し、これが時計の機構を動かすことになる。

市販の時計で同じ原理のものには、スイスの時計メーカー、ジャガー・ルクルトの「アトモス」がある。

1864年にアーサー・ビバリーが製作して以来、一度も巻き上げられたことはないが、機構の清掃や機械的な故障、物理学科の移転などで止まったことがある。また、周囲の温度が十分に変動せず、必要なエネルギーが供給されなかった場合にも、時計は機能しなくなる。しかし、周囲の環境が再調整されると、時計は再び機能するようになる。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • Amon, L.E.S.; Beverly, A.; Dodd, J.N. (1984). “The Beverly clock”. European Journal of Physics 5 (4): 195–7. Bibcode1984EJPh....5..195A. doi:10.1088/0143-0807/5/4/002. https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0143-0807/5/4/002. 
  • Abrahams, Marc (2001). “The Latest on Long-Running Experiments”. Annals of Improbable Research 7 (3). オリジナルの2018-02-21時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180221035603/https://www.improbable.com/airchives/paperair/volume7/v7i3/long-run-7-3.html 2018年2月20日閲覧。. 
  • Amon L.E.S.; Knight, Hardwicke; Beverly, Arthur. "1B20". Dictionary of New Zealand Biography. Ministry for Culture and Heritage. 2011年4月4日閲覧

関連項目[編集]