オランジュ音楽祭
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オランジュ音楽祭(フランス語: Chorégies d'Orange)は、フランス南部のオランジュで毎年8月に開かれるオペラ音楽祭。公演は古代ローマの劇場の遺跡で行われる。ローマ劇場は壁面が残存しており、後世に9000席の客席が再建されたものである。
概要
[編集]最初の祭典は1860年に開催されたが、1869年にローマ劇場の復元が成ると「ローマ祭」と呼ばれ、エティエンヌ=ニコラ・メユールのオペラ『ジョゼフ』が上演された。祭典にはフランスの著名な芸術家たちが出演し、1世紀にわたって演劇、オペラ、コンサートが開かれた。1903年にはサラ・ベルナールが『フェードル』を上演したほか、『アンドロマック』『アンティゴネ』などの演劇が上演された[1]。
1902年から祭典は「コーレジー」と呼ばれ、毎年実施されるようになった。コーレジーとはギリシャ語で合唱指導者を意味する「khorêgós(コレゴス)」が語源で、舞台の壁面の優れた音響効果からその名がつけられた。コーレジーでは音楽と演劇が交互に上演されてきたが、1969年から演劇はアヴィニョン演劇祭で行われるようになり、1971年から「新コーレジー」というオペラ音楽祭として再生した。現在では声楽リサイタルやオーケストラコンサートとともに2つのオペラを2回上演するのが一般的である。かつてはドイツオペラに非常に熱心な音楽祭(大部分を占めていた時期すらある)だったが、近年はほぼイタリアオペラ中心である。
上演オペラ
[編集]- 1968年:アイーダ(ジュゼッペ・ヴェルディ)
- 1969年:ファウスト(シャルル・グノー)
- 1970年:ミレイユ(グノー)
- 1972年:イル・トロヴァトーレ(ヴェルディ)
- 1973年:トリスタンとイゾルデ(リヒャルト・ワーグナー)
- 1974年:サロメ(リヒャルト・シュトラウス)、ノルマ(ヴィンチェンツォ・ベッリーニ)
- 1975年:ワルキューレ(ワーグナー)、オテロ(ヴェルディ)
- 1976年:アイーダ(ヴェルディ)、ローエングリン(ワーグナー)
- 1977年:ランメルモールのルチア(ガエターノ・ドニゼッティ)、フィデリオ(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)
- 1978年:サムソンとデリラ(カミーユ・サン=サーンス)、マクベス(ヴェルディ)
- 1979年:トゥーランドット(ジャコモ・プッチーニ)、パルジファル(ワーグナー)
- 1980年:リゴレット(ヴェルディ)、さまよえるオランダ人(ワーグナー)
- 1981年:魔笛(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)、イル・トロヴァトーレ(ヴェルディ)
- 1982年:運命の力(ヴェルディ)、ナブッコ(ヴェルディ)
- 1983年:アイーダ(ヴェルディ)、ラ・ジョコンダ(アミルカレ・ポンキエッリ)、トゥーランドット(プッチーニ)
- 1984年:ドン・カルロ(ヴェルディ)、カルメン(ジョルジュ・ビゼー)
- 1985年:シモン・ボッカネグラ(ヴェルディ)、ボリス・ゴドゥノフ(モデスト・ムソルグスキー)
- 1986年:タンホイザー(ワーグナー)、マクベス(ヴェルディ)
- 1987年:さまよえるオランダ人(ワーグナー)、エロディア(ジュール・マスネ)
- 1988年:ニーベルングの指環(ワーグナー)
- 1989年:魔笛(モーツァルト)、ナブッコ(ヴェルディ)
- 1990年:ドン・カルロ(ヴェルディ)、ファウスト(グノー)
- 1991年:エレクトラ(シュトラウス)、アイーダ(ヴェルディ)
- 1992年:カルメン(ビゼー)、イル・トロヴァトーレ(ヴェルディ)
- 1993年:椿姫(ヴェルディ)、オテロ(ヴェルディ)
- 1994年:ナブッコ(ヴェルディ)、トスカ(プッチーニ)
- 1995年:アイーダ(ヴェルディ)、リゴレット(ヴェルディ)
- 1996年:ドン・ジョヴァンニ(モーツァルト)、運命の力(ヴェルディ)
- 1997年:ランメルモールのルチア(ドニゼッティ)、トゥーランドット(プッチーニ)、トリスタンとイゾルデ(ワーグナー)
- 1998年:カルメン(ビゼー)、ナブッコ(ヴェルディ)
- 1999年:椿姫(ヴェルディ)、ノルマ(ベッリーニ)
- 2000年:トスカ(プッチーニ)、ホフマン物語(ジャック・オッフェンバック)
- 2001年:ドン・カルロ(ヴェルディ)、リゴレット(ヴェルディ)、アイーダ(ヴェルディ)
- 2002年:ロメオとジュリエット(グノー)、魔笛(モーツァルト)
- 2003年:椿姫(ヴェルディ)、オテロ(ヴェルディ)
- 2004年:カルメン(ビゼー)、ナブッコ(ヴェルディ)
- 2005年:ラ・ボエーム(プッチーニ)、ホフマン物語(オッフェンバック)
- 2006年:アイーダ(ヴェルディ)、ランメルモールのルチア(ドニゼッティ)
- 2007年:蝶々夫人(プッチーニ)、イル・トロヴァトーレ(ヴェルディ)
- 2008年:カルメン(ビゼー)、ファウスト(グノー)
- 2009年:椿姫(ヴェルディ)、カヴァレリア・ルスティカーナ(ピエトロ・マスカーニ)、道化師(ルッジェーロ・レオンカヴァッロ)
- 2010年:トスカ(プッチーニ)、ミレイユ(グノー)
- 2011年:アイーダ(ヴェルディ)、リゴレット(ヴェルディ)
- 2012年:トゥーランドット(プッチーニ)、ラ・ボエーム(プッチーニ)
- 2013年:仮面舞踏会(ヴェルディ)、さまよえるオランダ人(ワーグナー)
- 2014年:オテロ(ヴェルディ)、ナブッコ(ヴェルディ)
- 2015年:イル・トロヴァトーレ(ヴェルディ)、カルメン(ビゼー)
- 2016年:蝶々夫人(プッチーニ)、椿姫(ヴェルディ)
- 2017年:アイーダ(ヴェルディ)、リゴレット(ヴェルディ)
- 2018年:メフィストフェレ(ボイト)、セヴィリアの理髪師(ロッシーニ)
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ La Comédie-Française à Orange, le programme d'Andromaque, le 17 juin 2011, p.5
文献
[編集]- Philippe Chabro, Chorégies d’Orange (1971–1994), Actes Sud, Arles, 1995 ISBN 2-7427-0633-X