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オリオン座イプシロン星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オリオン座ε星[1]
Epsilon Orionis[1]
オリオン座ε星(アルニラム)
オリオン座ε星(アルニラム)
仮符号・別名 アルニラム[2], Alnilam[3][4]
星座 オリオン座
見かけの等級 (mv) 1.69[1]
1.64 - 1.74(変光)[5]
変光星型 はくちょう座α型変光星(ACYG)[5]
分類 青色超巨星
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  05h 36m 12.81335s[1]
赤緯 (Dec, δ) −01° 12′ 06.9089″[1]
赤方偏移 0.000091[1]
視線速度 (Rv) 27.30 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 1.44 ミリ秒/年[1]
赤緯: -0.78 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 1.65 ± 0.45ミリ秒[1]
(誤差27.3%)
距離 1975.76 光年
(606 パーセク
絶対等級 (MV) -7.2[注 1]
ε星の位置
物理的性質
半径 32.4 R[6]
質量 40-44 M[7]
自転速度 87km/s[8]
スペクトル分類 B0Ia [1]
光度 832,000 L[9][10]
表面温度 27,000 K[9]
色指数 (B-V) -0.19[8]
色指数 (U-B) -1.04[8]
色指数 (R-I) -0.17[8]
年齢 4×106[10]
他のカタログでの名称
オリオン座46番星[1]
BD -01 969[1]
FK5 210[1], HD 37128[1]
HIP 26311[1], HR 1903[1]
SAO 132346[1]
Template (ノート 解説) ■Project

オリオン座ε星は、オリオン座恒星で2等星。三つ星(オリオンの帯)の中央に位置する[10]

特徴

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B型スペクトルの超巨星で、はくちょう座α型変光星であり、1.68等星~1.71等星の範囲を変光する。ただし変光範囲が小さいので眼視観測では光度変化はわからない。2,000km/sを超える強烈な恒星風により、1年間に太陽質量の約200万分の1の質量を失っている[10]

地球から遠いので、年周視差の誤差が大きい。1997年にヒッパルコス衛星による観測結果として、距離:約412パーセクが提示されていたが、2007年には約606パーセクという値が再提示された。
再提示された値を基にして、半径は太陽の64.5倍、質量は太陽の42.0倍、光度は太陽の832,000倍という推定値が得られており、絶対等級リゲルより明るい[9]。ただし、地球からはリゲルより遠方にあるので視等級はリゲルより劣る。

名称

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学名はε Orionis(略称はε Ori)。固有名アルニラム[2] (Alnilam[3][4]) の由来は、アラビア語で「(真珠の)連なり、(ひもを通して)数珠つなぎにしたもの」という意味のアン=ニザーム( النظام al-Niẓām)ないしアン=ナズム( النَظم al-Naẓm)と呼ばれていたものを語源としている[3][11]アブドゥッラフマーン・スーフィーの『星座の書』で、オリオン座δ星ζ星、ε星の三ツ星が نَظم الجوزاء Naẓm al-Jawzā' すなわち「ジャウザーの真珠の首飾り」などと呼ばれていると説明されているように、元々三つの星の総称だった[11]。2016年7月20日、国際天文学連合の恒星の固有名に関するワーキンググループは、Alnilam をオリオン座ε星の固有名として正式に承認した[4]

脚注

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注釈

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  1. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s SIMBAD Astronomical Database”. Results for V* eps Ori. 2013年2月7日閲覧。
  2. ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、226頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Publishing. p. 46. ISBN 978-1-931559-44-7 
  4. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年12月17日閲覧。
  5. ^ a b GCVS”. Results for eps Ori. 2015年10月12日閲覧。
  6. ^ Searle, S. C.; Prinja, R. K.; Massa, D.; Ryans, R. (2008). “Quantitative studies of the optical and UV spectra of Galactic early B supergiants. I. Fundamental parameters”. Astronomy and Astrophysics 481 (3): 777–97. arXiv:0801.4289. Bibcode2008A&A...481..777S. doi:10.1051/0004-6361:20077125. 
  7. ^ Zsargó, J.; Fierro-Santillán, C. R.; Klapp, J.; Arrieta, A.; Arias, L.; Valencia, J. M.; Sigalotti, L. Di G.; Hareter, M. et al. (November 2020). “Creating and using large grids of precalculated model atmospheres for a rapid analysis of stellar spectra”. Astronomy & Astrophysics 643: A88. arXiv:2009.10879. Bibcode2020A&A...643A..88Z. doi:10.1051/0004-6361/202038066. ISSN 0004-6361. https://www.aanda.org/10.1051/0004-6361/202038066. 
  8. ^ a b c d 輝星星表第5版
  9. ^ a b c Puebla, R.E.; Hillier, D.J.; Zsargó, J.; Cohen, D.H.; Leutenegger, M.A. (2015). “X-ray, UV and optical analysis of supergiants: ϵ Ori”. Astronomy & Astrophysics 456 (3): 2907–2936. arXiv:1511.09365. Bibcode2016MNRAS.456.2907P. doi:10.1093/mnras/stv2783. 
  10. ^ a b c d Professor James B. (Jim) Kaler. “Alnilam”. University of Illinois. 2013年2月8日閲覧。
  11. ^ a b 鈴木孝典「アブドゥッラハマーン・スーフィーの『星座の書』における「オリオン座」および「おおいぬ座」・「こいぬ座」の記述」『東海大学文明研究所紀要』第13号、東海大学、1993年、125-126頁、NAID 110000195755 

参考文献

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関連項目

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