カプリッチョ (美術)

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ジョバンニ・パオロ・パンニーニ『パンテオンと古代ローマ遺跡のモニュメントのある幻想的景観』(1737年、ヒューストン美術館蔵)

カプリッチョcapriccio、複数形:capricci)とは、実在の建物古代遺跡、それに架空の遺跡をまぜこぜにした風景画のこと。人物が描かれることもある。奇想画(きそうが)とも訳される。

歴史[編集]

カプリッチョのパイオニアは、17世紀中期にローマで活躍したアレッサンドロ・サルーチやヴィヴィアノ・コダッツィと言われる。サルーチはコンポジションの素材としてローマ遺跡を配置することで創造性と自由を求めたが、コダッツィはもっと現実的で[1]アゴスティーノ・タッシクアドラトゥーラなフレスコ画やクロード・ロラン、ヘルマン・ファン・スワーネフェルトの都市景観画を見て影響されたのかもしれない[2]

カプリッチョを提唱したことで知られるのがジョバンニ・パオロ・パンニーニで、そのスタイルは1740年代のカナレットヴェドゥータを発展させたものだった。ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージとその模倣者の作品もまた有名である。

それより後の時代になると、チャールズ・ロバート・コッカレル英語版の『A Tribute to Sir Christopher Wren』『A Professor's Dream』、ジョセフ・ガンディー『1818 Public and Private Buildings Executed by Sir John Soane』がある。

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロは自身のエッチング連作を『カプリッチ(Capricci)』と題した。カプリッチョから建築物を減らして、その代わりに兵士、哲学者、美しい若者といった人々の集まりを描いている。それぞれの作品にタイトルはつけられておらず、ムードとスタイルだけがすべてである。このシリーズは後にScherzi di fantasia(幻想的なスケッチ)と呼ばれた。彼の息子ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロは父の絵を模倣し、またタイトルも『カプリッチ』とした。フランシスコ・デ・ゴヤにも『ロス・カプリチョス英語版』という版画集がある。

代表的な画家[編集]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Importante architettura di Alessandro Salucci (Firenze 1590-Roma dopo il 1650) Archived 2016-08-08 at the Wayback Machine. at Antiquares (Italian)
  2. ^ Ludovica Trezzani. "Codazzi, Viviano." Grove Art Online. Oxford Art Online. Oxford University Press. Web. 24 Apr. 2016

外部リンク[編集]

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