コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

カモ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カモ下目 (Sibley)から転送)
カモ科
マガモ
マガモ Anas platyrhynchos
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: カモ目 Anseriformes
亜目 : カモ亜目 Anseres
: カモ科 Anatidae
学名
Anatidae Leach1820
タイプ属
Anas Linnaeus1758

カモ科(カモか、Anatidae)はカモ目の科の一つ。別名ガンカモ科

分布

[編集]

南極大陸をのぞく全大陸[1][2]アフリカ大陸およびオーストラリア大陸砂漠地帯や、グリーンランド内陸部等には生息しない[3]

形態

[編集]

最大種はナキハクチョウ、最小種はアフリカマメガン[1]。頸部は比較的長い[4][5][※ 1]。尾羽は多くの種で短い[1]。下面は平坦で[2]、水に浮かびやすい[1]

は幅広くやや扁平な種が多い[2]。嘴の先端には角質からなる鉤状の突起(嘴爪)がある[1][2]。多くの種は嘴外縁に櫛状の薄い板(板歯)があり[1]、これにより水中で小型の食物も濾し取る事ができる[2]。舌は分厚く、棘状の突起が並ぶ[2]。後肢は胴体のやや後方に位置する種が多く[1]、一部の種では地表で歩行する事は苦手だが水中では大きな推進力を得ることができる[2]。後肢は比較的短い種が多い[2]。多くの種で第2-4趾の間には水掻きが発達する[1]

卵は白や淡黄色、青などの殻で覆われ、斑紋が入らない[2]

分類

[編集]

5亜科に58属172種が属する。

系統

[編集]

次のような系統樹が得られている[6]

リュウキュウガモ亜科

ゴマフガモ

ツメバガン

ガン亜科

カモ亜科

生態

[編集]

淡水域湿原海洋などの水辺の環境を好む[2]種が多い。多くの種は渡りを行うが、一部の種では渡りをしなかったり飛翔できない種もいる[1][2] 。飛翔するときは頸部を前方に伸ばし、後肢は後方へ伸ばす[1]

日本国内の観察では、水田などの採食場となる場所とネグラとなる水域を使い分けて生活していることが確認されている[7]。ガン・ハクチョウは日の出頃に採食場に移動し、夕暮れにネグラに戻る。カモは昼夜が逆転した形で同様の行動をする。

食性は種によっても異なり、魚類貝類、植物の葉、果実種子などを食べる[1][2]

繁殖形態は卵生。多くの種は水辺に植物を組み合わせた皿状の巣を作るが、樹洞や岸壁などに巣を作る種もいる。主にメスが抱卵する[1][2]。雛は孵化するとすぐに巣を離れ(早成性)、親の後について移動するようになる[1]

人間との関係

[編集]

肉、卵、羽毛が利用され、数種は飼いならされ家禽アヒルガチョウバリケンなど)として飼育される[1][2]。また野生個体も狩猟の対象とされる[1](異字:鴈)は、ガン亜科の水鳥のうち、カモより大きくハクチョウより小さい一群の総称。(鳧)とは、カモ科の鳥類のうち、雁に比べて体が小さく首があまり長くないものの総称。分類学上のまとまった群ではない。

脚注

[編集]
  1. ^ 『動物大百科7 鳥I』p105 では「中くらいか長いくび」、『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』p30 では「くびは長く」と表現。

参考文献

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育 (ガンカモ目)』、財団法人東京動物園協会、1980年、5-6、10-88頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥I』、平凡社1986年、104-115頁。
  3. ^ Ducks, Geese and Swans (Anatidae) - the Internet Bird Collection
  4. ^ Leslie H. Brown, Emil K. Urban, Kenneth B. Newman (1982). The Birds of Africa, Volume I. Academic Press. ISBN 978-0121373016  p220
  5. ^ Anatidae -eol
  6. ^ ANSERIFORMES”. 2014年10月27日閲覧。
  7. ^ 中村雅子 「ガンカモ類への餌付けが湖沼の水質に及ぼす影響」『野生動物の餌付け問題:善意が引き起こす?生態系攪乱・鳥獣害・感染症・生活被害』 地人書館 2016年 ISBN 9784805209004 pp.87-89.
  • 唐沢孝一著、『校庭の野鳥』、全国農村教育協会、1997年、55頁