カール・クラウス (作家)
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カール・クラウス(Karl Kraus, 1874年4月28日 ボヘミア・ギッチン Gitschin(チェコ・イチーン Jičín) - 1936年6月12日)はオーストリアの作家・ジャーナリスト。モラヴィア出身のユダヤ人。ウィーン世紀末文化の代表者。
1899年、闘争的な評論雑誌「Die Fackel (火(「炬火」とも))」を創刊、編集を行う。同誌は1912年以降はクラウスの個人誌となり、彼が亡くなる1936年まで中断を挟みつつも刊行が続けられた。権力や社会、文化に対する辛辣な批判と笑いによって、当時のウィーンに大きなインパクトを与えたとされる。
風刺的な時代批判を含む詩・随筆などは、厭世観を示すともいわれる。1922年刊行の戯曲『人類最後の日々』は、第一次大戦をドキュメンタリー風に再現したもので、現代政治・寓話劇の先駆的作品の一つとなった。
主な作品
[編集]- 1909年 Sprüche und Widersprüche (詩)
- 1916年-1925年 Worte in Versen (詩)
- 1922年 Die letzten Tage der Menschheit (戯曲)
- 1924年 Traumtheater (戯曲)
日本語訳
[編集]- 『著作集』(未完結)
- 『カール・クラウス著作集 5 アフォリズム』(池内紀 編訳、法政大学出版局、1978年)、ISBN 4-588-12065-4
- 『カール・クラウス著作集 6 第三のワルプルギスの夜』(佐藤康彦 他訳、1976年、法政大学出版局)、ISBN 4-588-12066-2
- 『カール・クラウス著作集 7・8 言葉』(武田昌一 他訳、法政大学出版局、1993年3月)、ISBN 4-588-12067-0
- 『カール・クラウス著作集 9 人類最後の日々(上)』(池内紀 訳、法政大学出版局、1971年)、普及版2016年、ISBN 4-588-49034-6
- 『カール・クラウス著作集 10 人類最後の日々(下)』(池内紀 訳、法政大学出版局、1971年)、普及版2016年、ISBN 4-588-49035-4
- 『モラルと犯罪』(小松太郎訳、法政大学出版局〈叢書ウニベルシタス〉、1970年)、ISBN 4-588-00016-0
- 『黒魔術による世界の没落』(山口裕之、河野英二訳、現代思潮新社〈エートル叢書〉、2008年)、ISBN 4-329-01018-6
関連文献
[編集]- 池内紀 『闇にひとつ炬火あり―ことばの狩人カール・クラウス』(筑摩書房〈水星文庫〉、1985年/講談社学術文庫、2015年)、ISBN 4-06-292331-9
- 高橋義彦 『カール・クラウスと危機のオーストリア―世紀末・世界大戦・ファシズム』(慶應義塾大学出版会、2016年)、ISBN 4-7664-2331-3
- 山口裕之 『ベンヤミンのアレゴリー的思考』(人文書院、2003年)、ISBN 4-409-04058-8
- 小林哲也 『ベンヤミンにおける「純化」の思考―「アンファング」から「カール・クラウス」まで』(水声社、2015年)、ISBN 9784801000926
- 第3部 「純化」の思考へ―「カール・クラウス」における思考の展開(批評家ベンヤミンとカール・クラウス)
- ニーケ・ワーグナー『世紀末ウィーンの精神と性』(菊盛英夫訳、筑摩書房、1988年)