ガンタケ
ガンタケ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Amanita rubescens (Pers. : Fr.) |
ガンタケ(雁茸、学名 Amanita rubescens )は、テングタケ科テングタケ属のキノコ。和名は、色が雁に似ているところ由来する。
形態
[編集]子実体はハラタケ型(agaricoid)で全体的に褐色で中型から大型。テングタケ属に特徴的なschizohymenial development(和名未定)という発生様式を採り、卵状の構造物内に小さな子実体が形成され、成長と共にこれを破って出てくる。この発生様式の名残で根元にはツボを持つ。
傘は、はじめ球型、成長すると中~大型で平になる。傘は赤みを帯びた褐色、外皮膜がもろく傘にも外皮膜の破片(通称:イボ)が多数付着させるが、しばしば一部もしくは全部が脱落している。傘の縁の条線は無い。ひだは白色で密、柄に対して離生。柄は中空で、基部が球根状。柄の色は傘よりも白っぽく、上部に膜状のツバがあり、ツバには明瞭な条線が現れる。柄の根元は膨らみ、外皮膜がもろいためツボも不明瞭。肉は無味無臭で白色、変色性があり赤く変色する。胞子はヨウ素水溶液で青く染まる(アミロイド性)
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傷ついたところが赤変している
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ひだは白色、柄にツバあり。ツボは不明瞭
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いぼの印象がテングタケ亜属のものとは異なる
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傘の縁には条線なし。ツバに条線が現れる
生態
[編集]夏から秋にカラマツなどの針葉樹林、ブナ、コナラなどの広葉樹林、雑木林の地上に単生、または、散生。
分布
[編集]人間との関係
[編集]食べると下痢、吐き気など胃腸系の食中毒を起こすことがある。加熱すれば可食とする文献もあるが、ルベッセンスリシン、イボテン酸、アマトキシン類などの有毒成分を含み[1]、生食は中毒するという。しかし、旨味成分を含み加熱調理すれば美味とされ、テングタケとの識別に慣れたキノコ通には好んで食べる人もかつてはいた。現在では、加熱調理しても分解しない有毒成分であるアマトキシン類が微量ながらガンタケに含まれることが明らかになっているため、それを承知であえて食べる人はほとんどいなくなった。
類似種
[編集]テングタケ属には暗色系で傘にいぼを乗せる種類が幾つか知られる。テングタケ(Amanita pantherina)は傘の縁に条線が出る。いぼの形状も異なる。胞子もヨウ素水溶液での変色反応はない(非アミロイド)。テングタケはテングタケ亜属に属しマツカサモドキ亜属に属する本種とはやや縁遠い。がん茸と同亜属同節のキリンタケ(Amanita excelsa)は傘の条線が無い点は似ているが、肉にナタネ臭があるという。
脚注
[編集]- ^ 日本産菌根性きのこ類の食資源としての利用性信州大学農学部紀要. 38(1-2): 1-17 (2002)
参考文献
[編集]- 長沢栄史監修 安藤洋子ほか著『日本の毒きのこ』学習研究社、2003年 ISBN 4054018823
- 本郷次雄監修 幼菌の会編『カラー版 きのこ図鑑』家の光協会、2001年 ISBN 4259539671
- 大舘一夫・長谷川明監修 都会のキノコ図鑑刊行委員会著『都会のキノコ図鑑』八坂書房、2007年 ISBN 4896948912
- 前川二太郎監修 トマス・レソェ著『世界きのこ図鑑』新樹社、2005年 ISBN 4787585401
- 小宮山勝司著『きのこ大図鑑』永岡書店、2008年 ISBN 9784522423981
- 今関六也ほか編『日本のきのこ』山と溪谷社、1988年 ISBN 4635090205
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Amanitaceae.org (英語) テングタケ科の研究者達によるサイトで各種の記載論文へのリンクや新種の論文なども多く出している。
- 野生きのこの世界 社団法人 農林水産技術情報協会